10話 死んでも魔物使いになります
「んん...」
目が覚める
私は立っていて、前には黒焦げになった...
オーク、元オークがある
さらに前には血溜まりと焼き焦げた後がある
いやーボス戦は強敵でしたね
...ほんとに
私はここに来る時背中に替えの服をくくってきてたのだけど...まぁダメだよね
冒険者カードと短剣、右の腰にくくってあった肉、いや、食料(黒焦げ)を拾い上げる
周りは薄暗いが...あちらが通路で、反対のこっちは?
来た方であろう通路の先は階段がある
その逆、最初はオークで見えなかったのであろう位置に扉が続いている
先に続く道なのだろう
と、その前に
「ごめんなさい...」
周りに散らばっている骨から皮の装備を拝借する
埃っぽいけど何も着ないよりはマシということで
ギィー...
少し重い鉄扉を開けるとそこには台座があった、台座の上には透明な玉
ほんわかと光っている
ん...?
血溜まりから回収した冒険者カードが光っている
まぁ真っ赤で光っているとしか分からないが
どうすればいいのだろう
それより台座の前の宝箱でしょう!
宝石はミホに預け...リンドとミホはどうなったのだろうか
出たら記録係さんに聞いてみよう...
もしかしたら...いや...うん
今は宝箱を、この一瞬2人のことは考えないことにした
宝箱は道中見かけた箱よりも装飾が豪華で中身に期待できる
ぺかーっ!
...筒?水筒?
中には竹筒がある
冒険者の使う水筒のようだけど
中身はなさそうだ
屈んで宝箱を開けていたが立ち上がった時により一層冒険者カードが光った気がした
かざせば良いんですか?
冒険者カードをかざすと視界が光で包まれた
「んむぅ...」
「おー、おかえり」
光が収まると外に、ダンジョンの入口に立っていた
辺りは暗い、夜か
「あーえっと」
「ん?冒険者カードに強制転移させられた口か?にしては怪我はなさそうだな、じゃあ撤退か?初めて使われたのか?」
冒険者カードにそんな機能があるの?
色々言われたがどれも違う、どれも気になるが
「台座にカードをかざしたんですが」
「おー、ボス討伐かって討伐!?」
そこから記録係さんが説明してくれた
最後には登録時に聞かされるんだけどな、と言われてしまったが
すいません、多分昼間に行ってないからかも知れません
強制転移は息が止まったりと生命活動停止になると判断された場合カードが転移するらしい
その後ギルドから注意とかあるらしい
記録係さんは応急手当も仕事らしい
こういう時は大魔法をバンバン使うらしい
...ふーん
撤退はダンジョンで動けなくなったなどで出る時に使うらしい
ただし他の冒険者に使って貰う必要がある
...シェリダン思い出した
台座にかざすのはダンジョン攻略完了との事らしい
ギルドが攻略したダンジョンには台座が設置され、そこからクリアしてだっしゅつすると特典が貰えるらしい
以上が記録係さんが教えてくれたことだ
冒険者は複雑なんだね
しかし初心者向けダンジョンとはいえボスは複数人で学びながら討伐するものだと言っていた
強いなって言われてしまった
えへへ
はい、多分呆れてた
パーティーメンバーの2人のことを聞いたがここは通ってないらしい
...そう
2人はもしかしたら...
いや、死にかけたら転移されるのでは?
記録係さんは魔物避けのお香を炊いているらしい
夜は魔物も凶暴になるから木の上にでも寝なさいと言われた
私も近くにいさせてくれてもいいんですよ?あ、だめ?他の人も真似するからって?そう...律儀ね
ダンジョンの入口から少し離れた木に登る
...なかなか大変だった
魔力もだいぶ使ったしヘトヘトだ
明日はリンドとミホを探さなければ...
深く沈むように眠りにつく
◇
もちゃもちゃと音がする
うっすらと光が見える、朝か
木の根を枕に...
落ちてるな、寝たはずの枝が上に見える
起き上がると頭が重い
痛くはないが
怪我かな...
長い髪の毛が謎の光沢を放っている
血...?
いや、昨日は立ち上がった状態で再生したはずだ
つついてみると
もにょ、と押し返してきた
「うわぁ...もちもちしてるぅ...」
いつの間に私の髪の毛は弾力を得たのだろう
ぼとっ
髪の毛が一定の部分から落ちた
「え」
パクパクと口を開閉していると落ちた髪の毛がモゾモゾ動き出す
怖い怖い怖い!
ボォッ
手刀を燃やしながら髪の毛?を斬る
ジュォォオ...
当たった部分が蒸発する
すると髪の毛?がぷるぷるしだして薄緑になっていく
「...スライムっ!」
2つになったはずのスライムはもにょもにょ動きながらひとつになっていく
そして手刀のままの手に擦り寄ってきた
「お、お?なんだ...?」
何となく周りを見渡す
その時に長い髪の毛が無くなっていることに気がつく
...確かスライムって掃除用に捕まえられたりするんだよね
つまりは垢や埃、髪の毛に至るまでなんでも食べるという事だ
人を食べた事例はないため一般人でも倒せないことは無いという
そしてこの度私の髪の毛を食べたと
ぷにょんぷにょん
飛び跳ねるスライム
可愛い
まぁ、再生出来るからいいけどさ...
脱力する感覚がして髪の毛が伸びる
毛先まで生き返るから手入れ不要なのです
ふふっ
もちゃっ
スライムが毛先に飛びついてきた
「...」
毛先に繋がるスライム
髪の毛を持ち上げると一緒についてくる
髪の毛を振り回すが離れようとしない
「そんなに好きか」
肯定された気がした
「私の言葉は分かるか?」
もちゃ
飛び跳ねるスライム
「ジャンプ」
もちゃっ
「2回」
もちゃっもちゃっ
かわいい...!!!
何この生き物!
「はいで一跳ねいいえで二跳ね」
もちゃ
「お前は私の言葉が分かる」
もちゃ
「お前はスライムだ」
もちゃ
「お前は私が嫌いだ」
もちゃっもちゃ
「こいつぅー!!」
スライムを掴み頬ずりする
ちなみに片手サイズだ、鷲掴みだ
「私はこのために魔物使いになった気がするっ!」
もちゃ
お持ち帰り決定
「よし、とりあえずリンド達を探さなきゃ」
スライムはとりあえず後で
今はやるべき事があるからね
記録係さんに確認に行くと日が昇り始める頃に出てきたらしい
...中にいた?
ちなみに交代している時に出てきたらしいから目撃者は記録係の2人だ
どこにいたのだろう...
いや、無事なら良かった、あって聞けばいい事だし、とりあえず今はギルドに戻ることにしよう...
スライムは私の髪の毛にくっついている
食べながらだが
色を髪の毛と同じにしてるため記録係さんが気づいた様子はなかった
多分
髪の毛をぶら下げながらスライムに話しかける
もし見ている人がいたら髪の毛に話しかけてるやばいやつだ
ギルドに、酒場に戻る時にスライムから魔物使いとしての使い魔になってくれると了承を得た
何となく意思疎通できてる気がする
言葉をかわせている訳では無いが
それにしても、もにょもにょ具合が気持ちよくかわいい
これ、魔物なんですよ?
かわいいなぁ
なる予定のなかった魔物使いに私はなった
もちゃ




