表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
死んでも私は生き返る  作者: ファイル
16/62

16話 死んでもわからないこともある

私は燃え、炎が体を包み込む

スライムが男達の足元に絡みついてくれる

バラバラになりながら...


こいつらに炎は効く、ならば燃やし尽くそう


視界は暗くなったが目を開けると私の体を見下ろす形になっていた

感覚はある

...死んでもなお


頭のない体を動かし男を蹴る

斧の方は仰け反るがすぐさま剣の方に体を切り始められる


切られた所から炎が溢れ体をその場に留める

男達がなにか叫んでいる

視界の端で門の前に人が集まるのが見えた

こいつらを対処できる人を呼んできて欲しいところだが


斧の右手首を黒く焦げさせる

抵抗が無くなってきたと思ったが

黒い集合体が男の口から溢れ体を覆う


そして再び抵抗され斧の手首を離してしまう

斧を持ち上げてるところから黒焦げにした意味が薄そうだ


私の体は全身から炎が溢れ原型を留めていない

辛うじて切られたパーツは空中に留まっているようだが

そこを切り込もうとする剣の男


少し切られたところで剣を阻み捕まえる

剣をつたい男を燃やそうと試みる

しかし剣の男も口から黒い集合体が出てきて体をおおってしまった


黒い集合体に覆われると表面を焦がしても直ぐに補充され戻ってしまう


常に燃やし続けなければ...


もっと...もっと!


炎の塊になっている私から炎の水が溢れる

ドロドロとした炎

逃げようとした男達をスライムが引き釣りこんでくれる

炎の水を黒い人型となった男の足に絡め逃げられないようにする


炎の水も私の体の一部なのか操作出来るようだ


黒い人型の脚であったであろう場所を溶かす、しかし黒い集合体が補い

燃え続けながらも立っている


拮抗...という所だろうか



門の方から一際明るい光が生まれる

黒い集合体もそちらを見る

私も反射的に見ると


一人の少女が片手の先にその少女の数倍もの光の玉を生み出していた

バチバチと雷が走る


ミスラ...!


気がついた時には体が動かなくなっていた

痺れるという感覚がスライムから伝わる


黒い集合体も奇怪な動きをしている


麻痺...嫌な思い出を頭がよぎる


「お前達三匹は危険指定魔物にされた...人型だからとりあえずの報告だ


なにか言いたいことがあるなら生き残れ」


そう言って上下から雷が迸る

見下ろす視点の私の視界も真っ白に埋め尽くされる


光は晴れる

黒い集合体も私の体も原型なく地に伏せている

ミスラはため息をついて振り返る

戻るようだ


ミスラに叫んでも今の私では届かない



黒い集合体が狙っている!



「...呆気ないな」

雷のあとは形あるものは存在していなかった

普通に考えれば死んだ、と判断するところだが


黒い集合体、私はオマエらの出処の予想がついている


がァ...ぁあ!


唸り声

振り返りながら魔法を

「雷よっ」

地面から上に向けての雷

発生源を隠すのに地面はちょうどいい

少しえぐれたが


「きしゃぁああっ!」

宙で雷に幅かれながらも勢いの落ちない黒い蛇

人型よりも小さくなっているだろうか

さて、どうし...


ドゥッ...

後方から飛びかかってくる

半分溶けているセーラ


右側は先程の炎の魔物だが左側は人の形となっている

全身が真っ赤になっているが頭から人になっているようで顔はセーラと分かる


突き刺さっているような黒蛇を炎の水を零しながらセーラが握る

グショァ...

「かしゃぁあ!」


握られた黒蛇はじたばたともがいたり逃げようとするが炎の水が先回りをして溶かしていく


ブシャァア...


黒蛇の少しを完全に握り潰した時

セーラの人の形が崩れ炎の水になっていく


一連の流れに驚き、ほうけてしまった

ハッと気が付き声をかける

「セー...」

ヒュンッ


ジュゥゥウ...


水の矢が後ろから飛んできて炎の魔物、基セーラに当たる


ばっと後ろを振り返ると冒険者達が周りに集まってきていた


「コイツはダンジョンで見たことがあるぞ」

「火だるまの魔物だな」

「水魔法の使い手がいれば楽勝だぜ」

「魔導書もあるぞ」


なっ...こいつらには見えてなかったのか?

「まてっ止めろ!」


冒険者達がこっちを見る

「あれは人だ、攻撃するな!」


皆セーラを見る

「セーラ!」


炎の水は集まりだし

人の形を形成していく

あの細身の体、セーラに違いない


「ケホッ...けほっ...」

体は赤々としているが完全に人の形になった

良かった、危うく殺してしまう所だったのでは、私の雷までくらって...


苦しそうな顔で口を開けるセーラ


「あ...えっと...けほっ」

弱々しい声

口から炎の咳をするセーラ


パシュッ...


あっ


えっ



誰かが発動してしまったのだろう水魔法がセーラにかかる

水のかかったところが黒くなり重くなったかのようにセーラの体から落ちる


ボトッ...


そこから溢れる炎の水

全身にヒビが入り崩れるセーラ


泣きそうな、悔しそうな

そんな顔をセーラはしていた

「あぁ...」



「魔物だぁああ!」

「うぉあぁっ!」

「ころせぇえ!」


冒険者達から水魔法が繰り出される

怒号にも似たような声を上げながら



その様子を私は理解が出来なかった

その場から数歩後ずさり尻もちをつく

その冒険者達はまるで理性を失った獣のようで

ただ魔物を殺すことのみを生きがいにしてきたかのようで

恐怖を覚えた


ただ怖かった



私も周りから見ればああなのだろうか


「ミスラっ」

セレナが駆けてくる

「セレナ...アイツらを止めろ」


無言で首を振るセレナ


そんな...

周りの冒険者が、それと重なった自分の姿が

忌避したい存在と自分が重なった時、ミスラはただ目を逸らしたかった


どうしてかは、わからない

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ