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ばくやく令嬢しか勝たん  作者: 御堂 騎士
第4章 ばくやく令嬢 婚約するも、命の危険におびえる
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69.11才の誕生パーティー

 最近キャサリンは、エドワードと顔を合わせると必ず言う事があった。

 これだけは、命を守るために言っておかないといけない。


 特に、今回は父も皇帝陛下もいるので、その前で言う。

「エドワード様。もし好きな人が出来たら、婚約は解消して下さいね。

 お父さまは、私が気に入るなら誰が結婚相手でも良いとおっしゃっています。

 皇帝陛下もよろしいですわよね?」


 皇帝陛下は、少し困った顔だ。

「ファルマイト公国との信頼関係が、そのくらいのことで揺らぐことは無いと思うから、まあ、良いのかも知れ……」


「ダメです!

 俺は、絶対に婚約を解消する気は無いし、他の女性を好きになったりしない!」

 エドワードが言い切る。


「いや、あくまで好きな人が出来た場合です。

 エドワード様は、側室を置くことを嫌がっておられるようなので」


 キャサリンは、前にエドワードから聞いたのだ。

 彼の産みの母は、側室という立場だったせいで男の子を産めなかった他の側室から嫌がらせを受けていたと。

 皇帝は跡取りが必要だから、側室を置かなくてはいけなかったのかも知れないが、陰湿な権力争いは嫌だから、自分は絶対に側室を置かないと宣言していた。


 その信念を守るために婚約者を殺すくらいなら、側室を取れよと思わなくも無かったが。




「えっ、婚約を解消される可能性が、ほんの少しでもあるのですか?」

 サナンダが、にこやかに反応する。


「君は何だ?」

 エドワードが、サナンダを睨みつける。


「これはエドワード様、失礼いたしました。

 私は、サナンダ・トレント・ダービーと申します。

 ファルマイト公国の帝都における交易の責任者、ダービー子爵の長男でございます。

 キャサリン様には、主にビジネス方面で『良く』していただいております」


「そ、そうか。

 ビジネス方面で『だけ』、良くしてもらえば良いんじゃないか」

 エドワードは不機嫌そうに答える。




「ハハハ、僕のいない間にキャサリンちゃんの人気は、急上昇したみたいだね。

 もし本当に、婚約解消したなら、僕と一緒に領地経営をしてもらえると嬉しいな」

 この会で久しぶりの再会となったゲオルグが、話に入って来た。


「ゲオルグ兄さん。本当にそんなチャンスは、無いですから」


「いやいや、婚約解消を言われるってことは、きっと何かあるんだよ。

 僕にもきっと、チャンスはあるさ」


 笑いながら話すゲオルグは、クララのジトっとした視線に気づいて、付け足した。

「い、いや、今のは冗談。冗談だからね。

 僕は、弟とキャサリンちゃんの結婚を、こ、心待ちにしております」

 語尾も変だ。


 ゲオルグは領地に向かう前にクララにプロポーズして、断られたと聞いている。


(ゲオルグ様は遠く離れたから、もう大丈夫と油断していましたわ。

 離れても、手紙や魔法を使って関係は続けられますわね。

 注意しておかないと危ない所でした)

 キャサリンは、警戒を強めた。






 キャサリンのリクエストで、パーティーの最初にバースデーケーキのテーブルをみんなで囲んだ。


 ケーキの上に11本ロウソクを立てて、照明を落としてもらった。

 キャサリンは思いっきり息を吸い込んで、ロウソクの火を吹き消した。

 拍手が巻き起こった。


 照明を元に戻して、みんなにあいさつをする。

 この世界には、こういう風習は無いようだったが、キャサリンがやって見たかったのだ。




「年齢の本数のロウソクを立てることで、誕生日会の主題である年齢を認識しやすくする。

 部屋の照明を明るくしたり、暗くしたりして、ケーキに皆の目を惹きつける演出も考えられている。

 なかなか面白い趣向ですね」


 サナンダが、立ったまま考える人のようになっている。

 新しいことを見ると、分析せずにはいられないようだ。




 クララが、コッソリとケーキの上に置かれた大きなチョコレートのプレートの上に飛び出したロウソクの芯のようなものに火を点ける。


 パパパパーン


 チョコレートのプレートの上で、火薬が破裂して、穴が開く。

 文字の形をしている。


~キャサリンちゃん、ハッピーバースデイ~


 みんな、「おおー」と感心している。


「キャサリンちゃんは爆薬令嬢だから、爆発をテーマに作ってみました。

 思った通りに穴が開かなくて、エレナさんも手伝ってくれたけど、本当に苦労したんだよ。

 えへへー」


「チョコレート自体も柔らかいと、こんな風に穴が開かないでしょ。

 固くしたら、全部割れて飛び散ってしまうはずですわ。

 火薬の量も何もかも、簡単では無いはずです。

 クララさん。本当にありがとー!」

 キャサリンの目には泪が浮かんでいる。


「そんなに感動してもらったら、頑張った甲斐があったよ。

 私もキャサリンちゃんのことが好きだから、頑張ったんだよ」


 少しだけ百合エンドの事がキャサリンの頭にちらついたが、振り払った。

「私が、ばくやく令嬢だからって。

 チョコレートに爆発で字を書くなんて、アイデアも面白いよ。

 芸術は、爆発だね」




 キャサリンとクララが手を取り合って感激している横で、サナンダがチョコレートのプレートを詳細に観察している。


 不発の場所があったのか、突然パンッと弾けた。

 サナンダの顔にチョコがつく。


~キャサリンちゃん、ハッピーバースデイ!~


 一文字増えている。


「キャサリン様は、お友達も含めて、私ごときには思いつかないようなすごいアイデアを、日常的に実現しておられます。

 今までの私が、いかに井の中の蛙であったか、思い知らされます」


(まさか、サナンダとクララの出会いのきっかけを作ってしまった?)

 キャサリンは呆然とサナンダの方を見つめてしまった。


「キャサリン様、申し訳ありません。

 出過ぎたことを言ってしまいました」

 サナンダの顔は、キャサリンに見つめられたせいで真っ赤だ。



次回更新は、いつも通り10月26日(月)15時の予定です。

その次の投稿は、27日と29日で迷っています。


先週の火曜日の沢山のPVとポイントありがとうございます。

もし火曜日の読者が掘り起こされようとしているとしたら……

そう思うと、更新日の移動、もしくは追加が魅力的です。


更新日時が、ふらついてしまって申し訳ありません。

こんなことで嫌になって読むのを止めたりせずに、続きも読んで下さいね。

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