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ばくやく令嬢しか勝たん  作者: 御堂 騎士
第3章 ばくやく令嬢 主人公との恋の駆け引きは爆破不能?
32/543

32.ヴェンデリンの将来は、絶倫貴族

 帝都ナードハートの中心に位置する城郭。

 その4階に、帝都を見渡せる見晴らしの良い大広間がある。

 特別応接室と呼ばれるその部屋で、キャサリンは皇子たちの接待を受けていた。


 ヴェンデリンの失言で、皇子たちはちょっと気まずかった。

 が、ヴェンデリンの母ウリヤーナ夫人の強い存在感で場の雰囲気は、なんとなくリセットがかかったようになった。


 ゲオルグは、ヴェンデリンが口を滑らせたことがごまかせたようで、ホッと胸をなでおろした。

 ここぞとばかりに、キャサリンに話しかける。

「君のお父上は、すごいよね」


「それは、科学に精通していることかしら?

 それとも領地経営が上手くいっていることでしょうか?」


「『爆薬の平和利用勉強会』のことだよ。

 普通、ああいう大発明をしたら、どうやって売り出すかとか、儲けたお金をどう使うかとかで頭がいっぱいになると思うんだ。

 でも、君のお父上は発明品の使われ方、特に平和利用を推進するために勉強会を開こうっていうんだから、立派だよ」


「ああ、それは俺も思ったな。

 確かに俺達若い世代が理想を語れないと、年寄りは本当にお金や権力にしか興味ないやからが沢山いるからな」

 エドワードがゲオルグに賛同する。


「えっ? 何それ?

 ボクは誘われていないよ」


「お前はまだ小さいからな。

 平和って言っても、何か分からないだろ?」

 すねるヴェンデリンの頭を、エドワードが撫でる。


「ボクにだって、それくらい分かるよ。

 もう、テディ兄ちゃん失礼だなあ」

 ヴェンデリンの言葉で、一気に場が和んだ。


※テディ  エドワードの愛称




 二人の皇子が、ダイナマイトを平和利用したい。

 その理想を語り合いたいと思っている。

 キャサリンは、胸がキュンとした。


(父の思惑には平和利用もあるけど、主目的はあなた達二人との関係を深めるためなのよ。

 これは、絶対に知られてはいけないことね)

 すこし、申し訳ない気持ちもした。





 『爆薬の平和利用勉強会』

 ノーベル公爵は、上手い言い訳を考えたものだ。


 キャサリンは、爆薬を本当に平和利用したかった。

 前世でのエアバッグ開発でも、爆薬は人命を守るために利用されている。

 彼女は爆薬を平和利用したいと、口を酸っぱくして訴えていたのが功を奏した。



 そして、公爵の側にも都合がよかった。

 皇子との関係を重視しすぎると、色々とやっかむ人が出てくる。

 ノーベル公爵は、日の出の勢いの貴族だ。

 その長女のキャサリンとお近づきになりたい貴族は、掃いて捨てるほどいるのだ。

 本人と知り合うチャンスを広くとって、出来るだけ本人の意に沿うようにしていると公言している。


 公爵には子供が一人しかおらず、縁戚を結ぶチャンスは一人分しかないのだ。

 少なくとも勉強会の参加者には、等しくチャンスが与えられたことになる。

 せっかくのチャンスを、勝手にフイにしている者までは面倒を見切れない。


 キャサリンにも、勉強会の参加者には等しく接するよう言い聞かせていた。




「そう言えば、間が持たせられない原因は、私たちがお互いを知らないこともあると思いますの」

 キャサリンは、一生懸命話題を作ろうと話しかけた。


「ああ、やっぱり、そこを根に持っておられたのかあ」

 ゲオルグが顔を手で覆って、大げさに天を仰ぐ仕草をする。


「いえ、違います。

 ただ、ちょっと、お二人がどんな趣味をお持ちなのかなあ、とか、あの、その……」


 キャサリンがドギマギしていると、エドワードが助け舟を出してくれた。

「ゲオルグ兄さんの今のは、君をからかっているだけだから。

 気にしなくていいよ」


「ええっ? ゲオルグ兄ちゃん。

 キャサリンおねえちゃんをイジメるんだったら、ボクが許さないからね」


「ゴメンゴメン。

 本当に悪気は無いんだ。

 お嬢様の小さな騎士ナイトに怒られちゃったね。

 でも、ヴェン。

 お前だって、好きな女の子には意地悪したりするだろ。

 今のは、それだよ」


「ボクは好きな人に、意地悪なんてしないよ。

 好きな人には、幸せになってもらうように努力しないといけないって、お父上に言われたもん」


(おおっ、スゲー。

 ヴェン君、5才にして既に女たらしの才能を発揮しているよ。

 これは絶対に将来、絶倫貴族になりそうですね。

 いや、でも、いま、ゲオルグ様。

 好きな女の子って言った?

 言ったよね? 私の事よね?

 キャーッ、私どうしたらいいの?)


「ヴェン、お前なかなかやるなあ。

 キャサリンちゃん、真っ赤じゃないか」

 エドワードが、からかう。


「えっ? ホント?

 おねえちゃん。ボクのお嫁さんになってくれる?」


(5才の子供の戯言よね。

 前世の常識では、ここは快く受けるのが正解だったわ。

 でも、お母さんが一緒にいるのよね。

 貴族同士の会話で言質げんちを取られたら将来ヤバイし、ここはどう答えるのが正解なの?)


 キャサリンがアウアウうなっていると、エドワードがヴェンデリンの頭をポンポン叩きながら、言ってくれた。

「お前なー。

 キャサリンおねーちゃんは、チョー大人気なんだぞ。

 結婚を申し込むなんて、10年早いよ」


「そうだぞ。

 まず、ここにいる二人に勝たないとな。

 キャサリンおねえちゃんの恋のライバルは、星の数ほどいるんだぞ」

 ゲオルグがたたみかける。


「でも、ボクはおねえちゃんに意地悪しないから、まずゲオルグ兄ちゃんには勝ったよね」


「ええっ? 僕、いきなり負けちゃったの?」

 ゲオルグがおどけて見せる。


「ボクは、おねえちゃんが結婚してくれなくても、おねえちゃんの騎士ナイトになるからね」


「わあ。

 可愛い騎士ナイトが守ってくれるなんて、嬉しいですわよ」

 キャサリンに言われて、ヴェンデリンが ンフフー と嬉しそうに笑う。


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