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ばくやく令嬢しか勝たん  作者: 御堂 騎士
第3章 ばくやく令嬢 主人公との恋の駆け引きは爆破不能?
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50.ドキドキ 楽しいピクニック

 さて、ピクニックの当日。


 お城の門の前の待ち合わせ場所に、ゲオルグ、エドワード、エリザベス、キャサリン、ソフィア、クララ、エレナ達が集まった。


 皆集まったので、馬車に分乗して出発しようとすると、もう一台馬車がやって来る。

 帝国騎士団の馬車だ。


「おーい、待ってくれー!

 俺も行くからなー」

 ファビオ団長だ。


「あれ?

 今日って騎士団は、あれじゃありませんでしたっけ?

 ゲオルグ兄さんのプリンス拝命式の予行演習」

 エドワードが聞く。


「ゲオルグ殿下の先導をするのは、最近皇帝陛下がお気に入りのお猿のキキに決まった。

 キキが俺の代わりに、正装して行進することになったので、俺は練習が必要無くなったんだ」


「また、そんなことを言って。

 さぼりましたね」

 ゲオルグに指摘されて、ファビオは頭をく。


「まったく、この男は。

 大事な式典の練習を、団長自らすっぽかすなんて信じられんな」

 ソフィアが冷たく言い放った。


「ソフィアさん。そんな。

 あなたと一緒に過ごすために、万難を排して登場したのですよ。

 騎士団のみんなも、俺の今日の目的を聞いて応援してくれてるんだぜ」

 ファビオの言葉に騎士団の馬車の御者も、ウンウンとうなずく。


 馬車を連ねた一行は、帝都の門を出てしばらく走り、公園の入り口で停車した。




 ヒマール 国立公園。

 帝都近郊で、一番人気の観光スポットだ。


 ソフィアとエレナ以外の付き人と御者たちは、駐車場で待機する。


 その他のみんなで遊歩道を歩いて行く。



 本当にサボって抜け出してきたのだろう。

 ファビオは、軍服姿のままだ。

 帽子だけテンガロンハットで、執務中ではないことをアピールしているつもりだ。



 ゲオルグも軍服っぽいデザインのダークグリーンの上下だし、エドワードも動きやすいようにカーキ色のボーイスカウトのような格好だ。

 二人とも、緑のベレー帽をかぶっている。


 貴族の子供達が、ちょっと冒険に出た感を出したくて軍服ぽい格好しているのを、護衛しているように見えなくもない。


 周りには他に客もいないので、サボっている団長の事はバレないだろう。


 キャサリンは、凛々しい二人の姿を見れて、しめしめと喜んでいた。


 クララは、白地に水色の水玉模様のワンピースで、麦わら帽子をかぶっている。

(中身はクソ度胸で、ミート爆弾をかますような娘なのに、可愛いわ。

 まさか、ワンピースだから麦わら帽子をかぶっているなんてことは無いでしょうね。

 もしそうなら、完全に転生者だわ)


 エレナは、ベージュのブラウスに紺色のレギンスをはいている。

 まだ11才のはずだが、大人の女性のように見える。

(スタイルも歩き方も、モデルさんのようだわ。)


 エリザベスは、白のパンツドレスにいつも通り沢山のアクセサリーを付けて、ジャラジャラ言わせながら歩く。

(よく貧乏貴族だって自分で言うけど、服やアクセサリーがちっとも貧乏くさくないのよね。

 どういうことなのかしら?)


「お嬢様、みんなのファッションを採点しておられますね。

 どうですか? 今日の私は」


(私はそんな目で、みんなを見ていたかー)

 感じ悪いかもと反省しきりのキャサリンの横で、クララが脱いだ帽子を手に持って、クルクルと回って見せる。

 ワンピースのスカート部分が、遠心力でひらひらと舞い上がる。


「オオーッ」

 男性陣が歓声をあげる。


「爆薬令嬢でも可憐かれんなキャサリンちゃんは、そのままだけどな。

 がさつなクララは、うまく化けてるよな」

 エドワードが酷い事を言う。


「クララ様は、がさつではありませんよ。

 ケーキの飾り付けを見ておられるでしょう」

 エレナが抗議する。


「本当だよ。ちょっとそこ! 減点1だからね。

 減点3で、次のケーキのイチゴを一個没収するからね」


 クララに言われて、エドワードがおどけて見せる。

「おーこわ。

 俺のケーキには、わさびとか仕込まないでくれよ!」




 おのおの馬車から降ろした荷物を分担して、歩き始めた。

 ソフィアは、大量の荷物をかつぐ。


「ソフィア。ピクニックなんだから、自分の荷物は自分で持つよ」


 キャサリンが、ソフィアの荷物を取ろうとすると、ファビオが奪い取った。


「レディーの荷物は、わたくしめにお任せください。

 荷物を運ぶために、力を振り絞るソフィアさんを見るのも捨てがたいのですが、男としてこのまま見過ごすわけにはいきませんから」


「また、貴様という奴は私の筋肉がどうこうと言うつもりだな。

 お嬢様、例の秘密兵器を出しましょう」


「えっ? 秘密兵器?」


 戸惑うファビオを無視して、ソフィアがポンチョを着る。

 フードをかぶって、完全にソフィアの肌の露出はゼロになった。

「これで、私の筋肉は見たくても見れまい」


「ええっ? 今日の俺の参加目的が一つ、完全に潰されてしまった」

 ファビオが無残なほど、しょんぼりしている。


「こんなに思われているのに、冷たすぎるんじゃないですか?」

 クララが、少し強い目に抗議する。


「私をからかうために、大事な式典の練習をサボるようなやからだ。

 これくらい厳しくしないと、調子に乗るからな」


「ソフィアさん。

 俺は、あなたをからかうつもりなんか無い。

 俺は、本当にあなたに会いたかったから、ここに来たんだ。

 それだけは、分かって欲しい。

 あなたの為だったら、式の本番でもすっぽかしますよ」


「おいおい、僕の前でそれは失言だよ」

 ゲオルグが大笑いする。


「でも、こんなに素敵な人に、ここまで思われるなんて、わだしも羨ましいです」

 エリザベスが、夢見るような乙女の表情だ。




 1時間ほど歩いて、目的地の湖の横の芝生に到着した。


 麻のような素材で出来たレジャーマットを敷いて、荷物を降ろす。


「フーッ。秋とはいえ、さすがに未だ暑いですね」

 ソフィアがポンチョを脱いだ。


「汗をかいたソフィアさん、素敵だ。

 今日は来て良かった。本懐を遂げた気分だ」

 荷物をタップリ持ったファビオが、水筒の水を飲みながら、すごく嬉しそうだ。


「ポンチョは、お前のために着たんじゃないからな!」

 ソフィアが、必死で叫ぶ。


 みんなの荷物を運んで、ファビオは汗だくだ。

 汗をぬぐうファビオが、意外と爽やかなせいか、ソフィアは真っ赤だ。


「ソフィアさん、真っ赤ですよ」


 クララに指摘されて、ソフィアが大声を出す。

「暑い、暑い!

 未だ暑いから、血の巡りがすごく良いんだな。

 なんか、おかしな目で見るやつがいるから、私はむこうで涼んでくる」


 ソフィアが皆と離れて、木陰に隠れてしまった。


「もう、クララ。ダメじゃない。

 ソフィアは素直じゃ無いんだから」


 キャサリンにたしなめられて、クララが謝る。

「ゴメンゴメン。次からは気を付けるよ」

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