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死んでも私は生き返る  作者: ファイル
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04話 死んでも人の悪意には負けたくない

ダンジョンから街までは歩いてだと半日ほどかかるらしい


ダンジョンの入り口近くで今日はキャンプして、朝になってから出発するらしい


周りは暗く火の明かりが揺らめいている


少し離れて2つほど火の明かりが見えている、それらも冒険者とギルドの人らしい、あっ記録の人ですね


シェリダンさんから白いシャツと茶色のズボンをもらった

まともな服だ…!


「このシチューとても美味しいですっ!」

ほんとに、久しぶりに美味しいものを食べた…


「よく生き残れていたね」

「あ、はい、あの場所からずっと動かなかったので」


オオカミにもたれながらシェリダンさんの作ってくれたシチューを食べる


キャンプ用具も高価そうな物

冒険者として救助を多くこなしているらしい

ソロでの活動らしいが常に4、5人は救助出来る準備があるのだとか


魔法使いで遠距離で戦うらしい

いくつかの冒険、というか救助した話を聞かせてもらった後別々のテントに入っていった


「シェリダンさん、いい人だなぁ」

実力のある冒険者、かっこいい


明日は街に向かうようで

途中の村によって泊まってから街にという感じらしい


服ももらえて

うん、なんとなくいい日だ


オオカミが手を舐めて来たがさすがに血がシャツに着くのでダメだ

「今日は我慢」

「くぅ…」

腹減ったと言ってきている気がするがさすがにね



翌朝

私の目覚めた場所が

地面に直接から、木の上、そしてテントの中で目が覚める

「...格が上がっている気がする」


テントから出て伸びをする

「おはよう」

「おはようございます!」


テントを片付けて歩き出す



道中2匹のゴブリンをシェリダンさんが魔法で討伐

途中から私が疲れてオオカミに乗り出す


昼を過ぎたくらいに村に付き昼食

まだ行けるということで街に向けて出発



「さっきの紙は私のサインだけで良かったんですか?」


村で昼食を取った時にシェリダンさんの出した紙にサインをした

指を少し切って指印も


「ああ、さっきも言った通り依頼書でね救助の場合は救出した後に依頼書に救出者からサインを貰えば終わりなんだ

街のギルドだと並んだりするからね、キミは縛られたくないタイプだろう?」


「そうですねー」

道中のソワソワとかでそう思われたのだろう

そうだけど


街に着いたら自由にしていいよってことか

そういう点、気が利きますね


街でギルド...

やっぱ冒険者かな



「うーん、暗くなっちゃったね」


日は落ちてしまい明かりをつけなければ見えない程に

何となく向こうの空が明るいので街はすぐなのだろう


「あの盗賊達のせいですね」


少し怒った口調になる私


「はは、でもキミのオオカミがいてくれて睨み合いだけで助かったよ」


先程、日が暮れる前に3人組の盗賊が現れた

まさに盗賊、といった格好で小さい剣、ナイフかな?で行く手を阻んできた


しかしウチの子、もといオオカミが前に出て唸るとしばらく睨み合ったあと逃げていった


チョロいもんだぜー!


はい


それで暗くなったのでテントで夜を過ごすことに


「今日は街に着く予定だったからあまり良いものでは無いんだ、ごめんね」

そう言ってスープとパンを出してくれる


火はシェリダンさんがライトニングボルトを木に使い燃やしている


私は何もしてない


「雷魔法で火を?」

「そうだね、自分の特異は雷魔法の中級レベルを無詠唱というものなんだ」

「特異?」

「ああ、キミのはテイムなんだろ?」

「え、あぁ、そうです、そうなんですよ」


特異...は火の魔法全般だと思うのだけど

まぁ勘違いさせておけばいいかな


火をおこすの手伝わなかったし


「それじゃ、明日はいよいよ街だね、おやすみ」


「はい、おやすみなさい」


そう言ってテントに入る



「お前がいれば私は魔物使いとして扱われるみたいだ」

「がうぅー」


そんなことより腹減ったと言ってる気がする


お花摘み...と言って昼と先程シェリダンさんから離れて

血が飛ばないように服を脱ぎ私の腕を食わせてやったが満足いかないようだ


「明日は街で食わせてやるからさ」

もふもふと撫でながらオオカミを枕にする


「というかシェリダンさんから肉を貰ってなかったか?」


村ではオオカミは驚かれるため外で待機、ご褒美にシェリダンさんが肉を、と買っていた


「がうぅ」

不味かったもん


そう言ってる気がする

そっかー、私の体の味をしめちゃったかー

いやらしいヤツめ

横になりながら頭を撫でてやる


「がうがぅ」

否定してくるオオカミ


おー焦ってる焦ってる

可愛いなぁ...ふと眠気が襲ってくる


まぁ歩きっぱなしだったもんね

疲れたのだろう


おやすみ...


「がうぅ...?」



モゾモゾと腹の上に何かが、乗って動いている


なんだ?オオカミがついに腹へりの限界か?


「...ん、オオカミ?」


ガシャン


「なっ!」

お腹の上にいる何かが声を上げる


...え?


オオカミに手を伸ばそうと右手を動かすと

両手が頭の上で組まれて、何かで縛られている



テントの中は薄暗い、しかし真っ暗ではない、もうすぐ日が登り始めるだろうという時か


そして、私のお腹の上にまたがって乗っているのはオオカミでは無く...

「じぇいだ...がっ...!?」


「目覚めるのが早いな、ただ麻痺はまだ効いてるようだが」


私に跨っていたのはシェリダンだった


どういうこと?


口は痺れて上手く喋れない

視覚は大丈夫、首も動かせる


...私の服、シャツは胸の上までまくられていてズボンも膝まで下げられている

羞恥心で体が熱くなる


...こわいっ


「なっ...ぁ...!」

上手く喋れない


肩周りは動く、殴ろうとするが上半身に力が入らない

下半身は感覚がない


こいつ...!


「ははっ!そんなに睨むなよ、途中で目が覚めたのはお前が2人目だがどうしようもないだろう?」

醜く歪んだ顔をしながら私のお腹、腰周りを撫で始める

気持ち悪い...!


「くっくっ、いい顔だ」


こいつは今『2人目』と言った

私が2人目だ

1人目がいる、それどころか何人もこいつの被害になっている人がいる

そういうことだろう


救助した人達を、こいつは...


「ぐぅ、じょぁしゅーはんがっ!」


「...ふむ?麻痺の回復が早いか?耐性持ちか...」


呟きながら足の方、テントの入口の方にあるカバンを漁るシェリダン

その間も私の足を撫でていて非常に気持ちが悪い


何かを手に取り私に跨る


こわい、逃げ出したい


「くくっ、涙が滲んできているな、いい表情だ」

シェリダンの手には魔法陣の書いてある紙


「そうだよ、私は救助で名の通っている冒険者だ、しかし助けたほとんどの人は見かけなくなるらしい、どうしてだろうなぁ?」

私を触りながら、見下しながら調子よく喋るシェリダン


『もう少し耐えて』


ふとそんな言葉が頭をよぎる

よぎるどころかバッチリ聞こえた気がしたが


「お前が...おまっ!」

先ほどよりかは喋りやすいがまだ痺れは残っている

「耐性持ちは厄介だな、早めに済ますか」


魔法陣の紙を私のお腹に押し付ける

あれはまずい、何かわからなくても危険なのは分かる

「パララっ」

「ガアッ!」

シェリダンが何か言い始めた瞬間

全身から火をだす

もう、無我夢中だ


ゴオッ!


「ぐわっ」

シェリダンは立ち上がり手のひらをこちらに向けている

熱いのに加えて眩しさもあるのだろう


服が溶けだし、テントが燃え出す


お前なんかにやられてたまるか!


「はあっ!」

寝転がった体勢から体を逆くの字に飛び上がらせる

その反動を使い両足を振り上げる


ゴスっ...


「ぐぉぅ...」

私の渾身の一撃はシェリダンの股にクリーンヒットした

そして足から出ていた火がシェリダンの服に燃え移る


「ガウッ!」


私の縛られている両腕を噛みオオカミが引きずり始める


「ぐおう...くっそがぁ!」

シェリダンは立ち上る火に包まれていった



「うぅ...」

最後の魔法陣は麻痺なのだろう

再び全身が痺れてくる

力が入らずだらんとなる


テントの一部を巻き込みながら引きづられていく


「グウっ」

大丈夫?と言った雰囲気がオオカミから感じる

「あう、あー」

大丈夫、助かった

伝えようと思ったが上手く喋れなかった


「グっ」

オオカミから返事が来た気がした


伝わって...いるのかな?


ザリ、ザリ...と引きづられていく

見える火はだいぶ燃え広がっているようだ

離れてもメラメラと燃えている様子が分かる


もうすぐで街だ、アイツのことを伝えなければ

シェリダンから逃げ出せました


人を、女性の扱いに悪意のあるシェリダンに

負けたくないです


(2019/04/16)

後書きを追記しました

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