44話 死んでも秘薬は役に立つ
「...よし、助けてあげる」
「えっいいの?」
鳥人を助け、何があったのかを聞くと、お願いをされた
私の秘薬は意思疎通をしやすくなる効果がある
それは強い思いほど通じやすい
この...鳥人は私を人だから、敵だと思いながらも、すがる思いで助けを求めてきている
心のどこかではもうどうしようもないと思いながらも
「事情を説明して」
「あ...えっと」
疑いの目から決意をした目になりながら
鳥人はハーピーのチャネラーと名乗った
ハーピー達はこの森に巣を作り生活していたらしい、すると何日か前に何人もの人が来てハーピー達を生け捕りにし始めたらしいわ
ハーピーの女は高く売れる
そんなことを言いながら
ハーピー達は戦ったが、森を焼き、巣を焼く広範囲魔法からは逃げるしか無かったという
それから森全体がざわめきだし、逃げるのは容易だった、しかし、チャネラーも逃げた先で力尽き、森の中でも燃えている、燃えていた方に向かって体を引きずったと言う
「...そう、分かったわ、まだそいつらはこの森にいる可能性があるね」
「そうかい?」
だって同じところに戻るように迷わされるのだから
「わしゃわしゃおわりー」「きれいー」
「ふさふさー」「とぶのー?」
レイス達がチャネラーを洗い終えたらしい
「...え、ありがとう」
全身の血や汚れを落としたチャネラーはオレンジの髪に黒い羽根を腕から生やしている、白い服を来ている...服かなぁ?
近くで見たら私みたいな特殊なやつな気がする
凄い美人さんなのは間違いない
「できる限り助けてあげる」
...それがこの森の意思なんじゃないか
この森に秘薬を上げたわけじゃないけど
意思疎通をチャネラーとした時にそう思えるような思考が入ってきた
つまり、森から出たければ助けろとっ
「場所は分かる?」
「...巣のあった場所なら何とか」
◇
チャネラーはどうやって飛んでいるのか
両腕で私を掴んでぶら下げながら
物凄い速さで木々の間を縫っていく
腕の羽根だけじゃこんな速さは出ない気がするような...
チャネラーが如何に人間に何をされたのか話をしているが、ごめん、私の思考はそっちにはいけない
「着いた」
「...ここが」
スタッと降ろされ、私の横にスっと着地するチャネラー
一面に広がる焼け野原
正確には木々が折れて、燃え尽きて
黒焦げな有様が一面に広がっている
「ひどい」「ひどい」「かわいそう」「ひどい」
追いついてきたレイス達が口々に言う
...酷い、本当に
「レイス、捜索、ハーピー達を」
ススッと素早く移動を始めるレイス達
私からも何匹も出ていく
「レイス...?光の玉には意思があるの?」
チャネラーには光の玉に見えるらしい
「...あっちにらしき黒焦げ」
レイスから伝わってきた言葉を聞きすぐに移動する
「この子達はレイス、私の使い魔」
「うっ...」
チャネラーが口を抑える
らしき黒焦げはハーピーのものだった
二人が抱き合うようにして倒れた木の下敷きになっている
「パフュ、オラクル...」
膝をつき涙を流すチャネラー
その名前はこの二人のものなのだろう
「まだ」「いきてるっ」「しにかけっ」
「...っ!チャネラー、まだ二人は死んでない」
ばっと顔を上げるチャネラー
「だずげてっ!お願い...おねがいだから...」
膝立ちでゆらゆらと近づきながら頼んでくるチャネラー
「...この状態の場合、二人は私の使い魔にしないといけない」
顔が焼き焦げて、真っ黒な状態、レイスの判断だと口は動かせないし、喉も通せない
しかし、私の体を使った秘薬
かつ、私の使い魔のレイスならば
私の管理下にある使い魔にならば
秘薬を直接、体のどこにでも届けることが出来る
チャネラーは一瞬思考したようだが
「助がるだら...私が説明するがらっ...おねがい、ふだりをだすげて...」
頭を地面にうちつけるチャネラー
チャネラーにとってこの二人は大切な存在なのだろう
二人の頭に触れ、意識を流す
◇
「...あなたは?」
「オラクル!?」
「パフュなのっ!?ここはっ!?」
淡い虹色の空間に私と青い髪のハーピィと紫の髪のハーピィが顔を合わせる
「黙って」
私の言葉に二人が構える
警戒心剥き出しだが、時間が無い、二人は今にも消えそうに透けている
「チャネラーの意思であなた達を救う」
「チャネラー!?」
「救う...?」
動揺と混乱が生じているけど...
「今は時間が無いの、私はチャネラーの意思で助けるだけ、あなた達から何か聞くことは無いわ」
「チャネラー...」「...」
強制契約ー
バチッ
私の手から赤い雷が二人を襲う
「うぐっ」「ぐっ...」
本来圧倒的な力量がないと成功しないがもはや消えかけている二人に抵抗力はない
すんなりと使い魔として契約される
スゥーっと意識が戻っていく
間に合えっ!
目を開ける
レイスっ!
二人から離れる
「ねぇ、助かったのっ!?」
「間に合ったなら...」
戻ってくる間にも二人は消えてしまいそうだった
「そんなっ、間に合ったよね?ねぇ...ねぇ」
「けふ...」
「レイスっ!」
「あい」「わかてる」「んしょー」
私とチャネラーは二人に駆け寄る
体がさっきよりもふっくらしている
再生をし始めている
「間に合った!チャネラー、二人を下から出さなきゃ」
「オラクルっ!パフュっ!今助けるから!」
レイス達が焦げた倒木を浮かし、何とか二人を引きずり出すことが出来た
「レイス...水残ってる?」
「あらうにはぎりぎり...」「ない」「ちょっと...」「のむにはすくない...」
森では水にたどり着けなかったのでチャネラーで洗ったのもあって残り少ないらしい
「...まぁ美人に使うなら仕方ない」
あの空間で会った二人は美人だったので...
私は喉乾いたら首切るか?
魔力ガンガン減るんだよなぁ...
レイス達がワシワシ洗っていると二人が目を覚ます
「うぁ...あ?あれ?」
「あぅ...」
「オラクル!パフュ!良かった!良かったよぅ」
...少し離れて三人の様子を見る
私の秘薬だから助けれた、うん、そう思うことにしよう、亡くなってすぐに蘇生する方は私の管轄外だし、出来てもそれはハーピーでは無くなる
強制契約だったけど、きっとこれで良かったんだ
...強制契約って何か重いデメリットがあった気がするんだよね、緩和とか出来なかったっけ?
少なくとも私が死んだら二人が死ぬんだけど...私の場合だとどうなるんだ?
私、結構自分の命は軽いからなぁ...
霊体だから相手の臓器を直接攻撃っ...はレイス達は出来ません、セーラの使い魔になら秘薬を直接届けることはできたり...
セーラ特製秘薬、作成過程は狂気の塊ですが、効果は抜群
死んでも役に立つなら秘薬くらい作ります、それで助かる命があるなら




