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ばくやく令嬢しか勝たん  作者: 御堂 騎士
第3章 ばくやく令嬢 主人公との恋の駆け引きは爆破不能?
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49.ばくやく令嬢 かやくご飯を食べる

 今後ウサギへのエサやりを禁止されて、クララはすごく落ち込んでいた。


 その落ち込みようといったら無かった。


 絵の授業の時、エドワードが、

「地下牢に1カ月くらい入ることになったのか?」

 と、からかうほどだった。


「仕方ないだなあ。

 アジーンは、美食を覚えてしまったから、領地に帰る時アジーンだけ譲るよ。

 でも、アジーンだけ特別扱いしたら他のウサギがすねるから、わだしが帰るまではエサやりは、禁止だよ」


「うん、ありがとーーっ!

 大切に育てるよ。

 この可愛いアジーンが私のものに。

 ウフフフ」

 あっという間に、クララは最上級の上機嫌になった。


 実は、アジーン以外はクララに懐いていなかったのもある。




 さて、ゲオルグは遠くに赴任していく。

 エリザベスも領地に帰る。


 バラバラになってしまうので、思い出作りをしようという事になった。

 ゲオルグ、エドワード、キャサリン、エリザベス、クララに、ソフィアとエレナを伴って、ピクニックに行くことになった。


 この面子めんつで遊びに行くのは、初めてだ。


(どんな豪華なお弁当を作ってもらおうかしら)

 などと、キャサリンが考えていると、

「じゃあ、私はおにぎりを作って来るね」

 という声が聞こえた。




「く、クララさん、今おにぎりとおっしゃいましたか?」


「あ、ごめんなさい。

 貴族の方には、下品な食べ物でしたね」


 キャサリンは、この世界ではお米を諦めていた。

 ほとんどの穀物は小麦やライ麦などの麦類で、芋や豆は各種食べているが、米は見たことすら無かった。


 実はファルマイト公国の隣国、ダーバン共和国では、お米を作っているそうだ。


 ただ、ダーバン共和国は獣人が支配する国で、帝国ではお米は獣人が食べる下賤なものという認識の様だ。


 クララによるとダーバンでは、おにぎりだけでなく、お茶漬けやチャーハン、お寿司なども名物料理だそうだ。

(お茶漬け! チャーハン! お寿司!

 ジュルジュル言ってしまいそう)


 帝都にもお米を売っている店がある。

 キャサリンは、クララに教えてもらってお米と飯盒はんごうを手に入れた。

 さらにクララを呼んで、お屋敷のコックさん達にお米の炊き方を教えて(レクチャーして)もらった。




 その日の晩御飯は、クララ親子とエレナも呼んで、かやくご飯になった。


 キャサリンは、ダーバン式にお箸を使って一口目を噛みしめた。

(ああーっ。

 お米のご飯が食べられる日が来るなんて。

 こんなに幸せを感じたのは、いつ以来かしら?)


「キャサリン様は、とっても良い人ですね」


 突然のクララの言葉に驚いて聞き返す。

「えっ?

 一体、どういうことですの?」


「ハーフオークのソフィアさんに対する態度と、平民でハーフエルフの私を普通に友人として夕食に招く、種族や地位にこだわらないフラットな考え方。

 下賤な食べ物と言われているお米のご飯を、そんな風に美味しそうに食べる貴族の方を初めて見ました」


「えっ? 美味しいものを食べるのに、美味しそうに食べるのは当たり前に思いますけど」


 キャサリンの答えを聞いて、クララが微笑む。

「ウフフフ、確かにそうですね。

 でも、公爵家の地位を前面に出したのも、地位をひけらかす3兄弟を相手にしたとき以外見たことがありません。

 私、貴族の方を前にすると、すごく緊張することが多いんですよ。

 でも、キャサリン様の前では落ち着いてご飯を食べることが出来ます。

 こんな人を良い人と言わずに、誰が良い人なんですか?」


「えっ? えっ? そ、そんな……」

 褒められ慣れていないキャサリンは、言葉に詰まりつつ顔が熱くなるのを感じた。


 エレナが追い討ちをかける。

「クララ様。

 ノーベル公爵家は、代々人材登用に定評があります。

 特にジェームス・ノーベル公爵は、種族、性別にこだわらない大胆な人材登用と政敵からも愛されるその人柄から、『人たらし公爵』の別名をお持ちです。

 キャサリン様は、そのお嬢さまであらせられますので、万人に愛されるお方なのは何の疑問もさしはさむ余地が無いことは、明白でございましょう」


「おっ、僕の事まで褒めてくれるのかい?

 ほめ殺しとかは、止めて欲しいけどね」


 喜んで見せるノーベル公爵の横から、アン夫人が聞く。

「まあ、すごく人を褒めるのが上手な方たちね。

 じゃあ、わたくしも褒めて頂けるのかしら?」


「アン・ノーベル公爵夫人。

 『北に咲く一輪のスミレ』の異名を持つ、ノルド公国きっての美女。

 帝国連邦の南北の要となる2つの公国の間を取り持ち、その功績は帝国の平和を10年以上延ばしたとされます。

 今回のご懐妊により、帝国の平和はさらに50年延びたとも高く評価されております」


 エレナは、スラスラと答える。

 発表もされていないのに、アン夫人に子供が出来ていることも知っている。


(すごいんだけど、エレナさんが知力マックスの超厳しい聖女だと思うと、この凄すぎる情報収集能力と的確な分析力は、ちょっと怖いんですけどー)




 エレナは、その貴族情報収集能力の凄さを余すところなく披露した。


 クララが聖女として名が売れ始めている。

 が、彼女は平民だ。

 貴族と同席する時は、エレナは舐められないように力いっぱいアピールする。


 しかし数か月後、ノーベル公爵の凄さを逆に思い知ることになる。


 『爆薬令嬢のかやくご飯』

 発展を始めた自由商業都市カサイで、ノーベル公爵家の系列のレストランが大繁盛しているが、そこの大人気メニューの名前だ。


(クララ様が少し作り方を教えただけで、売れると思えばすぐに商品化する目敏さはすごい!

 お米の流通経路を一瞬で構築していることと言い、ノーベル公爵家とは絶対に敵対してはダメね)

 エレナは、本当に賢かった。


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