第一話 始まりの日
「はぁ……はぁ……」
ーどうしてこうなった…
俺はそう思いつつ後ろから追いかけてくるオオカミ達から全力で逃げていた。
最初に入ってきた洞窟の入り口が見え、一目散にその入り口に飛び込んだ。
幸いオオカミ達は、洞窟の外までは追ってこなかった。数分後、オオカミ達は洞窟の奥へと姿を消した。
それを確認したのち俺こと辻崎裕二は、その場に倒れ込んだ。
「ここは一体何処なんだ…」
何故このような状況に置かれているか、ことの発端は2日前のあの出来事である。
俺はいじめられっ子だった。
高校1年の春、入学式から数日たった後だ。人見知りな性格のせいか俺はクラスに馴染めないでいた。
話しかけてくる人もいたが、オドオドしていて話をまともに続かせることもできない俺はいつの間にクラスから孤立していた。
そして秋の季節になりクラスのグループの分け目がはっきりとしてくる頃、いじめっ子達が頭角を現し始めた。
中学でもいじめをしていたのだろう。いじめっ子は大体集団を好む。
グループ分けがはっきりした今、そろそろいじめる相手が欲しかったのだろう。
ターゲットはクラスで浮いていた俺、いじめは急に始まった。
最初は我慢できる程度だった。
しかし近頃はトイレの便器に座っているとき上から水を浴びせてきたり、机の上に悪口などが書かれている日々が続いていた。
もちろん先生に助けを求めたが、その先生ですらいじめっ子達に加担していたのだ。
授業中ですらいじめられ、誰も助けてくれない状況が続いていた。
そして2日前に遡る。
俺にとっていじめられることが日常化してきたある日、一人の女子生徒が窓の外を指刺し呟いた。
「何…あれ…」
窓の外を見ると黒く丸い物体が宙に浮いていた。しかも少しずつ大きくなってきている。
クラスのみんなは興味津々といった様子で、窓から顔を出しスマホ片手に写真を撮りまくっていた。
いじめっ子達も興味があったようで俺から離れ窓際へと走っていった。
一時的にいじめから逃がれることができた俺がほっとしたのもつかの間だった。
最大まで膨らんでしまったのかいきなりその黒く丸い物体が爆発したのである。
その中から出てきた漆黒の闇が生徒たちを覆い、校舎を覆い、日本を覆い、そしてあっという間に漆黒の闇は広がり続け地球全体を覆い尽くしたのであった。
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