18話 死んでも復讐の後は
聞こえてきた声はシェリダンだ
死んでも忘れるものか
スライム、球状になれ、その見た目はまずい
「ナニシテル」
穴掘ってんのっ!いいから球状になって!
頷いてポヨンと球状になるスライム
私は光っているから隠れられない
そして隙あらば復習したい、ならば!
◇
「くぁー!雨が降ってくるなんて!」
「ちょうどいい所に洞穴があって良かったですね」
「ああ、明かりもあるようだ」
「くー、昨日あたりここで過ごしたやつのですかね」
「多分な、雨も強いしこの火を再利用して夜を過ごすぞ」
「そッスね、テントの方は大丈夫ですかね」
「雨だが見張るか?」
「いえいえいえ!問題ないと思います!」
雨合羽を着込んだ男達が火にあたる
リーダー格一人に子分二人、そのような構成
背負っていたカバンから食料を出し食べ始める三人
「それにしてもいい感じに転がりましたね」
「よく見えなかったスけど、魔物の乱闘に狂気で責めさせるなんてやるっすねぇ!」
「ふ、状態異常の狂気は自分にも使えるからな、お前らも掛けてやろうか?」
「いえいえ!大丈夫ですよ!」
「そ、それで攻めた冒険者の女を誘い出す、くぅー!成功すると思いませんでした!」
「まぁ狂気の乱戦になれば味方にも当たるだろう、そいつに女がいただけだ」
パチッ...
「あつっ、火ぃ強くないっすか?」
「湿気た木でも突っ込んどけ」
三人はこれからの段取りを確認していく
◇
背格好的にリーダー格がシェリダン、話し方も声もあいつだ
...まだ引っ掛けてたか
許さない
「そろそろ寝るか」
「楽しみっスねぇ!」
「くぅ!」
リーダー格、いや、もうシェリダンだろう人物が私に手を伸ばす
その手を握手するように掴む
スライム、残りを拘束か、仕留めて
「は?」
間抜けな声を出しながら私と握手をする
◇
火を消そうと手をかざした、すると火から伸びてきた手と握手をしていた
「は?」
予想も出来ないことがおき、頭が真っ白になる、しかし次の瞬間全身から雷を発した
まずは自分に有利になるように
「久しぶりだな」
その声に聞き覚えがあった
そしてすぐに理解する
顔がほころぶ
私から初めて逃げた獲物
探し、待ち焦がれた道具!
「ははっ!」
「溶かしてやる」
怒気の混じった声
火が一段と燃え上がり人の形を作っていく
「素晴らしいっ!いい具合に育っている!」
心から感動の言葉を送る
...赤髪の魔物使い
「セェラァあ...」
◇
シェリダンは顔の半分を布で覆っていた
しかしそれでも分かる喜びよう
キモイ、控えめに言ってキモイ
手はもう溶かした
手首も溶け始めている
なのに喜ぶ
人の姿になりひと段落済んだのだろう何も着ていない状態かつ炎も纏っていない
一瞬火の粉を舞わせる
どうせ三人とも溶かすが
その瞬間シェリダンは私に抱きついてきた
シェリダンの服が熱さに耐えきれずに燃え出す
熱い抱擁をしてくるシェリダン
力が強く肌にヒビが入る
いや、きもい!
「あわ、あえ!?」
訳が分からない、訳が分からないまま体から炎の水が噴き出す
「この顔、分かるか!?」
バチバチと全身から雷を発しながら顔の布をとる
半分火傷を負った気味の悪い顔
そこで気がついたのだろう自分の体が溶け始めていることに
「なんだこれは」
...狂っている
キョトンとした後全身を確認、その後私を見て薄ら笑い
ひび割れ、炎の水が噴き出している私をジロジロと見たあと
フヒヒと軽く笑いながら私に倒れ込む
それがシェリダンの最後だ
倒れ込んできた衝撃で胸の下あたりに穴が開き炎が噴き出す、そのまま沈み込む
シェリダンの頭が溶けていった
呆気なかった、とそのままになっていると声をかけられる
「ネエ」
振り向くと私の姿になったスライムが男達の口に手を突っ込んで組み伏せていた
男達は白目を向いている
「...ありがとう、一人からさっき言ってた女性の場所を聞きたい」
なにか物足りない、どこか空虚感を感じながら私のシェリダンへのなにかは終わってしまった
体を人の形にしながらヒビと穴を治す
やってやる、その気持ちはいつも以上の力を発揮できてはいた、うん...
結果的に人の姿を早くにとることが出来たんだ
「ハイ」
そう言って服を差し出してくるスライム
「ありがと」
ひとまずは着替える
洞穴はそこそこ奥まで来ているが静かになると雨音が聞こえてきた
「...」「...」
スライムと目が合う
「...なに?」
「ソレホシイ」
スライムが指さすのはシェリダンの胸から上がなくなってしまったもの
「いいよ、後で好きにして」
それよりも残りの奴らだ
シェリダンの、男達の鞄を漁る
「...知ってた」
予想どうり、縄を見つける
縄でできる限り男達を固く縛る
そしてビンタ
「おい、起きろ」
「はっ...お前は誰だ!」
起きて周りを直ぐに確認する当たりこなれてる感がある
手元も怪しい
「余計なことするな、こうなるぞ」
「なっ...」
シェリダンだったものを見せる
「...何が知りたい」
理解が早くて助かる
「連れ去った女の場所」
「言ったら解放するのか?」
「...されると思うのか?」
目を丸くする男
思考が停止したような反応
「...まぁそんなもんか」
悟りを開く男
「相棒だけでも逃がしてやれねぇか?」
「...」
「ひどい顔するなぁ、可愛い顔が台無しだ」
視界の横で頷くスライム
どっちの味方だよ
「ジッケン」
スライムが一言呟くと思考が伝わってくる
なにか試したいようだ
復讐が終わってしまいました、あっさりとした終わり方でセーラは何か心に穴が空いたように感じています
...シェリダンがこれで終わり?
いやいや、まさか...ね




