24話 死んでも死んでも切り刻め
「現れよっ!イモータル・ルーラーぁあ!」
メイルの発動した浄化魔法は効果を失い
周りのゴースト達はバンシーに吸い込まれて行った
目の前にいたドーハもバンシーに...
本来墓地にいるはずの体はその場に倒れている
バンシーは呻き倒れる
体が浮き上がり黒い光が包む
光というか、闇...?
包んだ闇は弾け視界が一瞬黒で満ちた
目を開けると形は地下水路ではあるが周りの景色は変わっていた
紫の霧が立ち込めており壁や床は枯れた蔓や草が覆っている、横の水路は真っ赤に染まっていた
「...何が起きてるの?」
「うぅ、セーラ、無事?」
「大丈夫ですか?」
スーラとメイルを確認すると体に苔が生えていたり体が腐っているようにも見える
「スーラ、腕大丈夫?」
「幻覚っポイかな」
「苔...手触りだと変わってないですけど」
幻覚を見せる魔法?
「フシュュュ...」
そして目の前には蛇のような魔物...?
頭は骸骨でそこから蛇の体が伸びている
「ハァッ!」
熱線を繰り出すが躱される
スカージレットの姿は見えないが、コイツがイモータル・ルーラーとして、戦闘が始まった
スーラと回り込むように動き、見てない方が攻撃を仕掛ける
私は炎を、スーラが水を剣のように形取り攻撃する
メイルは魔法陣のため少し距離を置き使ってもらう
...扉があっただろう場所も壁になっている
先まで行ってみるが四方が壁になっていた、この空間に閉じ込められている...か
イモータル・ルーラーはしっぽでのなぎ払い、突進、噛みつきとそこらの魔物と大差ない攻撃しかして来ない
流れはこちらのまま、しかし大ダメージはなく時間が経つ
「準備出来ました!」
メイルが叫ぶ
それに反応してイモータル・ルーラーがメイルの方に向かう
「メイル!そっち行った!」
「返り討ちにしてやります!はアッ!」
イモータル・ルーラーは予想以上の俊敏さで移動しムラサキの霧の向こうに行ってしまった、直ぐに追いかけるが魔法の音はしない
「シュルルルル...」
イモータル・ルーラーと正面に向かい合う
「スーラ!...スーラ?」
スーラの返事もしない
イモータル・ルーラーと距離を置き四方の壁沿いを走る、赤い水路は飛び越えるが、イモータル・ルーラーは難なく追いかけてくる
壁沿いを走っていると魔導書を拾う
「...メイルのか?」
「シュルルルル...」
しつこい!
少し進むと壁で液体になってのびてるスーラを見つける
「スーラ!?」
「チカラはいんナイ...」
一瞬のうちに二人を倒した...と?
「シュルルルル...」
後ろにきて攻撃してくるイモータル・ルーラー
この攻撃パターンで倒せるとは思えないが...
と言うより火に弱いのか?私の剣の痕は残っているがそれ以外の、スーラの痕は見当たらない
ここなら全力を出せる?
「はぁぁあ!」
ゴオゥッ!思った以上に炎が燃え盛り炎の剣は輝きを放つ、足を踏み込めば爆発したように加速しイモータル・ルーラーに肉薄する
ズシャァア
一振で二つになるイモータル・ルーラー
...な、予想外の脆さに驚きを隠せない
様子を見ながら距離を取るが動き出す気配はない
スーラの元へと向かう
「スーラ...大丈夫?あとメイルを見てない?」
「メイルは...影に呑まれて行った、気をつけて、こいつ、再生する!」
悪寒
振り向きざまに剣を振るう
再び二つになるイモータル・ルーラー
球状のスーラを抱えて様子を見るが再生する様子はない、しかし距離を置くとまた復活している
その後も数度倒すが復活してくる
スーラは元気がないようで喋らない
四方が壁の空間から逃げ出せるような場所は見当たらない
紫の霧で見えなくなると復活する...
霧が再生させている?
ならイモータル・ルーラーの体と一緒に霧も焼き焦そう
正面から向かい合う
骸骨の頭に目があるのか知らないが
「はぁアッ!」
切る、切る、切る、切る
頭蓋骨は硬く傷がつく程度しか切れない
ここが本体か?
なら
「はぁぁああっ!」
さらに力を込める
ゴウッという音と共に視界の端に赤い炎の羽が見える、私のか?
この空間に来てから謎の現象が多々起こる
とりあえず今は
炎の剣を構える
構える過程で空間が切り裂かれる
「セイっ!」
縦に切る
すると空間が裂けてこの謎の空間が崩れ始める
裂けた先にスカージレット
「ブルーム...ブルーム...ブルーム」
同じ単語を呟き続けるスカージレット
「きしゃァァあっ」
イモータル・ルーラーは二つに割れた頭蓋骨を必死に動かしスカージレットに襲いかかる
「まてっ」
ガクン
切られた蛇の体から白い光が絡みついてくる
どうしてもスカージレットを喰らおうとしてるのか
「んっ!」
スーラが飛び出し頭蓋骨を飲み込む
「スーラ!?」
「あぐぁあ...」
苦しそうに呻き出すスーラ
ドーハの、バンシーの姿が体に現れる
光の拘束が弱まり振り払う
「スーラ!」
「もう、少し...それよりメイルを」
辺りを見渡すと壁にもたれかかっているメイルを見つける
すぐさまメイルに駆け寄る
「メイル!」
「うぅん...あっセーラさん!」
外傷は無さそうだ
「魔法を発動する時に魔物に襲われて黒い球体から弾き出されたんです、その時に魔力がだいぶ持ってかれて...」
空間は外からだと黒い球体に見えていたということだろうか
「ぐぅある...じぃいぁあ!」
苦しそうに呻き人型は保っているが頭を抑えるスーラ
「スーラっ」
「じょうが...浄化まほぐぅ...!」
「...!メイルっ、浄化魔法!」
「魔導書が...」
「ここ...あれ!?」
確かに持っていたはずだが見当たらない
今は浄化を...!
「光魔法...つかえない、浄化も、回復魔法も...!」
「ひがり...空の光を」
スーラからドーハの声が聞こえる、苦しそうだが...空の...光!
「...メイル、この上には何がある?」
「えっ?えっと...噴水、噴水があります」
「ごめんシンボルなら新しく作って、今からぶち抜く」
「えっ!?いいですけど...出来ますか!?」
「出来るかじゃなくて...やるのっ
はぁぁぁああ!」
あの空間で出来たのなら、こっちでも出来るはず
実力以上だけどっ
ボアッ...
再び炎の羽が生える
全身を炎の液体に浸しながらも力を込める
「燃やし尽くせ、羽があるなら、飛べるはずっ!」
天井に向けて飛び立つ、天井は触れる前に溶け上の層に繋がる
確か三層分あったはず
「あぁあぁあぁ!」
スーラ、ドーハの声がまじり苦しそうにしている
「ぶちぬけぇっ!」
ドゴォォオ...
砂煙と蒸発した水が視界を奪うが空に留まりながら羽ばたく
日はだいぶ下がっているが大丈夫なはず
角度が足らず下まで届かないところを削り、光が届くようにする
「あぁあ...ああっ」
光の当たったスーラは糸が切れた人形のようにその場に倒れ込む
水路が崩れたことで水が下に流れんでいる
下に降りメイルとスーラを回収し地上に戻る
スーラはバンシーの姿にスーラの要素が混じったような姿になっていた
実力以上もいつかの自分
スーラは崩壊を始めたイモータル・ルーラーを取り込みました
(たとえ自分が)死んでも(たとえ相手が)死んでも、切り刻め
その時は、その瞬間は殺戮のために動く機械のように




