45話 死んでも怒りに燃え上がる
ハーピー三人を遠目に見ているとこっちに近づいてきた
「話は終わった?」
「はい、セーラ様、私たちを助けて下さりありがとうございました」
そう言って跪くオラクルとパフュ
...多分私は渋い顔してる
「あの」
「それで、私達の身の程は分かっておりますが...捕まったハーピー達の救出と逃がした子達の確認をさせて下さいませんか」
オラクルが続けて言葉をつなぐ
「...後で強制契約は緩和する、様も辞めて、捕まったハーピーも助けるし、確認もさせてあげる」
パァと顔を輝かせて見てくる二人
チャネラーも瞳をうるうるさせている気がする
「二人は...何が出来る?魔法は分かってる」
二人を改めて見ると、それぞれ使える魔法がわかる、強制契約のせいか、ハーピーだからか
ただ魔法が分かると言っても属性だけだが
オラクルは水魔法が使えるのは今、非常に助かる
パフュは火魔法と、あと闇魔法
それと二人とも風魔法も
「私...はハーピーの中で唯一水魔法...魔法以外は...すいません...」
オラクルが落ち込むように言う
「私は...料理が多少...ただハーピィの中での料理で...」
パフュも落ち込むように言う
空気が重いわ
「...チャネラー」
「ヒャイっ」
ビクゥと反応するチャネラー
どうした
「パフュと一緒に人間と逃がした子達の捜索に行って貰ってもいい?」
「できますっ!」
カチコチと動くチャネラー
...何があったか後で聞こう
「オラクルは水を作って欲しい、レイスっ」
「まぁっ」
私からレイス達が出ると声を上げるオラクル、口を抑えて恥ずかしそうにしているけど
「行ってまいります」「行ってキマス」
パフュとチャネラーは飛び立った
「オラクル...どうかした?」
「いえ...その、この子達が可愛くて...」
少し顔を赤らめて言うオラクル
私の意識が伝播したのかレイスが聞く
「みえてるのー?」「みえるー?」「すがたー?」「ひかりのたまー?」
「姿が、声も聞こえます」
レイスの一人と握手しながら片手で水球を作り出しているオラクル
器用ね
水はこれでおけー
あとはここを襲った人間と、逃がしたという子達だ
「ご主人様っ!」
パフュがすぐに戻ってきた
その顔の表情はあまり宜しくない
チャネラーはいない
ビュオッ
少し向こうの木々の真ん中に竜巻が発生した
「チャネラーっ!」
オラクルが飛び立つ、初速はっや!
「あ、ちょ、私を掴んでいって」
パフュに運んでもらう
追い風が物凄い勢いで吹き始める
パフュと私だけに吹く追い風
少し遠目に黒い集団が羽根のある子達を襲っていた
空から
黒い集団に炎弾を飛ばす
パフュが下ろしてくれた時に集団と羽根の子達は少し距離が開いていた
「セーラ様...」
この少しの間に深い切り傷を貰っているオラクル
相手は容赦がないな
ハーピー達は小さい姿もあり
皆どこか怪我をしていたり、縄で縛られたりしている
...チャネラーも浅い怪我をしている
私着くのそんなに遅かったかな...
「おいおいっ邪魔するんじゃねえよ」
表面の傷、怪我なら
秘薬のその二、塗り薬か...もちろん素材は私
「てめっゴラッ!無視すんなっ!」
ゴスっ
後ろから
私の肩に深々と刺さる斧
「きゃっ!」
オラクルは口を抑えて顔を青ざめさせている
ハーピー達も皆、絶望的な顔をしている
「私、話も聞かないようなヤツらのせいでこの森に惑わされたの」
理由はどうであれ、今は少しでも
怒りの感情が必要だ
「レイス、ハーピー達に秘薬を塗ってあげて」
私の秘薬を使うって
それちょっと...腹立たしい、かな
黒い集団がいるであろう方に体を向ける
人はどこまでもエゴでつき動いている
私も森から出たい一心から来たエゴだ
ハーピー達も助ける、欲張ってでも
それには、お前達は、邪魔だ
熱く、燃え上がるように体の奥底から熱が湧いてくる
私はいま、怒っている
◇
その女性はパフュ姉ちゃんに連れられておりてきた
チャネラー姉もオラクル姉も何とかしてくれるからって言っていた
人間たちと同じような黒い服を着ていて
違いは男か女かくらい
でも、私達を見る目は慈愛に満ちていた
ゴスっ...
人間の投げた斧がその女性に刺さる
あの斧は切った周囲を切り刻んでくる、そして動きを鈍くさせる、私達を苦しめた斧だ...
女性は振り向く
その様子は手負いとは思えない
「自分の獲物を投げるようなやつ何かのために?」
何か言っているがその声には怒気が含まれている
ゴォオッ
ぶぁさぁ...
羽ばたくようにその女性の背には赤く燃え上がる羽が広がる
その羽は私達の視界を占めるには充分すぎる大きさだ
一度、羽を動かし
二度、動かす、宙に浮き、もう一度羽ばたく
ゴォと、物凄い音がして、熱風が吹き荒れる
降り立った時、黒い集団の人間達は姿も形も消え去っていた
「鳥人様...」
誰かが呟いた、私達の知っている昔話に出てくる神鳥の力を承った者
火の神鳥、鳥人様と
鳥人様がこちらに向かい始めると、奥から光の玉を追うように捕えられたハーピー達が飛んできた
遠くに見えるのは、上側だけ溶けた檻の残骸、この方は、捕らえる檻だけを溶かし、中のハーピーを助けたのだろう
「みんな、傷は?」
鳥人様が私達を見ながらそう言う
私の傷も、みんなの怪我も、縄の痕に至るまで全て治っていた
ハーピー達の危機は誰一人欠けることなく鳥人様に救われたのだった
◇
私はいま、怒っている
振り向いたセーラは黒い集団の様子を確認する
魔力の通っているであろう鈍く光るローブを共通して身にまとっていて
フードで顔を隠すほど深くかぶっている
奥には檻が見える
中には白い羽が見えるからハーピィはいるのだろう
売り物がどうたら言ってたから丁寧に捕えられていたと、思いたい
敵の人数は十人程
距離はまちまち
この様子も私を困らせるための配置ということにしよう
...ちっレイスっ
レイス達がセーラの意思を受け取る
「セーラから」「おりごととかす」「なかをまもって」「どうやって?」「しらないって」
「えー」
数でカバーするレイス達
「なんとかしろって」「そんなー」
「いくよー」
「かずたりてる?」
「やーくるー」「きたー」「あつー」
「ぴゃぁぁ」「ひぁ...」
檻の中のハーピー達はレイス達によってセーラの炎を受けずに済んだのだった
レイス達の奮闘
今日もレイス達は大活躍です
途中でハーピーの一人の目線が入り込んでます
その一瞬の圧倒的な力
繋げ方が微妙ですけど少し戻ってレイス達の活躍
檻の中のハーピー達が無事な理由です
死んでも怒りに身を任せて、つき動くためにこじつけてでも感情を昂らせる




