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ばくやく令嬢しか勝たん  作者: 御堂 騎士
第4章 ばくやく令嬢 婚約するも、命の危険におびえる
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66.プレゼン資料と吸湿材

 明神みょうじんさくらは、眠い目をこすりながらパソコンを操作していた。

 ここは、会社のオフィスだ。

 プレゼン用の資料を作っていたのだ。


 化学系エンジニアとして仕事をしていたが、何かを買うための予算をもらうにも、仕事の進捗報告も、現在の課題に対してのアドバイスをもらうにも、全て上司に対してプレゼンテーションをして、納得してもらわないといけない。




「あーああ、エンジニアとして開発している時間より、プレゼン資料を作っている時間の方が長いんじゃないかしら?

 これでは、パワーポイ〇トエンジニアだわ」



※パワーポイ〇ト

 平成の中頃から令和にかけて、最もメジャーなプレゼンテーションソフト。

 ワープロソフトが文書を作成するため、表計算ソフトが各種の計算を自動で行うためにあるのに対して、プレゼンテーションソフトは紙芝居を作るソフトだ。

(紙芝居の中に動画やアニメを挿入できるので、厳密には違うかも知れないが)


 開発をせずに資料作成ばかりしているエンジニアを揶揄やゆして、一部ではパワーポイン○エンジニアと呼ぶそうだ。




 さくらのボヤキを聞いて、彼女の上司が返す。

「会社組織としては、ちゃんと上司の決裁を取って、組織全体で責任分担して仕事を進めなさいってこった。

 でも俺が上司のうちは、ガンガン開発して事後報告でも良いんだぜ。

 俺は、パワーポ〇ントエンジニアより、パワープレイエンジニアの方が好きだからな。

 ガッハッハ」


(ハアーッ、そんな風に豪快に割り切れるくらい仕事が出来ればなあ)



 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



 キャサリンは、ハッと我に返った。


 羊皮紙に羽ペンで書いて作った説明用資料を見ているうちに、前世の記憶がよみがえったようだ。


「まずこれを見て下さい」

 そう言って、キャサリンはプレゼン用の資料をテーブルの上に広げた。


 テーブルの上には冷えた水が置いてあるが、全く濡れていない。


「テーブルが濡れていませんね。

 このコップの下の敷物が、水を吸っているようです。

 だから遠慮なく、このテーブルの上に紙を置けるのですね」


 説明の前に、子爵はコースターに食いついた。


(さすが、お父さまのお気に入りになるだけのことはあるわ。

 中々の観察力ね)


「ええ。珪藻土けいそうどで出来たコースターですわ。

 この珪藻土は、ニトログリセリンを染み込ませてダイナマイトにすることも出来ますが、このように吸湿性を活かして、生活の様々な所に利用することも出来ますのよ」


「へええ、これも新しい商品になる訳ですか?」

 ダービー子爵は、感心する。


「コースターは、珪藻土の吸湿性のデモ用です。

 バスマットなどの大きなものを商品にします。

 このコースターは、ダイナマイト商談センターでの商談の時に、さりげなくテーブルの上に置いておいて欲しいのです。

 それで、さりげなくアピールしてもらうと、助かります」


 キャサリンが説明している横で、子爵の長男サナンダは、コースターに水滴を落として吸湿性を確認している。

「すごい!

 一瞬で水を吸い込んでしまう。

 そして、表面は濡れていない」


(こういうサクラみたいなことを、商談の席でもやってくれたら助かりますけどね)




 キャサリンは、サナンダの方を一瞥すると説明を始める。

「話がれましたが、子爵はファルマイト公国の交易に関して、ダイナマイト以外の全ての商品についても、販売、流通の責任者なんですよね?」


「はい、その通りです」


「では、ご説明いたします。

 現在の我が国の主要輸出品目がこちら、そして今後延ばしていく品目がこちらになります。

 そのための課題が、こちらです」


 キャサリンが紙の上を木の棒で指し示しながら説明していく。


「すごい、強調したいことは四角で囲んで、目立つようにしてある。

 しかも、簡単な絵が描いてあるせいで、すごく分かり易い」

 サナンダが、目をランランと輝かせて資料に見入っている。




「キャサリン様、申し訳ございません。

 長男のサナンダは、親の私が言うのもなんですが天才的な頭脳を持っており、10才とは思えないほど冷静沈着に物事を処理できます。

 それで、いつもビジネスの場に同席させて、彼の着想を役立てていたのです。

 ただ今回は、自分よりも天才的な発想に触れて、子供らしい一面を見せてしまっているようです」


「まあ、お世辞がお上手なのですね」


「お世辞では、ございません。

 いきなり見たことも無い新商品を見せられ、このような説明資料を見せられて、大人のわたくしも敬服いたすほかございません。

 うわさでは、途轍とてつもなく優秀な方とお聞きしておりましたが、これほどとは想像もしておりませんでした」


(いやいや、珪藻土のコースターも、プレゼン資料の作り方も全部前世の知識ですから。

 全部、単なるチートですよ)

 キャサリンは苦笑いだ。




「それにしても、すごい」

 説明に使った資料を、パラパラとめくっては、サナンダが感心している。


(凄いのは、あなたの方よ。

 令和日本の標準化されたプレゼン技術を、持って来ただけなんだから。

 普通の人なら「フーン」と聞き流すだけなのに、どこがポイントなのかをしっかりチェックして分析している。

 本物の天才なのね)




 サナンダの整った顔立ちを、ボーッと眺めていたが、

「僕の顔に何かついていますか?」

 突然、聞かれた。


「ああ、ごめんなさい。

 色々準備するのに、疲れてしまったみたいですわ」


(こいつって、悪役令嬢キャサリンとは全く恋愛フラグが立たないけど、とにかくキャサリンの邪魔だけしてくるキャラなのよね)

 そう思うと、サナンダを見る目がジト目になった。



「ご、ごめんなさい。

 キャサリン様が疲れて目線が動かなかっただけなのに、自分を見つめてくれているのかと誤解してしまいました。

 そんな冷たい目で見ないでください」


 サナンダが、妙にあたふたしている。


(私も、ゲームをしていなければ、少しはときめいたかもね)

 キャサリンは冷静だった。


次回更新は、10月20日(火)を予定しています。

ちょっと、ゲーム攻略キャラのまとめ回になります。


ここまで月木土と更新していました。

いつも、更新の無い日はほとんどPVが無く、月曜日はちょっと多めでした。

2日も間の空く木曜日は、ガクッとPVが減り、土曜日で少し盛り返す感じでした。


ところが、先週は更新の無い火曜日に更新日並みのPVがありました。

そして、木曜日もPVが減らずに、ポイントが入ったのです。


火曜日に秘密がありそうなので、今週はテスト的に火曜日にも更新してみようと、思い至ったわけでございまする。

ちょっと変則的な更新になりますが、読み続けて頂けると嬉しいです。

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