12話 死んでも魔物を強くします
スライムが私の姿を真似ることが出来る
色は水色のままだが
この模倣能力をギルマスとミホに説明する
というか実演して見せた
「スライムにこんな能力があったとは...」
「凄いっ!」
ミホが目をキラキラとさせてスライムをぷにぷにしている
「あー、これで敵を騙して後ろから切るんだ」
シュッシュッと空を切る
「そうか、魔物使いは珍しいからな、これからも期待しているよ」
手放しに褒めてくれた
気分がいい
熟練度、とは口からでまかせだが、実際にあるならば、積ませれば誰もが強くなれる
「という訳だ、スライム、強くなろう」
なろう、というかするというか
「まずは魔物使いについて調べるか...?」
一応私はギルドの職員扱いだ(にされた)
なら、ある程度自由が効くと...
「あー、すいません調べものですか?今現在通信魔法の処理が終わってなくてギルドの方では取り扱ってません」
断られてしまった
なんかギルドの上の人が色々やってるらしくて受付嬢とかはいま忙しいらしい
あと酒場の専属だからなんだ?っていう目をされた
立場低いなぁ
魔物使いについては独学でしばらくはいいや
街の周りの食料集めに私は今日も依頼されるー...
スライムに皮膚を食べさせた
まぁ食べさせたら皮膚が綺麗になったから細かいことはいいとして
(もっとオオカミみたくもがれると思った)
肌色、を際限出来るようになったのだ
ますます私に近づいたな
表面上は、だが
口を開けたり目や腕を切ったりすると水色が見える
...私達はどこに向かってるのだろうか
行く所まで行けばいいのか?
それならば、と
スライムに、「私」を食べさせる
最初は躊躇っていたスライムも結果的には私を取り込み始めた
ひんやりとした感覚
冷たい訳では無いが
私の体温が馴染み生ぬるくなる
次第に私を包み込むスライム
包まれる、というのと同時に溶かされるという感覚
シュワーっていう感じもする
よく分からない
感覚が、分からなくなってきた
途端に
焼け付くような感覚、熱く、痛い
感情を出すとスライムに伝わるので我慢する
熱い、痛い
感覚が溶けだす、感情が溶けだす
思考すらも...
ぽへっと
吐き出された
体がだるく、重い
ぷにー
スライムが私に乗る
訴えかけてくる
どうやら私を取り込むには力不足のようだ
なんだ、熟練度あるんじゃない?
私の体が光り出す
いや、眩しいほどではないが
きっと
四肢の感覚が戻ってくる
動かせる感覚
「んん...」
魔力が減る感じが消える
いつもどうり、再生したようだ
目を開けると扉の隙間から覗いている目と
目が合う
「...」
「...」
目線の高さ的にネアだろう
口をぱくぱくさせているのも見える
部屋に鍵かけてなかったっけ...
かけてなかったんだろうな
ぱたん
扉が閉められバタバタと走り去っていく音が聞こえる
ちなみに私は何も着てない
「あ、ちょ...」
追いかけれないので座ったままだ
絶対なにか誤解しただろうなぁ
着替えているとバタバタと慌ただしく走ってくる音
バンッ!
「悪いスライム!かくごー!」
冒険者の格好に初心者用の槍をこちらに向けてネアが入ってくる
息切れかつ涙目だ
なにか怖い思いをしたのだろう
「あれ?スライムは?」
スライムは私の髪の毛に引っ付いている、見えないだろうけど
「どうした?依頼か?」
ここでバラしたらギルマスとかに隠した意味がなくなる気がして...
「あ、えっとマスターからお呼びだったんですけどぉ...スライムがいませんでした?」
「いないよ」
「えぇ...?」
困惑するネア
目尻に涙が溜まる
かわいい
違う、まぁいいや
「マスターのところに行けばいいの?」
「うん...」
警戒しながら頷くネア
へっぴり腰になっている
マスターのもとへ、カウンター席に向かう
「あぁ、セーラ、仕事...依頼は楽しいか?」
突如変なことを聞いてくるマスター
「......悪くない」
「そうか」
それだけいいグラス磨きを始める
「いやいや!?要件っ!」
「おぉ、びっくりした、セーラらしくないな」
顔の表情が固くなった気がした
「いや、実はな?誰でも魔法が使えるアイテムが開発中なんだ」
「ふむ」
へぇ、それはすごい
「それで、その、なんだ、セーラが仕事に不満があるなら辞められるぞっていう話しでな」
申し訳なさそうに、言いづらそうにも言ってくれるマスター
「ん?辞めさせたいの?」
「いや、そうじゃない、続けてくれるなら大歓迎だが、最近ずっと浮かない顔をしていたからな」
小声で割と勧誘も強引だったし...
なんて聞こえてくる
黙っていると
冒険者としても順調らしいし...
と後ろめたそうに言ってくる
「今のままでいいよ」
「おっ!」
「それよりアイテムって?」
「うぅむ、そうだな...」
押し黙るマスター
「魔導書って言うらしい」
「ふーん?」
名前だけ聞かされてもなぁ
「どんなの?」
「見た目は本だが流した魔力を本が魔法に変換してくれるらしい」
「剣に纏わせたりするのとは違うの?」
「うーん、お、詳しくはあの二人に聞くといい」
マスターが後ろを指さす
茶色いローブを着ているが
後ろからでもわかる青い髪の毛と黄色の髪の毛
黄色の髪の毛の方は背は私くらいだろうか
しかし持っている杖は高価そうだ
青い髪の毛のほうは目立つものはない
ただ、威圧感というか、隙がない雰囲気だ
そして両者ともギルドからの信頼の証のアクセサリーを付けている
運び屋と呼ばれる人だ
青い髪の毛の人と
黄色い髪の毛の人が登場します




