49話 死んでも助け合って生きていく
全力をもってコイツを、シェリダンを消すと決めた
体を消すという、生ぬるいもんじゃない
魂を、存在を消すと
レイス達に契約魔法による力の引き出しをおこなう
赤い光が私からレイス達に伝う
レイス達が赤くなり、燃え上がる
それと共にレイス達が動き
味方に加護を、敵意に罰を、残りの生き物に拘束を与える
「空間を作り替えろっ」
シェリダンが懐から棒を取り出し、地面に投げ刺す
黒い球体がではじめたので
羽を羽ばたかせ、炎の帯を作り出す
そして
その周辺を燃やし尽くした
「くくっ!素晴らしい!」
喋ったシェリダンに向けてすぐに帯を送り込む
喉を焼き、帯でシェリダンの周りの空間を包み、私も中に入る
「くっ...かっ...デー...がはっ」
喋り続けるシェリダンが血を吐く
その目は死んでいない
「...」
炎の帯でシェリダンの体を貫き、巻き付きながら焼き、切り裂くように帯を操作する
シェリダンに帯をつかまれた
だらんと項垂れている状態で手だけは別のように動き、私の帯を掴んだ
すると全身を握り締められたような感覚に陥る
「ちっ...」
腕を巻き上げ、締めちぎり、腕を落とすと、解放されたように思えた
シェリダンの体からすぃ...と白い人の、シェリダンの形をした魂が抜け出す
「くくっ、私は死なないのだよ、永遠に取り付いてやるよ」
「スカージレットか?」
ビクッと震えるシェリダンの魂
「どこで知った?」
黒い球体を出した棒の時から、その線を疑っていた
こいつら接触していたか
動揺、とまではいかないが、動きが鈍ったので、隙をつくようにその魂も焼かせてもらう
体より大きいと言われた魂をイメージし、手のように伸ばし、握りつぶすようにイメージする
「...っ、ぁ...あぁっ!」
一瞬抵抗され、苦しい感覚を覚える
ただ、シェリダンの魂を押しつぶすことは出来た
呆気なく感じたが、今度はどこかやりきった感覚がした
「...やった」
視界の炎が収まっていく中、地面に足が着いた、すると力が抜けて横になる
「セーラっ」
コルが近づいてきたがまぶたが重く、顔を動かすのも億劫と感じた
「傷は...ないね、魔力もないって訳じゃないけど...眠いんでしょ?なんか分かるよ?」
ふふっと笑いながら言われる
「れい...」す後は...
私は溶けるように眠った
◇
セーラが眠った、それと入れ替わるようにレイス達が出てきて動き出す
「てっしゅぅ」「にげる」「かえるよー」
回復に多くの魔力を使いヘロヘロになっていた私もハーピーと共にレイスに運ばれる
「あ、えっとごめんね?」
三人がかりでうんしょうんしょと運ばれている
オオカミがセーラを運ぶ、オオカミ達の怪我は治ってるようで良かった
人のいない裏路地に運ばれる
鎖や枷をレイスの一人がセーラから取り出した短剣で切る
レイスが持ってきた布をローブのようにしてハーピーに着させる
ハーピーはずっと俯いている
レイスから荷車の場所を教えて貰いみんなを乗せて門へ向かう
少し怪しまれたが特に荷物の確認はされなかった
その後もレイスに誘導されるまま進んでいく
「...準備いいね」
「なれてますのでー」
セーラにどんな無茶振りをされたのか、なんて話しながら進んでいく
◇
ガラガラと音がする、体が揺れて目が覚める
「...ん」
私の顔を覗き込んでいるオラクル
目が合うがボーッとしている
考え事かな
目の下に泣いた跡がみえる
連れ攫われたから怖かったよね
今回の件、どこからが私の因縁だろうか
シェリダンの関わった所は全て私のせいと思ってもいいかもしれない
アイツめ...
急にグッと全身を握り締められた感覚に襲われる
「ぅあ...」
「セーラ様?」
覗き込む顔が近くなる
心配そうな表情
オラクルのほっぺたに手を添える
「おはよう、オラクル」
「おはようございます」
オラクルの表情が柔らかくなった
しかしすぐに戻ってしまう
ひんやりしている
ほっぺをぐにぐにする
「あえ?セーあ様?」
「オラクル、笑って?」
せっかくの美人さんなのでね
ぎこちなくにへっと笑うオラクル
「私の因縁に巻き込んでごめんね」
「え?いえ、私が興味で森から出てしまったからで...」
「アイツは鳥人を集めていた、何らかの手段で私の嫌になるであろう状況を作り出そうとしていたに違いない」
レイス...私が寝てから
にょ、と出てくるレイス
「もうまわりはくらい」「まちでははんにんさがし」「みんなもかいほうしたよ」
「...みんなって?」
「とりたち」
「うん、よくやった」
「あの...」
不安そうな顔になるオラクル
「どうしたの?」
「私は...役立たずですよね...」
思い詰めたように、いや、思い詰めていたのだろう
「どうしてそう思ったの?」
「私、助けられてばかりで、命も危機も...ずっと迷惑かけてばかりで、セーラ様に得になるような事を出来てなくって...」
ぐすっと泣きそうになるオラクル
「別にいいじゃん」
「えっ?」
「助けられてばかりでも、迷惑かけてばかりでも、今までみんなと助け合って生きてきたでしょ?迷惑もかけてきてるでしょ?私の時だけ、たまたまこういう結果になっただけで、そういうものなの」
「でも、私、助けになったことなんて...」
「助けてくれるの?」
「はいっ使い魔として、私に出来ることなら、セーラ様を...助けたいんです」
「そっかぁ嬉しいな、じゃあ付いてくる?」
オラクルは目を輝かせて、とても嬉しそうに頷いた
「どこまででも!」
いつからか荷車は止まっていて
さっきまで布のかかっていた空には多くの星空が...
「うぇ?」
「セーラ、私も付いてっていい?」
荷車の側で白い髪が揺れる
「いいけど、いつから見てたの?」
「んー...秘密っ!」
コルの奥にはでかいオオカミも見える
こっちの街に着けたようで良かった
◇
大部屋にみんなで集まり寝ることにした
私は握り締められた感覚が無くならず、息苦しく思い、夜風に当たっていた
シェリダンとの因縁にケリがついたらもう少し晴れ晴れしくなると思っていたんだけどな...
「セーラ」
「コル...ありがとう」
「助け合って生きなきゃね」
「もう...」
「ねぇ、セーラ」
「なに?コル」
「オオカミ達と契約してないんだよね」
「んー、そうだね、そういえば深刻そうな顔の時に話をぶった切ってたね...」
「それはセーラについて行こうとした話だったんだけど...」
「オオカミ達、私が使い魔契約してもいい?」
「いいよ」
「えっえっ!?いいの!?」
さっきまでの空気が崩れる
「え、断って欲しかったの?」
「え、いや、だって...?」
コル...出会って間もないけど、昔から友達だったかのような人、そんな感覚も私が原因なのだろうけど...
原因がセーラにある理由は次回に続きます
助け合って生きていかないと...ですね
抱え込まなきゃいけないことなんてないのですから
誤字修正、指摘の方ありがとうございます(8月27)




