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ばくやく令嬢しか勝たん  作者: 御堂 騎士
第3章 ばくやく令嬢 主人公との恋の駆け引きは爆破不能?
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53.皇帝陛下の賜剣(しけん)

 ゲオルグがプリンスになる拝命式の当日となった。

 女神ラスナ様に扮した大聖女から、賜剣しけんを受け取る儀式だ。


 賜剣しけんは、皇帝陛下がゲオルグのために特別に用意してくれたものだ。


 クララは、3兄弟お漏らし事件の後正式に聖女の一人に加えられてしまい、大聖女の横に並ぶ役目を仰せつかってしまった。

 純白のドレスに身を包み、お城の前の広場にある大舞台に並んで座っている。


「私、本当は聖女でも何でもないのに。

 これから、新しい貴族の人が拝命式をやるたびに、こんな式典に出ないといけないの?」

 クララは、不満げに言っていた。

 だが、教会から聖女と認定されている以上、今後は帝国の貴族といえどもクララを粗末には扱えない。

 もう、ハーフエルフだからとか、平民だからとか言う人はいなくなるだろう。


 そして、自分の拝命式がクララの聖女デビューになったことを、ゲオルグが大喜びしていた。




 キャサリンがエドワードから聞いた話だと、ゲオルグは領地まで付いてきて欲しいとクララにプロポーズしたようだ。

 でも、平民のクララがプリンセスになる訳にはいかない。


 どこかの貴族の養子になる必要がある。

 帝国本国だとハーフエルフのクララが貴族になるのは難しい。

 4つの公国のどこかの貴族の養子になるのが望ましい。


 もちろん、ノーベル家など地位の高い家は論外で、男爵家あたりに限定される。


 ややこしい話に母を巻き込みたくないと、クララは断ったそうだ。


 正室もいないのに、クララを側室にするという手も無くは無いが、好意はゲオルグからの一方通行のようで、ゲオルグは言い出せなかったらしい。






 お城から、お付きの者2名を従えて、ゲオルグが現れる。

 お城の前の広場に、帝国騎士団が3つの隊に別れて待機している。


 それぞれ、各騎士団の団長が隊の先頭に立っているが、真ん中に位置する第二騎士団の団長ファビオ・パレルモは、そこにいない。


 騎士団団長の服を着た、皇帝お気に入りの小さなリスザルのキキが先導している。


 二人の騎士団長とキキが敬礼をすると、3人で広場の前の大舞台へとゲオルグを案内する。


 大舞台の上では、女神ラスナのコスプレをした大聖女と純白のドレスに身を包んだ6人の聖女たちが立って待っている。


 クララ以外はみな、そこそこの年を召しており、彼女一人だけ子供だ。

 当然すごく目立つ上に、3兄弟お漏らし事件はみんな知っている。


 この日クララ・ハイデルベルクという名前が、列席の貴族たちに伝わった。


 当然、その貴族の中にはハイデルベルク伯爵がいた。

 ハイデルベルク伯爵は大舞台の聖女たちを見て、すぐに気づく。

 クララは、彼の愛したエルフ ビアンカの娘であると。




 お猿のキキと帝国騎士団の団長は、大舞台の前で昇降用の階段の前を空けて直立する。


 ゲオルグは階段を登って行き、大舞台の中央まで進む。

 大聖女が、典礼用の賜剣しけんうやうやしくゲオルグに手渡す。


 この瞬間、プリンス ゲオルグが誕生した。


 会場は割れんばかりの拍手に包まれ、ゲオルグは剣を抜くと天に向けて剣を振り上げた。

「私、ゲオルグ・シェクター・ナードハートは、本日をもってプリンスの称号を拝命いたします。

 これ以降、ナードハート帝国並びに女神ラスナ様を称える教会の守護者として、剣を振るう事を誓います」


「プリンス・ゲオルグ!」

「プリンス・ゲオルグ!」

「プリンス・ゲオルグ!」

「プリンス・ゲオルグ!」


 会場中の皆が右手を振り上げて、ゲオルグの名前を叫ぶ。


 ゲオルグは舞台の上から一礼すると、剣を鞘にしまい大舞台から降りてきた。


 満場の拍手を受けながら、ゲオルグが城の扉に向かって歩き始める。




 その時、事件が起こった。


 お猿のキキが、ゲオルグの剣を取って走り去って行く。

 会場は、一瞬何が起こったのか分からず、静まり返った後大騒ぎになる。


 ゲオルグが叫ぶ。

「誰か、取り返して!

 皇族が賜剣しけんを失うなんて、あってはいけないことだ」


 皆がキキを追いかけて捕まえようとするが、すばしこくて捕まらない。

 通常なら、式典の最中に狼藉ものが発生した場合、弓矢で射殺いころすか、魔法で拘束してしまう。


 だが、相手が可愛いリスザルだったことと、皇帝陛下のお気に入りだったことで誰も手荒な手段を使わなかった。


 そのうち、キキは護衛の手をすり抜けて、お城の壁を器用に登っていく。


 壁から飛び出した張り出し櫓(バルティザン)に飛び移ると、塔の部分を登りきり、円錐形の屋根に登って行った。


張り出し櫓(バルティザン)

 城壁から張り出す形で上方に伸びるように建築された塔。

 一般的には、城壁から張り出したやぐらは、タレットと呼ばれる。

 中でも、胸壁(城壁の上に展開する兵士を守るための凹が並んだような低い壁)を超える高さを持つ物が、バルティザンと呼ばれる。

 大型の側防塔より安く作れることと、張り出した形になっているために攻撃しにくいことから、スコットランドやイングランドの城ではよく見られる。




 騎士団が長い梯子を持ち出して来て、張り出し櫓(バルティザン)にかけて梯子を登っていく。

 しかし、キキはそれでも届かない位高い所まで、登ってしまった。


 屋根の先端にポールが立っているのだが、そのポールに登ってしまい、そこで動かなくなった。


 張り出し櫓(バルティザン)を見上げる位置に、ゲオルグの関係者、皇帝の家族やキャサリン達が集まって来た。


 聖女隊の中から、いつの間にか抜け出してきたクララも一緒に見上げている。


「腰が引けてるから、怖くなって動けなくなっているみたいだね」

 クララはそう言うと、諦めて騎士団が降りてきた梯子を登ろうとする。


「クララ様お待ちください。

 その恰好のまま、梯子を登られますと、中身が丸見えです」


 エレナが、作業着のような男性用のスラックスを渡すと、純白のドレスのスカートの下にスラックスをはいた。

「よし、これで見えないね」


 彼女は、純白のドレスのスカートをたくし上げるとスラックスに押し込んだ。

 自慢げにパンパンと、スラックスをはたいて見せる。


 その余りの品の無さに、大聖女が顔をそむける。




 ズボンをはいたクララは、さっきのリスザルと同じくらいの速さで梯子を登って行った。

 猿を追いかけて、聖女様が梯子を登っていく様子を見て、群衆はさらにざわめいた。




 梯子の一番上から、塔の円錐形の屋根に飛び移る。

 石積みの段差部分をつかんで少しずつ登っていくが、やはり届かない。




 スルスルと降りて来たクララが、言う。

「塔の上の方は段差が少なくて、つかむ所が無いよ。

 小さな猿は登れたけど、私達にはちょっと無理だね」


 下から皆で見上げていると、騎士団団長のファビオが、大型の弩弓バリスタの準備を始めた。

「もうすぐ日が沈みます。

 こいつなら、あそこまで攻撃が届きます。

 可哀そうですが、射殺いころす他ないでしょう。

 皇帝陛下の賜剣しけんを盗み取ったのですから、人間であれば死刑なのですし、仕方ありません。

 あの高さから落ちれば、剣も傷つくでしょうが不可抗力と考えましょう」



★あとがき


「9月19日までは毎日更新」を目標に頑張っていました。


ずっと読んでいただいている方には、申し訳ありません。

書きだめが尽きてしまったので、掲載が不定期になることを避けるために、更新頻度を下げたいと思います。


以降、月木土の週3回投稿とさせてください。

具体的には、次回以降更新は9/21(月)、9/24(木)、9/26(土)……と考えております。

今まで通り15時に更新の予定です。

(「夜の投稿の方が良いのではないか」との意見も頂きましたが、数少ない試行錯誤から15時更新が一番PVが上がったので、続けたいと思います。すみません)


ここまで毎日更新が続けられたのは、まさにこの文章を読んでいただいている読者の方々のおかげです。

本当にありがとうございます!


少し更新頻度は下がりますが、引き続きお読みいただければ、励みになります。


ブックマークもポイントも沢山いただき、感謝しかありません。


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