32話 死んでも高みを目指そうか
鍵にもなっているカードを持っていれば扉を開けれるようだ
どんな仕組みか知らないがいい鍵だ
部屋は狭いが
シングルベッド、ふかふかなチェア、一人用のテーブルに大きめの鏡
魔法陣で動くものに水が出る魔法陣など
なんかもう...すっごい設備がいい...
それが鏡合わせのようにあり
真ん中を大きな布、カーテンで仕切ることができるようになっている
仕切る用のカーテンは二つ...ふむ
とりあえずは開けておく
鏡の横に四角い長方形の箱があり
資料を読むと雷の街の丸秘道具、魔力タンク!などと書いてある
名前に反して、資料どうりだと雷の街の中なら勝手に魔力が溜まり
これを部屋の魔法陣と組み合わせれば自分の魔力使わずに使える!
らしい
なんかもう怖くなってきた
急に天井が迫って殺しに来たりしない?
そんなんじゃ死なないけど...
どうやら地下なのに窓があり、窓から見てみると雷の街のどこかの建物からの景色のようだ
「ちょっと...疲れてるみたい、私は寝ようかな」
きっとお昼の疲れが出たのだろう
理解の範疇を超えた私はフラフラとベッドに倒れ込んだ
わー...フカフカだー...
◇
セーラは倒れ込むと直ぐに寝息を立て始めた
レイス達は体を拭いてあげるらしく服を脱がしている
そのままにしてあげないのね...
スーラの所から、セーラの感覚が、戦いたい、強くなりたい
追いつきたい
という気持ちがある
誰に、何故か、なんて記憶は貰えなかった、もしかしたらないのかもしれない
ミスラ...セーラと出会ってすぐの街で見かけた雷魔法使い
私の中でアレが最も強い
そして今の状態なら傷もつけれないだろう
今は私でも分からないが、かつてはスライムだった私は強くなりたいという気持ちがセーラからか、自分からか芽生えて
そして強くなる機会が今、ある
セーラの手助けのために縛るだけだった私はどこまで行けるだろうか
セーラの横に立つことは出来るだろうか
私は知りたい
ドーハの力を、バンシーの能力を使ってでも
「強くなりたい」
それは掠れるようなか細い声だった
しかし、その声に秘められた意思は...
◇
目を覚ますと窓から光がさしていた
「なんでだよっ!」
「ひゃっ!」「ぴゃー」「うえぇえん」
レイス達が驚き逃げ出し泣き出してしまった
「わ、わ、わ、ごめん、ごめんって」
バンシーの部屋の方は...
カーテンは開けられている
しかしバンシーは居ない
いや、まあバンシーは二日に一度私と同じくらい寝ればいいから、いつもレイスとなにかしてたのだ
「レイス、バンシーは?」
「んー?」「しらんっ」「しゅんってきえた!」「わからん」
外に出たのかな
ベッドの横は小さいキッチンが壁を挟んである
その壁に対戦予定が映し出されていた
内容は
模擬戦:セーラ対バンシー
本気を出さないでください
客寄せがメインです
ほかの参加者も見れますので手の内の晒しすぎは悪手です
とあった
「...これはいつから?」
「んー?」「しゅんってきえるまえ!」「バンシーもみてた!」「しらない!」
「外は明るかった?」
だいたいなんで明るいのか私は知りたいけどね!
「んー?」「くらい?」「ちょっとあかるい!」「うすぐらい?」「よあけまえ!」
おい、さっきから全くわかってない子いるぞっ
「ごはーん」「ぱんではさんだー」
「やさいきらーい」「にくいり!」
レイスがサンドウィッチを持ってくる
「こんな食料なかったと思うんだけど」
「あんなか」「あれ」「あった!」
魔力タンクが最初から二個設置してある箱を指さすレイス達
起き上がり何か見る
「んー、どれどれ...っ!」
寝ぼけ眼でも
氷の魔法陣だということが分かる
「なっ...えっ...!?」
氷の魔法
それを使えるのは一人しかいない
私はその人物を知っているはずだ
「うっ...?」
頭痛がする
頭の中がぐちゃぐちゃだ
「バンシーが」
レイス...いちがスススーとある資料を持ってやってくる
その資料には
王者の資格と防衛に成功
うんぬんかんぬん
一位の時点での参加者全員からの防衛成功には雷の街から出来うる限りの全てを与える
とある
ちなみにレイスいちが指さしてたのはもう少し下で、順位が上がった際、その順位に応じた報酬を与えるとのこと
あ、別に部屋をランクアップするのは一位じゃなくていいのね
雷の街からのこれだけの技術があれば私の、この記憶も知ることが出来るのではないだろうか
魔法には時間魔法というのがある
過去を見ることが出来る魔法だ
...いや、たらればだな、まずは風呂付きの部屋に移動!
シュン
「あ、セーラ起きてたんだね」
「バンシー、おはよう、どこに行ってきたの?」
「朝イチで野菜買ってきた」
んんんぅっ!
目指す場所が見えたりと色々昂ってただけに少しずっこけた気分になった
まぁこんなんでいいんだ
先を急いでもね
「お金ってどれくらいあるの?」
「んーっと手持ちとは別に雷の街の中でだけ使える通過が私に八千、多分セーラも貰ってる」
まだ一試合にも出てないのにこんなに貰っていいのだろうか...
「おー」「はっせん!」「ほしぃ!」
「みせてー」「へってるー!」
バンシーがココだよーとカードを指さしてる
そして私はお姉さんだから買い物してきたんだっとレイス達に言っていた
「すごー」「ばーしー!」「すっごい!」
「すごい!」
私もカードをみる、八千と数字が並び単位がP?
わかんない...
転移先の欄があり触れると名前が変わる
どんな仕組みだこれ...
「あっ、セーラ、魔力を込めるとてん...」
シュン
目の前の景色が変わる
「えっ!?」
「うおっ!?」
「なんだ!?」
「天井から姉ちゃんが降ってきたぞ!」
ドシーン
「アイったぁ」
そこまで痛みはないが気持ちの問題だ
そしてさっき聞こえてきたのは男達の声
「あー...ここどこだ」
確かカードに酒場と映った瞬間
あっ、なつかしー
なんて思ったのだ
そしたら景色が変わった
そこそこ、いや、だいぶ広い酒場で随分と酒臭い
空になった瓶やらが散乱していて
床で寝ている男も随分といる
たまに女もいる...
半分近くは起きていてテーブルを囲んで談笑していた...のかな
そして起きている人全員が私を見ていると
むしろ、私の落下で起きた人も居るようだ
「誰だ?姉ちゃん」
男が声をかけてくる
「あっ、私はセー...」
立ち上がろうと足元を見る
すると少し服装が見え
顔が熱くなる
「わ、わたっ...転移!転移してっ!はや...」
カードを掲げて魔力を込める
シュンと景色が変わる
宿用のピンクの寝巻き姿だ私っ!!
伏線だけは張りたがります
まぁ作者は重い話はあまり好きではないので
それより万能レイス達のおかげで寝巻きセーラです、次回はこの話の続きからっ
死んでも命続く限り高みを目指す
三つの存在が混じった存在の決意
それはひとつの歯車が動き始める音だった




