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ばくやく令嬢しか勝たん  作者: 御堂 騎士
第4章 ばくやく令嬢 婚約するも、命の危険におびえる
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68.爆薬は抑止力

 一月ほど経って、東西の砦にダイナマイトが届いたという連絡があった。

 沢山の爆薬を備蓄した砦の利点をアピールする時が、やって来たようだ。



 ファビオの第二騎士団を中心にして、攻城軍撃退演習が行われた。


 帝都に住む上級貴族は、城壁の上の貴賓席きひんせきから見学する。


(お父さまは、私が行事に駆り出されることは無いとおっしゃっていましたが、しっかり駆り出されてしまいましたわ。

 でも、この演習には興味があったので、見に来れて嬉しいですけど)




 帝都のもっとも外側の城壁の上に、弩弓どきゅうや投石器が並んでいる。


 帝都のこちら側は、城壁の外はまっさらの平地だ。

 この辺りは、軍事演習用に騎兵隊が管理しているそうだ。


 草むらが幅3キロ、奥行き1キロほどの広さで広がっている。

 冬なので、草むらの草も元気がない。

 茶色い草むらだ。


 その先に見える森も、騎士団が管理している。




 最初に、ファビオ団長が挨拶をする。

 魔法の拡声器スピーカーで、会場中に声が響き渡る。


「本日は、帝都の上層部と言える方々に集まっていただきました。

 このような場に来ていただき、感謝にえません。

 本当に、ありがとうございます」


 ありきたりのあいさつだが、城壁の上はビュービュー風が吹いていて、髪の毛も乱れるし寒い。

 本当に、このような場所と言われるに値する。

 よく見ると、キャサリン以外の来客は、ほぼ男性だ。


 クララの父ハイデルベルク伯爵の姿も見える。

 クララは、いない。




「まず最初に、城壁から1キロの場所に目印の線を引きます」


 ファビオの言葉に合わせて、投石器から黄色い球が打ち出された。

 黄色い球は、地面に落ちると左右に開いた。

 黄色いロープが魔法の力で両側に伸びていき、線が引かれた。


「この黄色い線をまたぐ者があれば、相手の速度に合わせて爆薬が放たれます」


 その言葉からしばらくして、森の中から盾を積んだ4輪台車が猛然と走ってくる。

 魔法の動力で動いているようだ。

 結構なスピードだ。




 そこそこの大きさの台車が、黄色い線を越えた。

 ファビオの合図で、弩弓どきゅうから次々と矢が放たれる。


 矢は、城壁に置かれたかがり火の中をくぐる。

 矢に結わえつけられたダイナマイトの導火線に火が点いて、走ってくる台車の盾に突き刺さる。


 あまり時間を置かずに、刺さった矢が次々と爆発する。

 盾の付いた台車は、跡形も無く吹っ飛んだ。


「ほおー」

「凄まじい威力ですな」

 会場の貴賓席から、驚嘆の声があがる。




 続いて、破城鎚を模した8輪台車が、また走ってくる。


 台車の上にやぐらのような構造が組んである。

 そこに大きな丸太が吊り下げてある。


 やぐらの屋根は丈夫で、城壁の上から弓矢や魔法の攻撃を受けても跳ね返すようになっている。


 吊り下げられた丸太を、除夜の鐘を打つように動かして、城壁を突き崩す。


 長さ10メートル位あり、重量もすごいので、ゆっくり前進する。


 黄色い線を超えた所で、投石器から爆薬玉とでもいうような黒い球が打ち出された。

 打ち出す直前に、導火線に火を点けており、破城鎚の近くに着弾すると、爆発した。


 ドドーン!


 大音響が響き渡り、巨大な破城鎚は爆風でひっくり返った。

 巨大なために、いちどこけると起こせそうにない。


「みなさま、見ていただけましたでしょうか?

 爆薬をタップリ持った砦を攻めようとしても、大型の攻城兵器は見ての通りです。

 生身の人間が攻めかかったとすれば、悲惨な光景が広がることになるでしょう。

 帝国の平和は、大量の爆薬によって守られていくこととなります」


 貴賓席は全員立ち上がって拍手した。

 キャサリンも立ち上がった。


「こういう模擬戦を見せられたら、そしてこれを伝え聞いた人たちは、帝国相手に戦争を起こそうとは思わないはずですわ。

 爆薬が兵器として使われるのは心外だと思っていましたが、これなら戦争を防ぐ用途になりますわね」

 満足そうなキャサリンの言葉に、ソフィアもうなずく。






 本当に抑止力になったのだろうか?

 それからまた数か月経ったが、エドワードが命を狙われたり、戦争の兆しになるような事件は何も起こらない。


 皇后陛下の乗った馬車が襲われるなど、恐ろしく大胆な犯行の事も皆忘れそうなくらいだったが、ヴェンデリン母子はキャサリンの婚約披露パーティー以来、行方が分からないままだ。




 ノーベル公爵が、娘の11才の誕生日を祝うために再び帝都にやって来た。


 アン夫人のお腹も、ずいぶん大きくなってきた。

 二人目の子供が産まれるまでは、帝都にとどまると公言している。


 当然、そのために公国では随分と頑張って、ビジネスの面倒も見れるように後継者を何人も育ててきたらしい。




 彼は、当然のように大々的な誕生日パーティーを開こうとしたが、キャサリンが嫌がった。


 お客さんをたくさん呼ぶと、婚約披露パーティーの時のように暗殺を狙う人を防ぎきれない。

 父は、公爵の威信にかけてそれを防ぐと言うが、万一にでも身重のアン夫人に危害が加えられたら大変だ。

 それを言われると、公爵はすんなり身内だけのパーティーを了承した。




 誕生日パーティーは、それでも豪華なものだった。

 帝都で指折りの高級食材を集めて、公爵家の料理人が腕によりをかけた料理が並んだ。


 そして、クララが作る特大のバースデーケーキ。


 本当に身内だけという事で、家族の他にはケーキを作ってくれるクララ、婚約者のエドワードとわざわざ領地から駆け付けたゲオルグを招待した。


 皇帝陛下と皇后陛下は、変装してお忍びで参加した。

 ちゃっかり護衛として、ファビオがついて来た。


 キャサリンの誕生日なのに、ソフィアにべったり引っ付いていたが。


 どこから聞きつけたのか、サナンダ・トレント・ダービーも参加した。


次回更新は、10月24日(土)15時の予定です。


沢山のポイント、ブックマークありがとうございます。

本当にうれしいです。

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