57話 死んでも誓うわアナタと共に
私は、バンシー
かつてセーラを取り込んだスライムと
幽体化してドーハとバンシーに分けられた私達が交わった姿
体はバンシー、スライム、スーラの意思が強くて、ドーハの時の実験の姿になれる
あれ?もしかしてこうやって話したこと無かったっけ
バンシーとドーハに別れる前は姉妹がいた事は覚えてるけどあとは忘れてしまったわ、今はセーラがいるから別に構わないけど
ドーハの魂は実験されて、切られても繋がるように近くにあれば再生するという特徴のある姿になれるの
切られて蹴飛ばされたらその限りじゃないけど、弱点だから教えないわ
スーラの意思はセーラがベースになっている、あと、泳がしてる人間で実験もしてるからスーラの部分が一番高性能だと思ってる、自分で自分を褒めてるわけだけど...
体に物を保管できるのは便利以上ね、スーラじゃなければドーハスーラにはなれなかったでしょうし
ドーハスーラはスライムの部分と、いつか戦った黒い集合体の、この世界のものとは思えない部分を使ってる
実は黒い球状を作って世界を変える魔法も使えるけど、それこそ異質で使いがたい
この前セーラも世界を変えてたけど...
あれは...私達の黒い雰囲気とは別だった
感嘆に、綺麗と
そもそも世界を変える魔法も普通じゃないから怪しいのに...
私は黒い集合体について最近は調べてる、特にわかることも無いけれど
イヴァンが言うにはスライムとフェルという人は関係あるらしい
どうあるのか分からないけどイヴァンもそこまではといい、魔力が似ているから、としか教えてくれなかった
教えるのか教えないのかどっちよ
交わった、というのは大変便利で、ドーハとスーラで交互に表に出すことで実質不眠不休でも大丈夫になったの
全員フル稼働しないと行けない時なんてセーラと戦う時かセーラを言いくるめる時しかいらないわ
今は日課のセーラの寝顔を眺める時間
あぁ、好き、食べちゃいたい
...少しだけなら
うん、私はセーラが好き、深く愛してる、いつからか、気づかないうちに好きだった
「...またか、バンシー」
「はゆ...」手を食べてたらセーラを起こしちゃったわ
でももう日も昇ってるし...
「ご馳走様、朝ごはん出来てるよ」
レイスが作ってたわ
「んんぁ、ありがと」
そう言ってのそのそと寝室から出ていく
...今好きって言った?
あぁ、はい、今のナシ
そこまで狂ってないわ
何よその目
◇
「今日は何するの?」
セーラの朝ごはんを食べる様子を眺める
私の朝ごはんはさっき終えたので
「今日はなぁ...」
そう言って私を見つめてくるセーラ
今日は私?嬉しいっ互いを求...
「バンシーって前、剣を使ってたよね」
剣?前は...
「これ?」右手を剣に変形させる
「おおっ!?」
セーラが驚くのはレアだわっ!
記憶に焼き付けておかないと
以前セーラが剣を得るにあたって自分の魔力を剣にする魔法を使った魔石
...つまり魔法石の剣を選んだのだけど
それの改造版にあたるのが私の剣
体を変質させる魔法を取り入れた魔石
職人に直接会って話をしてきたら、こういう剣になっただけ
バンシーを剣に変質させて
ドーハスーラが持つ
私の剣に宿った力は魂を縛り付ける、魂を斬る力
セーラを、殺すための剣
あの時、あと三回くらい切ってればセーラは私のものになってくれたかしら
「私もその人に会ってみたいなって思って」
「うーん、行くのは構わないけど、会えるかは別だよ?」
フラフラとどこか行く人らしいし、あのちびエルフ
◇
会うためにはアクネさんに連絡をとる必要がある
結論から言うと会えなかった
その代わり、のようなものを受け取った
アクネさんと連絡を取ると
とりあえず来てちょうだいと呼ばれたので向かったのだ
そして渡された箱、アクネさんは危険なものだから自室でお願いね、と追い返されてしまった
...なにかが裏で動いてるような気がする
「それで?これを受け取ってきたと」
「うん...」
箱を開けると二つの魔法石と説明書が入っていた
なになに...
バンシー様用に作られた特別な魔法石、アクネさんから聞いた特徴を元に作られたセーラ様とセットで使う魔法石と...!
素敵ね
「どんなの?」
「セーラ、これ呑んで」
赤みがかった魔法石をセーラに渡す
「噛んじゃダメよ」
「えっ...あ、はい...」
青みがかった魔法石を呑み込む
ストンと落ちた感じがして、体の中から刺されるような痛みに襲われる
ぅぐ...
吐きそう...
「飴玉って呑み込んでいいの?」
ジトーと透かしてみたりしているセーラ
「いいからいいから」
ヒョイと取り上げ口に押し込む
「ング...」
そのまま口を抑える
そういえば以前も吐きそうだったなぁ
「んんっんー!!」
悶えるセーラ
涙目で必死に訴えかけてくる
無視するけど
◇
広く大きな空間、提供者が言うには運動場と言っていたけれど
私もセーラも、その使い魔達もみんなが集まれる所
ハーピー達、鳥人に、手助けしてくれる野鳥達
セーラと私を中心に取り囲む
...鳥だけに...いや、やっぱり何も、今のなし
「バンシー、わかってると思うけど」
えぇ、そうね
「わかってる、私たちの力を上手く使ってね」
あの魔法石を呑んだ後から、伝わってくるのも、伝わっているというのも分かる
異常なほどに感覚も思考も共有、共感しているのだ
説明書の通り一つになるとは過言ではないと思った
セーラの方は少し違うらしく、使い魔達とも感覚の共有が強くなったらしい
表裏の無い性格で心底よかったよ...とはセーラの言葉
...うん、つまりは私の感覚はバレるとか通り過ぎて全部筒抜けてしまったの
それでも受け止めてくれるセーラまじ女神
こほん
「バンシー」
「えぇ、私は、いえ、私たちセーラの使い魔達はここに誓うわ、アナタの剣にも盾にもなることを」
魔法石の最後の手順は接触した状態で互いに魔力を高め、流し合うこと
セーラに膝まづき、手をとる
「改めてよろしく、バンシー」
体が熱くなり、視界が歪む
...ホントに、好き、セーラ
アナタと共に歩むことを、ここに誓う




