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ばくやく令嬢しか勝たん  作者: 御堂 騎士
第3章 ばくやく令嬢 主人公との恋の駆け引きは爆破不能?
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51.ばくやく令嬢の子守歌

 秋とはいえ、晴れた中を1時間も歩いたので、皆汗をかいていた。


 十分に涼んだ所で、皆集まって昼食にする。


 クララとキャサリンは、おにぎりとおかずの構成でお弁当を持って来ていた。

 皇子二人とエリザベスは、サンドイッチ中心のお弁当だ。


 ファビオは、乾パンと木の実を巾着袋きんちゃくぶくろに入れて持って来ていた。


「お、女の子たちは、そんなおしゃれな携行食を食べるんだ」

 実は、ファビオは小さな頃から武人として育てられたので、お出かけの時にお弁当を食べたことが無かったそうだ。

 さらに、遊び人のような外見に似合わず、女性とデートしたことも無いと白状した。


「ほ、本当は女性と遊び慣れているのに、ウソを言っているのかもしれませんよ」

 ソフィアが突き放すような言葉を言っているが、ずっと愛情表現をされ続けていたこともあって、ドギマギしていることが傍目はために明白だった。


 からかったら、また反発してファビオにきつく当たりそうだったので、みな見て見ぬ振りをした。




 ゲオルグとエドワードは、サンドイッチを食べ始める。


 エリザベスは、クララとキャサリンが美味しそうに食べる『おにぎり』に興味津々で、ひとつ食べて、感激する。

「こ、これ、すごく美味しい!

 南の国の人たちは、こんな美味しいものを食べているの?」


「お米は、熱帯地方の植物だからね。

 涼しい地域では取れないんだよ」

 クララが解説する。


※お米は、地球でも熱帯地方の植物だった。

 だが、品種改良が進み寒冷地でも収穫できるようになった。

 昭和の頃からは、東北地方でも安定して取れるようになり、温暖化の影響もあってか、北海道でも沢山収穫されるようになった。

 この世界(ジークガルト)では、品種改良は一切されていないので、お米は暖かい地方でしか取れない。




 おにぎりは軍用の携行食としても非常に優秀だと聞いて、ファビオも興味を持ち始めた。


 だがゲオルグとエドワードは、おにぎりの外側を覆う黒いもの(海苔)が気味悪くて、手を出せない。


「クララ様とキャサリン様がこんなに大好きなものを、一緒においしく楽しめない人は、パートナーとして選ばれることは無いでしょうね」

 エレナが二人のそばで小さな声で、意地悪く言う。


 二人は、競うようにおにぎりを食べ始めた。


「たっぷりあるから、そんなに慌てなくても大丈夫だよ」

 クララが呆れている。




 クララが、キャサリンの持って来たお弁当の中にあったリゾットに感動している。

「これ、美味しいーっ!

 この間お米の事を知ったばかりなのに、こんな斬新なレシピを考えるなんて。

 チーズ味のご飯なんて初めてだよ」


(リゾットを知らないというのは、洋食を食べない家の子だったのかしら?

 まさか、令和の日本人じゃ無かったのかしら?

 いっそ、転生者じゃ無ければ安心なんだけど)




「そう言えば、爆薬令嬢の話は諸国に鳴り響いているみたいだな」

 突然、エドワードが切り出した。


「うちの領地では、子守歌にもなってるって聞いたよ」

 エリザベスの言葉を聞いて、エドワード達がどんな歌か知りたがった。


 なんと、エレナが知っていて歌いだした。


~ねんねんねこねこ ねこがーた

 ねこねこねんねん ねこがーた

 立てば爆薬、座ればドカン

 森もお山も吹き飛ばすー

 寝ない子だあれだ?

 爆薬令嬢が吹き飛ばすー

 良い子にしてたら

 鬼も悪夢も木端微塵

 ねんねんねこねこ ねこがーた~


「なんだかすごい歌ね。

 小さな子供が、爆薬令嬢を恐れちゃうじゃない。

 失礼な唄ですわ」

 キャサリンは、怒って見せる。


「本人は、こんなに素敵な女性なのにね」

 ゲオルグがフォローする。

(やっぱり、ゲオルグ様。

 ちゃんと、私が傷つかないように考えて下さってますわ)


 横からエドワードが聞いてくる。

「ところで、ねこがーたって何なんだ?」


「意味は無いでしょう。

 子守歌なんだから、寝るとねこをかけて、ふしを整えているだけでしょう」

 エレナが、それらしく分析した。


(聖女エレナ。

 こんな子守歌の情報まで、しっかり入手しているとは。

 しかも、歌詞も曲も知っているなんて、どれだけの情報網なのよ)

 キャサリンは、恐れを通り越して呆れてしまった。

 後に、自分の身内がこの歌を唄っているのを、聞くことになるのだが。




 昼食が終わって、湖の方に行ってみた。


 湖の岸に、貸しボート屋さんがある。

「二人ずつに分かれて、ボートに乗ろうぜ」

 エドワードが提案した。




 だが、ペア分けが難しい。

「今回のメンバーは、女性が多いね。

 私とキャサリンさんは二人で乗ろう。

 そうすれば、あと3組は男女のペアになるから」

 クララが強引にキャサリンの手を引いて行く。


(ゲオルグ様かエドワード様と乗りたかったけど、クララがその二人と親密になる切っ掛けになったら困るから、この選択はありかも)

 キャサリンは、クララに付いて行く。


「おい、待てよクララ。

 勝手に決めんなよ!」

 エドワードが二人の前をさえぎる。


「あなた達、さっさとエリザベスさんとエレナさんを誘いなさいよ!

 ファビオさんとソフィアさんを二人きりにする大チャンスを、台無しにする気なの?」

 クララに小声で言われたエドワードとゲオルグが、言われたとおりにする。




「二人だけ取り残されちゃいましたよ。

 俺たちも、一緒にボートに乗りませんか?」

 ファビオにエスコートされて、ソフィアがボートに乗った。


 なんだかぎこちないが、似合いのカップルだ。


 遠くから見ると、のみの夫婦のように見えるが、ファビオは180センチを超える大男だ。


のみの夫婦

 のみは、メスの方が体が大きい。

 ここから転じて、大きな女性と小さな男性のカップルを指す言葉。




 すでに湖の上に出ている者たちは、みんなそれぞれのボートの上でガッツポーズした。


 みんなソフィアたちを応援していた。

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