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ばくやく令嬢しか勝たん  作者: 御堂 騎士
第2章 お父さまとお母さまの間の心の壁も爆破ですわ
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23.吊り橋作戦 いよいよ発動ですわ

 都市の予定地の広場は、木を切り倒して、草も刈ってあった。

 切り倒した木を使って、いくつか小屋も建てられていた。


 まだ、石はゴロゴロしていたが、すぐにキレイに片付きそうだ。


 都市の予定地に、ロープを張って色々な建物のレイアウトを決めていく。

 というよりも、紙に計画図が描いてあったので、それに従って配置していった。


 まず積み荷の検査場、そして職員事務所、保険会社事務所、馬車の駐車場、馬を休ませる厩舎きゅうしゃ、検品不合格品を収納する倉庫、街を守るための護衛軍詰め所、などなど、まず中継点機能に必要な施設を配置していく。


 そして、食堂や宿屋、各種販売店、市場のためのスペースだけ用意して、集まった商人たちで競売にかけた。

 各種販売店は、店主がその店に住み込む固定の店と定義した。

 開店時間は、店主の自由だ。


 市場は、開かれている時だけ商品を持って来て売る場であり、また貸し可能という風に定義した。


 ダイナマイトで大儲けしそうな公爵が造る都市だ。

 都心になる積み荷の検査場から、随分離れた場所まで高値で落札された。




 この街は自由都市なので、それぞれの商売はギルド未加盟者にも認め、公国の管理事務所に申請した店を開く権利を認めた。

 当然、ギルドの加盟店の出店も自由だ。




 各商業ギルドの利権を一部取り上げるものになるので、ギルドとの調整は難航した。

 公爵が、帝都で忙しく走り回っていた仕事の大半は、この調整だった。


 結局、この新しい自由都市でのみギルド未加盟店を認めることで、大半のギルドは納得した。

 ここで納得したギルドには、公国での1年間の免税を交換条件として出していた。


 魔法具販売ギルドなどは、仕入れ元を押さえているので、未加盟店の出店は有り得ない。

 なので、まるまる1年の免税はお得だと考えた。

 本当は、キャサリンがガスや電気といったものを持ち込めば、一瞬で苦境に陥る商売なので、対立せずに済んだのは運が良かった。

 というよりも、欲張らなくて助かったというべきか。


 冒険者ギルドのように本当に互助組合的なギルドは、単純に税金免除がお得なので、喜んで応じた。




 一部強大なギルドは、自由都市でのギルド未加盟店の出店禁止か、公国内の他の都市でのギルド加盟店への税金の永久減額を申し入れてきたので、もめた。


 当然公爵は、簡単には減額幅に満額回答は出さないし、この様な要求をしてきたギルドに対しては、1年間の免税の条件も引っ込めた。


 肉屋とパン屋のギルドは最後まで強硬だった。

 公爵は、交渉の2日後に交渉打ち切りを両ギルドに通告した。

 そして、公国内で猟師と農場を接収して、2つのギルドを国内から排除する動きを見せた。


 公爵のダイナマイトは、帝国連邦のすべての国が欲しがるだろう。

 いくら強大なギルドでも、今の勢いの公爵に逆らうと公国を手始めに、根絶やしにされてしまうかも知れない。


 2つのギルドは大急ぎで交渉再開を泣きついて、3ヵ月の免税で交渉は終わった。

 ごねた結果、成果は4分の1になってしまった。

 公爵がタフな交渉者ネゴシエイターであることは有名だったが、公爵に有利な案件で駆け引きすると、ガッツリ持っていかれる。

 このことを、ギルドの重鎮じゅうちんたちは思い知らされることとなった。




 初日に、積み荷の検査場予定地には立派な常設テントを設置した。


 その他の場所には、普通の軍用テントが設置された。



 公爵の家族は、広い常設テント内でその日の夕食を取った。

 ノーベル公爵は、妻と娘にギルドとの交渉の顛末を自慢しながら食事した。


 アン夫人は、笑いながら黙って聞いていた。


「お父さま、すごいです。

 これからは、肉は現地調達、パンは小麦粉から作るようにしないといけませんね」


「ああ、しかしギルドも必要な道具のあっせんや、材料の運搬や備蓄みたいな地道な雑事をやってくれているんだ。

 つぶせば良いってものじゃないからね」


「さすがですわ、お父さま。

 そのさじ加減のうまさが、公国の安定につながりますのね」


「キャサリンは、お父さんを喜ばせるのがうまいなあ。

 あの時の苦労が報われた気分だよ」


 会話は盛り上がっているようだが、発言者は父と娘だけだ。


 給仕の者達や護衛のソフィアたちは、職務のために終始無言なのだが、アン夫人も微笑むばかりで、一言も発しない。


 キャサリンは思った。

(旅で疲れているだけかも知れないけど、やはり打ち解けていない)




 食事の後、キャサリンはソフィアに宣言した。

「愛の吊り橋作戦 発動です」


「『愛の』ですか?

 今までにお聞きしていたのと、何か変化点があるのでしょうか?」


「ありません。変更点は名前だけです。

 それでは、ザ〇ボンさん、ド〇リアさん。行きますよ」


「あ、あの、お嬢様。

 私は、ソフィアですが……」


「何となく言ってみたかっただけです。

 気にしないでください」




 翌日の朝、ソフィアはテントを抜け出して、森の中に消えた。

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