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ばくやく令嬢しか勝たん  作者: 御堂 騎士
第3章 ばくやく令嬢 主人公との恋の駆け引きは爆破不能?
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38.純朴な令嬢エリザベス

 解散して、キャサリンが馬車に乗ろうとしたら後ろから声をかけられた。

「キャサリンさまー。

 わだしの宿題手伝ってくださーい」


「えっ、宿題?」


「そうですよー。

 次回までにお友達になっておく宿題ですよー。

 女の子は二人だけなんですから、お友達になって下さい。

 男の子たちに話しかけてお友達になるなんて、絶対に無理ですから」


 この言葉を聞いて、キャサリンは友達になれそうな気がした。

「ええ、こちらこそお願いいたしますわ」


「良かったー。

 断られたら、どうしようかと思ってました。

 今から私の部屋に来ませんか?

 と言っても、公爵令嬢様をお呼びするのは恐れ多い部屋ですけど」


「そんなことを気にしていたら、お友達にはなれませんわよ」


「そ、そうですよねー」


 見かけはともかく、エリザベスが純朴なのは間違いなさそうだ。

 そして、明神みょうじんさくらのチェック漏れの可能性はあるが、ゲーム『愛の弾丸娘』には、エリザベスという名前の登場人物はいなかった。

 安心して付き合えそうだ。




 エリザベスは、宮殿の近くにある独身寮の部屋を借りていた。

 そこは、お城の使用人が入るための施設らしい。

「一応貴族の端くれなので、二部屋もらって、一部屋は荷物部屋にしています」


 案内された部屋は、1ルームだが10畳一間のきれいな部屋だ。

 確かに貴族令嬢が帝都に滞在するのに、これはどうよ?

 と言われそうではあったが、さくらが前世に一人暮らししていた部屋よりは立派だ。


「これと同じ部屋をもう一つもらって、荷物部屋にしているのね?」


「はい、それとお庭の一角も貸してもらいました」


 一緒に庭に出てみると、確かに庭の芝生の一角が柵で囲ってあって、犬小屋のようなものが置いてあった。


 エリザベスは、ドンドン柵の中へ入っていく。

 キャサリンも後を付いて行った。


「アジーン、ツバイ、トレス、スー」

 エリザベスが大声で呼ぶと、4羽のウサギが小屋から飛び出してきた。

 2匹はツノが生えている。


「わだしの地元に生息している、ツノウサギなの。

 オスはツノが生えているのよ。

 この子たちがいないと寂しいから、連れてきちゃった」


 確かに可愛い。

 キャサリンは次の勉強会までに、エリザベスではなくウサギたちに3回も会いに来てしまった。

 いや、エリザベスに会いに来たはずだったのだが、庭に出てしまうだけだ。


 ウサギたちは、すごく人に慣れていて、膝の上に乗ってくる。

 ウサ耳を撫でると、気持ちよさそうに寝ころんで、お腹を見せる。


(こ、このウサ耳のモフモフ感。

 世の中に、こんなに素晴らしい手触りのものがあったなんて)

 キャサリンは、天国に昇りそうな気分だ。


「キャサリン様は良い人だなー」


「えっ、どうしたの急に?」


「ウサギみたいに弱い動物は、悪い人には絶対に近付かないんだあ。

 実を言うと、わだし。

 付き合う人を決めるのに、このウサギたちを頼りにしてんだよ」


「ええっ? そうだったの?

 じゃあ、私は合格?」


「公爵令嬢様を、勝手にそんな合格とか不合格とか評価したら、死刑にされちゃうべ。

 でも、お友達になって欲しいのは確かだよ。

 信用できない人に、ウサギに会わせる秘密なんか話せないし」


「じゃあ、6人の男たちもここに連れてきたら、いい人かどうか分かっちゃうのね?」


「それ、いい案かも知れねえべ」


 この話を聞いて、ソフィアがウサギの柵から少し遠ざかった気がした。






 第二回の勉強会の後、ソフィアとエリザベスは残り6人の男たちを、寮の庭に連れ出した。


 独身寮の庭に、テーブルセットやパラソルなどを置いて、体裁を整えた。

 と言っても、キャサリンのお付きの者たちが準備したのだが。




 司会進行役のファビオ・パレルモも付いて来た。


 人数が多いせいか、ウサギたちは警戒している。

 あまり極端な反応をしないのだが、人数のせいなのか本当に普通の人たちなのか、判断が難しい。


 だが、エドワードやファビオのような戦う人には近付かないし、ゲオルグやオットーのような大人しい人間にはなつくようだ。


 男たちは単なる庭でのお茶会と思って、世間話が終わるとそれぞれ帰って行った。


 オットーは、お近付きになりたいのだろう。

 ゲオルグとエドワードに引っ付いて帰った。


 公爵家の3人は、つるんで帰った。

 夕食を一緒に取るそうだ。


 公爵家は4つあって、そのうち3つの子息が一緒に会食するのに、キャサリンは参加しない。

 エリザベスは心配したが、キャサリンは一言の元に切り捨てた。

「今日は、もっと重要な会食があるじゃない」


 そう、二人は近くのレストランで個室を借りて、秘密のお食事会だ。




 ウサギの反応を細かく観察していた二人は、夜遅くまで男たちの品評会で盛上った。

 二人は、すっかり仲良しになっていた。


「リズさんもやっぱり、エドワード様なのね」


「だって、カッコいいんですもの。

 カッコ良さではファビオ様も良いんだども、キャサリン様付きのソフィア様に夢中みたいですし」


 キャサリンの後ろにいたソフィアが咳払せきばらいする。

 二人は、ウフフフと笑い合った。


 キャサリンは美形好きなので、エドワード、ゲオルグ、ノルド公国の次男坊の順で評価した。

 エリザベスは強い男性好きなので、エドワード、ファビオ、モロイン公国の3男坊の順で評価が高かった。


 どちらの基準で見ても、エドワードがトップ評価だった。

 どちらの基準で見ても、一番パッとしないのはオットーだった。


※ナードハート帝国の南北を守る4つの公国は、以下の通り。

 帝国の南側、キャサリンのいるファルマイト公国

 その東隣がモロイン公国

 北部を占めるノルド公国

 その西に隣接したリエリー公国



☆あとがき

当初、エリザベスの飼いウサギを使って色んな人の判定をするのは、もっと話が進んでから番外編でやる予定でした。

毎日更新は中々苦しくて、ネタの出し惜しみは不可能ですね。


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