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ばくやく令嬢しか勝たん  作者: 御堂 騎士
第4章 ばくやく令嬢 婚約するも、命の危険におびえる
75/543

75.ばくやく令嬢 貞操の危機?

 翌日、ソフィアが慌ただしく旅立つと、エドワードがお連れの者を引き連れてやって来た。

「どうしたのですか、急に?」


「ソフィアさんが帰ってくるまで、俺もこの家に住む。

 君の父上の許可はもらった」


「そんな、結婚前の男女が一つ屋根の下に暮らすなんて、許されないことですわ」


「何を言っているんだ。

 俺たちは婚約しているんだぞ。

 それに、夜は別の部屋で寝るから、許されないことは無いはずだ」




 キャサリンは、少し貞操の危機を感じた。


 いくら異世界に転生したとはいえ、今は11才の子供だ。

 相手もイケメンとはいえ、まだ12才だ。


 この世界の一年の長さとか、1年間での成長度合いとか違うかも知れないが。

 前世なら、二人とも小学生だ。


 自分のトータルは30才を越えているとはいえ、やはり問題だ。


「夜のベッドルームには鍵をかけて絶対に入れませんし、アナに同じ部屋で寝てもらいますからね!」


「どうして、そんなに俺を警戒するんだよ。

 君が狙われないように、俺が近くに居るようにするんじゃないか」


「逆に、ターゲットが一箇所に集まって、襲撃しやすいなんてことは無いですか?」


「それは、少しはあるかも知れない。

 でも、俺の護衛は優秀だ。

 君もその庇護下ひごかに入れば、襲撃される可能性は低くなるはずだ」


 確かに、精鋭を残しておくと勘繰られる公国と違って、皇子の警護は最強であることに文句を付ける人はいない。

「そうかも知れませんわね。

 それで、何処の部屋に住むのですか?」


「君の父上から、君の部屋の隣に住むように言われたよ」


(お父さま!

 5年後か10年後ならグッドジョブですが、今間違いが起こったら大変ですわ。

 4年以内に婚約解消してもらう予定なんですから。

 ハッ。ここで間違いが起きて、婚約解消できないから殺されるのでは?

 絶対に間違いは、起こさせませんわよ)




 キャサリンは、万一に備えての準備を着々と整えた。

 もちろん、エドワードを受け入れる準備では無く、エドワードから逃げる準備だ。


 その夜は、準備で疲れて落ちるように眠ってしまった。

 エドワードも引っ越しで疲れて、爆睡したということだ。


(危ない所でしたわ。

 明日からは、しっかり昼寝して、夜はエドワード様の就寝を確認してから寝ないと)




 その日は、輸送量増強のために爆風を上に逃がす構造を持った大型馬車の手配について、サナンダが相談に訪れる日だった。


 中庭で剣の稽古をしていたエドワードが、門を入ってくるサナンダを見つけて、絡む。


「おっ、誰かと思えば、ビジネスにかこつけて人の婚約者に色目を使う、公国の天才様じゃないか」


「そういうあなたは、家柄の力で素敵な女性と婚約が決まったのに、その立場に油断してフォローをおこたり、婚約を解消されそうな皇子様ですね」


「いやいや、俺とキャサリンは、上手くいっているぞ。

 お前の付け入る隙は、全く無いからな。ハハハハ」


「いやあ、そうだったら良いですねー。フフフフ」




 メイドたちが、テーブルと椅子を中庭に整える。

 テーブルの上に、お茶うけとティーセットが置かれた。


 キャサリンとティーポットを持ったアナが、やって来る。

「あら、楽しそうな笑い声が聞こえたから、何事かしらと思ったら、あなた達でしたのね?

 いつからそんなに、仲良しになられたのかしら?」



 エドワードが、悪ガキチックに答える。

「へっ、俺とこいつが?

 冗談じゃ無いぜ」


「そういう態度が、女性に不安感を抱かせるんじゃないかな?」


「グッ」

 サナンダの指摘で、エドワードが押し黙る。




 とにかく、エドワードが剣の素振りをしている横で、紅茶を飲みながら打合せを始める。


 サナンダは、新型馬車の図面をニコリともせずに説明する。

 仕事中は、すごい集中力だ。


 それに比べて、エドワードの方はキャサリンたちが気になって仕方ない様子だ。

 そのことを、護衛のアランが少しからかっただけで、真っ赤になって剣を振っている。

(何だか、可愛らしいですわね)

 エドワードの方を微笑みながら見るキャサリンを、サナンダは悔しそうに眺める。




 打合せが終わって、エドワードも交えてティーブレークに入る。


「昨日から、俺とキャサリンは一つ屋根の下で暮らしているんだぜ」

 エドワードが、いきなりマウントを取ろうとする。


「確かに同じ建物で過ごせば、それぞれの護衛が一緒に付くことになり、襲撃されにくくなりますね。

 僕も、郊外の商談センターでは無く、ここに泊まろうかな?」

 サナンダは、冷静だ。


「いや、ここは宿屋じゃ無いぞ!

 俺とキャサリンの愛の巣だ。

 無関係の他人を泊める訳にはいかないな」


「愛の巣とか、そんな訳無いでしょう。

 ここは、公爵家の別邸なのですから。

 僕は、公爵の仕事を補佐していますので、公爵の許可が下りれば宿泊するのも良いかも知れません。

 特に、公邸を一方的に愛の巣などと表現する人と一緒では、キャサリン様も安心してお休みになれないでしょう」


 キャサリンは、確かにその通りだわ、とか思っている。


(でも、今日の所はエドワードの邪魔をしてくれて嬉しいのだけど、まだ入学前からクララの恋敵の邪魔をしてきている、とも考えられるわね)


 サナンダをジッと見た後、エドワードの方を見ながら考え込む。

(サナンダの申し入れを断って、エドワードが変なことをしてきたら、ちゃんと責任取ってくれるのかしら?

 でも、責任を取ってクララと結婚できないから、私を殺そうとすると考えると、絶対に気を許してはいけないわ)


 エドワードが、キャサリンに訴える。

「おいおい、何を考えこんでいるんだよ。

 こいつの申し出を受けるつもりなのか?

 こいつは、むっつりスケベだぞ。

 こいつの方が、絶対危ないぞ」


「言いがかりは、止めて下さい。

 私は、あくまでビジネスの都合上、合理的な選択を考えているだけです」


(でも、確かに愛の巣とか言っていたしなー。

 どうしようかなー)

 と考えて、キャサリンは拒絶が正しいと思った。

「今日だけではありませんが、私の寝室は内側から鍵をかけて、合い鍵は私が管理します。

 ですから、私が許さない者は、だれ一人として中に入れる気はありませんから」


 男どもを追い払うつもりの言葉だったが、これを聞いてから宿泊を取り下げると、キャサリンの寝室に行けないから取り下げたかのように見えるということで、結局サナンダも一泊していくことになった。


 二人はけん制し合うので、キャサリンの貞操の危機は去ったようだ。

次回の投稿は、いつも通り11月5日(木)15時の予定です。

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