61話 死んでも私は生き返る
雷の街でいちばん強い冒険者
そう街の人に聞くと声を揃えてこういう
「炎の修道女、セーラ」
と
曰く完全に負けたところを見たことがない
どれだけピンチに陥っても最後は勝つ
かわいい
多くの使い魔をてなずけていて、そのどれもが協力的で、強力な敵
もはや殿堂入り
雲の上のような存在...のような扱いを受けているが
...割と酒場で会えるらしい
◇
その戦い方は男勝りで、男にも勝つ
短剣を使った肉薄戦
遠距離から無詠唱による爆発魔法や炎の魔法攻撃
羽を生やし身の丈に迫るほど大きな剣を振る空中戦
鳥人達と共に攻めてくるコンビネーションアタック
どれも強力だが、しかし、決して一方的になる訳では無い
どの戦い方で来るかは気まぐれだが、一度その戦い方で始まるとよっぽどのことがない限り戦い方を変えないのだ
そして押し切ることも出来る
押し切る、という例えに、一人のある戦いをここに残そう
その一人は全力の一撃でセーラを半分に、上半身と下半身を分けたことがあった
あまりにも悲惨な光景だったが、次の瞬間、どこからか聞こえた声と共にセーラは元に戻っていた
「死んでも私は生き返る」
その声と共に
完全勝利は出来ない
その一人はそう語った
最後は勝つ、が試合の勝敗は譲ってくれるらしい、なんでも、「私は、あなたを認めたから」との事だ
あぁ、またファンが増えたよ
最上位が揺らがないのは人気なのもあるのだ
絶対に届かない訳では無い、とてつもなく高い壁
その存在は、また新たな冒険者を今日も雷の街に向かわせる
◇
「ごしゅじんー」
「ご主人様ー」
「セーラー?」
レイス、ハーピーのオラクル、オオカミ使いのコルが私を探している
...バンシーの提案で使い道のないほど広い私の家でかくれんぼをすることになった
そんな子供みたいな...といったら
ぷくっと、膨れっ面になったバンシーが涙目になったので仕方なくやることに
最初の鬼がコルとオオカミのセットと確実に潰しに来るものだったが何とか隠れられている
いつかの魔法石で私はドロドロになることが可能になった、まぁ、ドロドロになってもいいことがほとんどないからやんないけどさ
その応用で額縁の裏にドロついている
真っ赤なドロドロなので見られれば即バレだけれどなかなかバレてないようだ
バンシーもドロドロになれるので同じような隠れ方なのかな、と適当に考えている
なかなかインチキだとは思うよ
...なかなか見つからないな
そこまでやる気はなかったからリビングの額縁の裏を選んだのだけれど
レイスにすら見つかってないのは意外だ
...絶対気がついてる
オラクルはここら辺が怪しいとずっとリビングにいるし
レイスもウロウロしてるだけだ
コルは他の部屋に行ってるからガチで探してるとは思うけど
...ばれてるよね?ねぇ、ばれてるよね?
さっきレイス私とすれ違わなかった?
レイスって感覚共有ずっとしてるよね?
絶対気がついてるよね?
...別に額縁の裏にいるのは全く疲れないが疲れたことにして床にべちゃった
「もにゅー」レイスがつついてる
なおルールで名前、みっけと言わないと見つかったことにならないらしいのでまだ見つかってない
触られてるけどね!
...バンシーがリビングにやってきた見つかって落ち込んでる、というわけではなさそう
「セーラ、人の姿になって」
...これ見つかったことにしない?もう見つかったよね?終わりでいいよね?
人の姿になるとバンシーが駆け寄ってきて手を引っ張る
「なにー?」
「こっちこっち」
「...かくれんぼは?」
「あれ?まだやってたの?すぐ気がついてたから終わってたのかと」
...おぉう?
ちょっと色々わからないけど終わってたことはわかった
え?じゃあ、どういうこと?
バンッ
扉が開く
みんなで食事をとるところ
「「「「セーラ!いつもありがとう!!」」」」
そこにはみんながいた、レイスも使い魔も、コルとオオカミに鳥人とハーピー達、雷帝とミスラ、セレナもいる、あ、アクネさん
水の都の受付嬢のメイル
...リンドとミホ達、最初の街で出会った懐かしい顔ぶれも
みんな特別な衣装だ
広い部屋とはいえこの人数ではさすがに窮屈に感じるほどの人数
中央には大きなケーキがあって多くの食事が並んでいる
「今日は私とセーラが出会った特別な日なの、セーラの特別な日に加えてよねっ!」
バンシーが振り返ってそう言う
振り返りながら変化したドレスはとても似合っている
...みんな
「ありがと」
スライムの時に出会ったあの日
あれから一年、長いようで短い、とても濃厚な一年
色んなことがあったし、何年も前だとも感じる
涙が頬を伝った
今日は特別な日だ、誕生日だったとかそんなんじゃない、新しい、特別な日
...私は幸せ者だ
纏めあげたというか締め上げたというか
これにて「死んでも私は生き返る」完結となります
26日に62話のおまけがありますが本編はこれにて終わりとなります
ここまでお付き合い下さりありがとうございました
続編にあたる作品は存在はしますが無理くり書いてるところもあるので完結しない可能性すらあります
…これ以上は蛇足ですね、活動報告の方もあげようとは思います
本当に、ありがとうございました




