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ばくやく令嬢しか勝たん  作者: 御堂 騎士
第4章 ばくやく令嬢 婚約するも、命の危険におびえる
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70.直接の接触は禁止です

 また、数か月が経った。

 相変わらず、ヴェンデリン母子は行方不明のままだ。


(本当に、一連の事件に巻き込まれていなければ良いのだけれど)

 将来はキャサリンの騎士ナイトになると宣言してくれたヴェンが心配で、キャサリンはしょっちゅう城郭内にあるヴェンデリンの家を見に行ったが、誰もいない様子だ。




 そして、大事件が起こった。


 毎月一回行われていた「攻城軍撃退演習」で、それは起こった。

 2回目からは、特に来賓を招いたりしていなかった。

 ただ、破城鎚はじょうづちを爆薬で転がしたりする訓練として行われていた。


 なので、キャサリンたちも定期的に行われていることすら知らなかった。




 いつも通り訓練を行っていると、森の中から何者かが飛び出してきた。

 目印にしている黄色い線を越えたので、城壁の上の投石器から爆薬玉が発射された。



 飛び出してきた者は、巨人族のようだ。

 一般人かも知れない。

 そう考えた指揮官は、風の魔法で爆薬玉を標的から反らせた。


 自分から離れた場所に着弾した爆薬が爆発するのを見届けて、巨人は城壁に向かって猛ダッシュしてくる。


 身長5メートルほどの巨人にとって、残り500メートルほどの距離は10数秒で走り切れた。


 あっという間に城壁にかぎ付きロープをかけると、ロープを伝って城壁を登り、城壁の上の兵士たちを蹴散らした。


 発射用のダイナマイトを入れていた袋をかつぐと、城壁から飛び降り、また森に向かってダッシュしていく。




 弩弓どきゅうから次々と矢が放たれるが、巨人は前後左右にフェイントをかましながら走って行くため、全く当たらない。


 あれよあれよという間に森に消えて、逃げられてしまった。


 訓練で使用した残りとは言え、テロに使われた場合それなりの被害が出る量のダイナマイトを奪われた。




 誰が何の目的でこんなことをしたのか分からず、帝都は騒然とした。


 当然帝都の門の出入りは厳しくチェックされて、商人たちの行き来が妨害され、帝都の物価が上がるほどだった。




 ダイナマイトが狙われた。

 ファルマイト公国の、帝都から少し離れた位置にあるダイナマイト商談センターにも多少の現物が置いてある。


 自由都市カサイとジット倉庫のあるセメンタイトには、大量の備蓄がある。


 警備を一層強化した。

 物流と販売を担当しているダービー子爵親子にも、警護が付くようになった。






 キャサリンの家の中庭で、アン夫人とキャサリンがお茶を飲んでいると、ダービー親子やエドワード、ファビオたちがやって来た。


 メンバーから考えて、対策会議のようなものを開きたくて示し合わせて集まったようだ。


「騎士団主催の演習から盗んでいくとは、間違いなく帝国軍恐れるに足らずという宣伝効果を狙っていますね。

 第3騎士団の担当の時を狙ったのは、相性の問題なんだろうか?

 いずれにせよ、周到に準備した可能性が高いですね」

 ファビオが切り出した。


「演習で、『爆薬を持った帝国軍は強いですよ』というアピールをしているのを、打ち消すつもりなんだな?」

 キャサリンの護衛のソフィアが返す。


「戦争をしたい人たちが『勝てる』と思ったら、戦争は始まっちまいますからね」

 エドワードの護衛のアランが、つぶやく。


 臨戦態勢なのが、分かる。

 ファビオも、ソフィアも、アランも、いつもは着ないような重装のよろいを着ている。




「それで、なぜうちに集まるんですの?」

 キャサリンが疑問を呈する。


「それは、戦争が始まるかどうかと、始まった時の勝敗の行方をダイナマイトが大きく左右するからです」

 ダービー子爵の長男 サナンダ・トレント・ダービーが、言葉を選ぶように慎重に話した。


「ダイナマイトは重要戦略物資なので、キャサリンさんは外せない。

 それと、アン夫人のお話も聞きたいってのがある」


「えっ、わたくしですか?」

 急にファビオに名指しされて、アン夫人が驚く。


「ええ、ご実家から何か聞かされていませんか?」


「何かとは?」


「例えば、帝都は危ないとか、実家に帰って来いとか」


「そういう連絡は、ございませんね」


「そうですか。

 そういう連絡が無いという事も、大事な情報です。

 ありがとうございます」



「アンさんにそういったことを聞くのは、今回の事件に彼女の母国ノルド公国が関係あるという事なんですか?」

 いつの間にかこの場にいたノーベル公爵が、ファビオに詰め寄る。


「いや、そういう訳じゃありません。

 ただ、今回ダイナマイトを奪った巨人は、ノルド公国の北にある巨人の国 ボルケーノランドに住むタイタン族みたいなんです。

 タイタン族は、帝国領には一人もいない。

 巨人が住めるような街は、ありませんから。

 帝国領内に入るには、ノルド公国を通ってくる可能性が一番高いので、ノルド公国が何か情報を持っているかも知れないってところなんですよ」


「まあ、ノルド公国の事は置いておいて。

 実情はどうあれ、重要戦略物資であるダイナマイトについて、私を飛ばして娘のキャサリンに相談するのは、やめて欲しいね。

 皇室の行事に毒薬を仕込んだり、帝国騎士団の演習場から戦略物資を奪い取るような奴らなんだろ?

 そんな奴らに、うちの娘が狙われたら大変だ。

 たとえメッセンジャーにしかならなくても、僕を通してくれたまえ」


「こ、これは失礼しました」

 ダービー子爵以下、恐縮して公爵に謝った。


「ぼ、お、俺は、婚約者としてキャサリンに会いに来ましたので」

 エドワードだけ、言い訳くさい。


(ダービー親子と直接話をせずに済むとしたら、これはラッキー?)

 ニンマリと笑うキャサリンの横で、サナンダが悲しそうだ。


次回更新は、10月27日(火)にします。

先週、火曜日更新の威力を思い知らされましたので。

今週は、先週に引き続き週4回更新でいくつもりです。


回数が増えても、読んで下さいね。

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