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ばくやく令嬢しか勝たん  作者: 御堂 騎士
第3章 ばくやく令嬢 主人公との恋の駆け引きは爆破不能?
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39.主人公クララの影

 キャサリンは、エリザベスとほとんど毎日、会うようになった。

 そして勉強会のお陰で、エドワード達とも週に一回は会えるようになった。


※この世界では、一週間は8日です。

 日月火水木金土計の8曜日。

 インドの9曜から羅が消えている。




 そんなある日、キャサリンは自分の部屋で手作りのゲームを作っていた。


 穴が沢山開いたたるの真ん中に、恐竜が入っている。

 その穴に剣を刺し込んでいき、当たりに刺すと恐竜がドッカーンと飛び出す仕掛けだ。

 トントン


 ノックの音が聞こえる。


「どうぞ」

 と答えると、

「失礼します」

 文官が入って来た。


 キャサリンは、黙々とゲームのテストのためにたるの穴に剣を刺しこんでいた。


 ドッカーン


 突然大音響とともに、たるの真ん中にセットされた小さな恐竜が飛んで行った。

 爆発ではなく、バネの力で飛んで行った。


「ひ、ひえええーっ!

 お、お嬢さま、それは一体……」

 部屋に入って来た文官は、その場にへたり込んでしまった。


「恐竜危機一発にしようかと思っていたけど、あなたの反応を見て、恐竜木端微塵(こっぱみじん)にするわ」


「い、いや、それの名前ではなくて、い、今の凄い音は何なんですか?」


「風の魔法よ。

 爆発の音だけを再現してみたの。

 色々なものに付与できるのよ。

 臨場感がすごいでしょ」


「お、お嬢さまが爆薬を扱うと聞いておりますので、本当の爆発かと思ってビックリしてしまいました。

 出来れば、そのようなイタズラは、おやめ頂ければ助かるのですが」


「そうかあ。

 ファルマイト公国の爆薬が有名になれば、音だけでも迫力が増すわね。

 ゲームだけでなく、色んな局面で脅し(ブラフ)に使えるかもしれませんね」


「ですから、そのような恐ろしいイタズラは、わたくしどもが困るのですが」


「自分の部屋で音を立てているだけですから、イタズラと言われるのは心外ですわ。

 ところで、何か御用があってお部屋に入って来られたのでは無いですか?」


「そ、そうです。

 さっき、東門の警備隊長から報告がありました。

 以前お嬢さまがチェックするよう命じておられた、ビアンカ、クララ親子が帝都に入門したとのことです。

 また、警備するのでしょうか?

 との質問が来ておりますが、いかがいたしますか?」



「ええっ? クララ親子が?

 一体何をしに来たの?」


「いや、さすがにそこまでは分かりかねますが。

 ただ、皇帝陛下に招かれて登城するようです。

 公正フスト地区に住む所ももらっているようで、そのまま帝都に定住するようだとのことです」


公正フスト地区

 帝都は、機能別に6つの区画に分けられている。

 そのうちの政治のための区画の名前。




(主人公クララが帝都に住むフラグは、間違いなくへし折ったはず。

 一体何が起こったというのかしら?)


「護衛は、しなくて良いわ。

 直ちに、彼女たちの身辺を調査するように伝えて下さい。

 どういう経緯いきさつで、帝都に居住権をもらったのか。

 調べられることは、どんな小さなことでも報告するように」



 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆



 ちょうど、その二日後に勉強会があった。

 結局、主人公クララの情報はほとんど手に入らず、皇帝陛下に招かれたという情報から、二人の皇子に確かめてみようと手ぐすね引いて待っていた。


 勉強会は、最後の一時間ほどは毎回お茶菓子をつまみながらの懇親会だ。

 その場で、この一週間に変わった出来事があった人は話題の中心になる。


 今週の話題の中心は、エドワードだった。


 森の風景画を描くために行った先で、面白い女の子に出会った。

 その女の子に絵を描かせてみると、見たことも無いような立派な天使の絵を描いた。

 教会の大司教も褒めるような出来で、エドワードは彼女に絵を教えてもらうことにした。


 キャサリンには、ピーンときた。

(森で、主人公に出会ってしまったのでは?)


 この話を聞いて興味を持ったゲオルグも一緒に、絵を教えてもらうことになった。

 翌日、二人そろって初めての授業がお城の庭で開かれる。


 そして、驚いたことに笑わない男エドワードが、その面白い女の子の話をする時に、ニコニコと笑顔を見せたのだ。

 すっかり、笑わない男では無くなったようだ。


 キャサリンは、エドワード様の笑顔も素敵、などと惚気のろけている場合では無い。

(ええっ?

 まさか、その女の子が主人公クララ?

 でも、ゲームの主人公は絵なんか描かなかったわよ。

 私が無理やりフラグをへし折ったから、すごく無理やりに出会っているってことよね)


 キャサリンは、気になって仕方がない。

 まずは、どの程度レベルの絵なのか見ないといけない。

「その絵って見ることが出来るのかしら?」


「今は父上が保管しているけど、彼女がもうすぐ洗礼を受けるから、教会に寄付すると言っていたよ。

 その後なら、教会に行けば見られるんじゃないかな」

 ゲオルグが答えた。

 彼の方は、あまり興味無さそうだ。


(ゲオルグ様は、まだ主人公に出会っていないのよね。

 危険だわ。でも、あんな野生児に心を奪われるものかしら?)

「そんなに嬉しそうに、教えて下さるなんて。

 もしかして、その女の子はエドワード様好みの可愛い子だったのですか?」

 心配になったキャサリンは聞いてみる。



「いや、そんな訳無いだろ。

 初めて会った日も、僕が絵を描いていたら近くの木から降りてきたんだぜ。

 野生の猿かと思っちゃったよ」


「野生の猿だなんて、女の子の事をそんな風に言うのは、ちょっと減点だなあ」

 エリザベスが、エドワードを少し責めるように言う。


「気を悪くしたら、ごめんよ。

 確かに見かけは猿なんだけどな。

 とにかく、今まで会ったことが無いほど面白いやつなんだ」


「面白いやつって、それも女の子に言うのはどうだろって感じだべ」

 エリザベスは、やはりエドワードを責めた。



(こ、これは、本当に王道の『面白れぇ女』ポジションを取られた?)


※『面白れぇ女』ポジション

 (自称)美人ではないヒロインが、モテモテで女に不自由しないイケメンに気に入られる第一歩目。

 見た目ではなく行動から、「いないと退屈だ」と言われて一緒にいるうちに、『可愛いやつ』ポジション、『お前がいない○○生活なんて考えられない』と進んでいくのが王道。


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