30話 死んでも情報過多で酔う
雷の街
少し高い丘の上から分かるのは壁が高ければ街の様子も全然見えない
「発展してるってレベルじゃない」
王城とかあっても不思議じゃない
壁も何層あるんだよ...
ただ壁の外になっている所にも家はある
あそこの家は魔物に襲われるだろ...
噂だと元は王都だったとか
うわさはうわさだけど
近くまで来ると壁が高い、一体何を想定してるのか、龍でも向かい打つのか?
門の前には長蛇の列でみんな入れるのを待っている
壁一つ通るのも身分証がどうたら衛兵の人に言われた
そして証明の代わりの札を渡され、一日一度は衛兵のいるところで滞在証明書をどうたらこうたらうるさい!
わかったわっ!
街の第一印象は別世界だった
道は広く歩く道とそれ以外と別れていたり
建物の壁や看板に宣伝?が書かれている
この先ギルド...のような看板も多い
色々な店があることもわかる
背の高い建物も多く
人も多い
「酔った...」
宿を探すためにフラフラしたが
情報量が多すぎる
大通りから逸れて路地裏に座り込む
あと、なんというか水の街とは違う空気の淀み方だ
「宿で休みたい...」
「まぁまぁ...いまレイスに探させてるんでしょ?」
「うん...」
地面は焼き石で足も心做しか痛い気がする
もぉーやだぁ...
進んでも似たような街並みだし
途中ギルドに向かおうとしたら看板と地図を見てもどこがどこを指してるのか分からない
途中見かけた魔法陣屋さんの自分だけのオリジナル魔導書を作ろう!とかは気になったけどそういうのも含めて情報多すぎる
何だこの街、私にむいてない...
「よしよしー」「ないてるの?」
「元気だして」
レイスにはだだ漏れらしく慰めてくれる
おぉ、レイスたち、癒される...
◇
(逆ギレに近い状態になったセーラより)
ギルドには着けたがここのギルドに仕事なんてなかった、なんかずっと遠隔会話してたしっ!
受付もこのギルドが冒険者に出来ることは能力に合わせておすすめの場所を教えてくれるだけらしい
当然闇の街でしたよ!えぇっ!
あ、ただ人に優しくする狼の魔物がいたそうな、とても強い、との情報だけ
防具屋ぁっ!私の身なり(ボロローブ)で実力推し量ってんじゃねぇっ!
武器屋っ!見た目重視の使いにくそうな武器しか置いてないじゃないかっ!
欲しくなったわっ!
道具屋っ!品揃えいいけど何もかも高すぎる!ごめん!そんなにお金がない!
馬屋っ...?馬車はいらない!
家具屋っ!買っても置くところがない!
薬屋っ!なんかバンシーが露骨に避けるからわかんない!私は悪くない!
魔導書屋っ...?金持ちしか買えないわっ!メイルのやつ見つけれなかったのだいぶ心にきたっ...
奴隷売ってたところっ!その、なんか私達を見る目が怖いっ!
魔物屋?魔物使い屋?も同じく!あと弱々しい狼を人に優しくする狼の魔物と騙して売るなっ!
教会さんっ!どっちかと言うと子供多かったから教会に見えないけど、出来たら寄付するっ
風呂屋っ!あるのは素晴らしいけど女性のこと考えてないだろっ!絶対行かない!
宿屋っ!どこっ!!
(この街に宿屋自体は沢山あるし見つけてもいますがどうもセーラの水準の風呂付きはないようで)
◇
街の探索で終わってしまった
バンシーをだらだらと付き合わせてしまった気がして少し悪い気がした
街の人は料理屋の区画の方に向かうか建物に入っていった
人通りは日が落ちる程に少なくなり騒がしかった昼間とは大違いだ
夜の雷の街は静かだ
まあどこもかしこも人が住んでるのもあるのだろう
昼間やる料理屋の区画と夜だけ開く料理屋の区画は違うらしい
まぁ自然とそうなるよね
向こうの空は賑わいの光で明るい
生活の光が道を照らすが
暗い街並は何か出てきそうな雰囲気だ
「レイスとか?」
「んー?いるよー?」「よんだー?」
バンシーの声に合わせてふわーっとするレイス達
いや、そうじゃないけど...うん
どちらかと言うと心の闇というか
なんだかんだで舞い上がっているのだろう
思い込みも強くなってしまう程度には
すると向かいから歩いてくる人影
ガチャガチャと鳴らしながら...
「あぁ、衛兵さんでしたか...ご苦労様です」
「ん?こんな所でどうしたんだ?飲みにでも行くのか?」
くいっと飲む仕草をする衛兵さん
バンシーが横にいるけど...その...まぁいいか、違うし
「いえ、今日この街に来たんですけど宿が見つからなくって...」
「宿?そこもあそこも宿だぞ?」
暗い街並のなかぼんやりと明かりをともしているところが所々ある
旅人に優しい街だ...
「いえ、風呂付きの宿がなくて」
「...あぁ、風呂の魅力に取り憑かれたタイプか」
やれやれと言ったふうにため息をつく衛兵さん
「ちなみに風呂屋は見たか?なんなら行くか?」
衛兵さんではなく変態さんでしたか
「まぁ冗談だ、風呂付きの宿を探してるなら見に行って、女性なら遠慮するわな」
ふぃーとため息をする衛兵さん
敷地や維持なども考えてなのだろう
それはまぁ仕方ないところもある気がする
でも、それでもなんとかして欲しかった
風呂屋は混浴である
誰が行くかっ
その時に気がついたのである
私達さえ入れればいい、むしろ私達だけで入りたい、と
風呂に入りながら女冒険者から話を聞いてみたいとか夢にも思ったが
混浴じゃあね
バンシーにレイスもいる私達じゃあ周りに迷惑掛けてしまう可能性もある
「...冒険者か?」
「旅人です」
「腕に自信は?」
どうしてそんなことを聞くのだろう
まさか衛兵に入れば、などと言い出すのだろうか
「あ、衛兵になる気はないです、まぁ女ですし、背丈とかもありますし、私集団行動っていうのも苦手ですし、どちらかと言えば...」
長々と衛兵にはならない理由を並べようとした所を衛兵が遮る
「いや、地下には行ったか?」
「え?」
雷の街に地下があるらしい
そう言えばこの街に来る前のここの情報でまだ行ってない場所があったっけ
途中荒れてますが、特に何かあった訳ではありません、多分勢いです
情報の波には抗えません、特に雷の街は数日かけて回るのが普通です




