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ばくやく令嬢しか勝たん  作者: 御堂 騎士
第5章 食事は貧相で不自由だけど、ちょっとうれしい森での共同生活
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96.反撃ののろし? いいえ、反撃の大爆破ですわよ!

「えええええーーーーっ?」

 皆、驚きの声をあげてしまった。


 キャサリンがやることを分かっている風だったソフィアも、国境近くの見張り台や木の柵を吹っ飛ばして帝国に逃げ込むとかを想像していたので、心の底から驚いてしまった。



「そ、そりゃあさ。

 あの『バベルの塔』をブチ倒しちまったら、帝国軍も安心して攻めてくるだろうし、何と言ってもノルド公国軍は混乱して、戦争どころじゃなくなるよ。

 でも、そんな素っ頓狂な話とは思わなかったよ」

 ララが興奮しながら、否定する。


 キキも、その通りと言いたいかのように「キキッ」と鳴く。




「キャット。俺たちは、バベルの塔の真下に収監されていたんだぞ。

 見ただろ!

 とてもじゃないが、何とかなる塔じゃ無かったぞ。

 建物の壁に穴を開けるのとは、話が違うんだからな」

 エドワードは、真面目に否定する。


「塔の真下まで行ったなら、巨人たちを間近に見たのではないですか?

 一人二人ならまだしも、何十人も相手にしたら、帝国騎士団の一隊ですらかなわない敵なのですよ」

 ソフィアも、エドワードと同じ意見のようだ。




「でも、お姉ちゃんは、ばくやく令嬢だよ。

 どんな障害物も木端微塵なんだ。

 塔だって、巨人だって、ひとたまりも無いよ」

 ヴェンデリンだけは、キャサリンの味方だ。




 キャサリンは、ため息をつきながら話し始める。

「否定されることは、予想通りです。

 塔の周りは、周辺の基地よりもはるかに厳重に警戒されているでしょうし、巨人の王を含めて、強い敵がひしめいています」


「だったら分かるだろ。

 あそこにいた巨人の王を、何とか出来ると思うか?」


 エドワードの勘弁してくれよと言うような物言いに、キャサリンは反論する。

「あの時、巨人の王と対等に渡り合っていたバブンスキー少佐を、ソフィアは退けていますわよ」


「お嬢さま。それは、かいかぶり過ぎです。

 私が奴を退けられたのは、膂力りょりょくで上回っていたからです。

 巨人を相手にして、しかも複数を相手にして、身体能力で上回るなんてことは現実的ではありません」


 ソフィアの忠告にも答える。

「それは逆に言うと、一対一なら勝てるという事ですわよね」




「ちょっとちょっと、そんなことを根拠にして、バベルの塔をブチ倒せると思っているんなら、あたい達の敗北は間違いないんじゃない?

 負けて死んじゃうか、捕えられて食べられちゃうかの二択じゃ無いの?」


 呆れるララにも、微笑みかける。

「いいえ、塔をブチ倒してみんなで帝都に帰るか、食事に不自由しながら元気をなくして敵に捕まるか、それを今選択しようとしているのです」




 しびれを切らしたように、エドワードが畳みかける。

「どうしてそんなに自信満々なんだ?

 万一、敵の警戒の目をかいくぐったとしても、あんな大きな建物を破壊するのは無理だろう。

 高さで言うと、ナードハート城の尖塔せんとうより高いんじゃないか。

 君が持ち歩く爆薬も、銅像をぶっ壊したり、建物の壁に穴を開けたりするのは見たけど、あんな大きな建物自体を壊すような爆発は見たことが無いぞ」


「そうですね。

 私の今の手持ちの爆薬では、ビクともしないでしょうね」

 皆何も言わないが、キャサリンの胸に注目が集まっている。


 恐らく手持ちの爆薬とは、あの残った片一方の胸パッドなのだろう。

 確かにあの量の爆薬で、大きな建物をどうこうできるとは思えない。




「じゃあ、どうやったらあの立派な塔が倒れるんだ?」


 キャサリンは、質問に質問で返す。

「巨人の王たちが、いちいち塔から降りてきて食事を取ったり休憩したりしているのを、テディはどう思いましたか?」


「そりゃあ、戦場では気が休まらないから、現場を離れたかったんだろうなと思ったけど」


「私が聞いたところでは、塔の最上階は風が吹いただけで揺れて、食事なんてとても取れないとか、ずっと展望台に居たら船酔いみたいになるという事でしたけど」


「それって、あの塔は意外にもろいってことを言いたいのか?」


「その通りですわ」

 キャサリンは、エドワードの疑問にはっきりと断言して見せた。


 この世界に免震構造などが有る訳無いので、風で揺れるのは間違いなく設計がショボくて、もろいからだと確信していた。




「お嬢さまが、そこまで自信をお持ちなら、私も信じましょう。

 でも、いくらもろいと言っても、大嵐でも来ない限り倒れませんよ。

 このひと月以内に、大嵐など来ないと思いますが」


「ソフィアは、信じてくれるのね。

 それだけで、百人力ですわ」


「お、俺だって、キャットの事を信じていないわけじゃ無いからな。

 ただ、どうやって塔を倒すのか、知りたかっただけだからな」


 エドワードが焦っている横で、ヴェンデリンが得意げだ。

「フフーン、僕だけは最初からお姉ちゃんを信じていたからね」




「あ、あたいだって、信じているからこそ、色々確かめたかっただけだよ」

 ムキになるララの横で、「僕もだ!」と言うように、キキが「キキッ」と鳴く。




「では、皆さん。

 私の作戦に従って、バベルの塔をブチ倒すという事でよろしいですね」


「「「「もちろんっ!」」」」

「キキッ」




「それでは、これから私の説明に従って準備していただきます。

 そして、明後日あさっての夜、木こり部隊が引き上げたと同時に、作戦を決行いたします」


「いよいよ、そこで反撃の狼煙のろしを上げるんだね?」


 ワクワクした顔のヴェンデリンに向かって、キャサリンは微笑みながら答える。

「いいえ。狼煙のろしを上げるなんて、悠長なことはいたしませんわ。

 反撃の大爆破をブチかましますわよ。

 思いあがった者の造りしバベルの塔に、神の鉄槌をくだして差しあげましょう!

 名付けて、オペレーション『戦いの神(クレイトス)』を発動いたします!」


「オオオオオーーーーッ」


 みんなの歓声が轟いた。




※本来ギリシャ神話では、戦いの神はアレスです。

 鳳凰〇凶真(ほうおういんきょうま)の名付ける作戦名だと、トールが選ばれるはずです。

 しかし、某ゲーム内でアレスも全能神ゼウスも殺してしまうクレイトスのせいで、戦いの神と言うと彼の名前を思い浮かべる人が一定数います。(作者も)


 当然、この世界の人たちはギリシャ神話もクレイトスも知りません。


次回更新は、12月12日(土)15時の予定です。


ゾロ目で縁起も良いので、ぜひ読んで下さいね。

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