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戸惑い

眠い。寝たい。そんなことを思いながら、授業を受けていた。


黒板にチョークで書く音。

ページをめくる音。

シャーペンでノートに書き込む音。


そんな音だけが支配する空間。

現実味を失った世界。


俺は眠りについた。



------------------------------------------------


「あなたは、いつかあるべき姿に戻るの」


誰?


「身体は心を映す鏡。あなたはとても曖昧な存在」


女の人の声が聞こえる。


「あなたのすべきこと。それを見つけて」


とても暖かな、懐かしい存在。

何かに包み込まれている。

心地がいい。

ずっとここにいたいとさえ思ってしまう程に。


「きっとあなたなら大丈夫だから」


その言葉が聞こえたのを最後に、意識を失った。


------------------------------------------------------


「キーンコーン、カーンコーン」


チャイムが聞こえる。授業が終わったみたいだ。

徐々に意識が戻ってくる。

さっきまで見ていた夢。よく覚えていないけれど、とても心地よかった気がする。




「なあ、空。食堂行こうぜ」


同じクラスの健斗に誘われる。もう昼休みか。お腹が空いているような気もするし、食堂に向かうとするか。



健斗と2人で食堂に向かう。


「空、眠そうだな。さっきの授業中も寝てたし」

「なんか今日はやたらと眠くてな」

「そうか。まあ、そういう日もあるよな」


道すがらそんな言葉を交わす。


食堂で健斗と昼食をとる。俺が頼んだのは、生姜焼き定食。健斗はカレーライスのようだ。

健斗と今日のことについて話してみる。


「これなんなんだろうな。病院行ったほうがいいのかな」

「病気じゃないと思うけどな。体質?」

「そんな体質あってたまるか」

「そりゃそうだな」


健斗はケラケラと笑う。他人事だからって・・・。


「さて、空。お前は男にも女にもなれるようになっただろ」

「まだ自由に切り替えられるかどうかわからないけどな」

「なら寮に帰ったら実験してみるか」

「まあ、いいぜ」


午後の授業も終わり健斗と部屋に帰ってきた。


「さて、始めるか」

「なんで乗り気なんだ、お前は」


何故か乗り気な、健斗。


「だって女体が見れるかもしれないだろ」

「もしそうでも中身は俺だぞ」

「それはそれ、これはこれ」

「意味不明だ」


というわけで、実験スタート。一度裸になって俺が男であることを確認してから、再び服を着た。


健斗が隣のベットに腰を掛けながら、ベッドに横になった俺を見守る感じだ。


「よし、始めてくれ」


俺は女になるように心の中で念じ始めた。すると強い眠気に襲われて、意識が落ちた。



少しするとぼんやりとしながらも意識が戻ってくる。


「おはよう。和樹」

「おはよう。空ちゃん」

「殺すぞ」


声が高くなってるな。

健斗がスマホで俺のことを撮っていてくれていたので確認する。体つきが丸みを帯びていき、胸が膨らみ、顔の形が女っぽく徐々に変化していった。


「なんだこれ」

「なかなか、すごいものを見たぜ。さて裸を見せろ」

「鼻息荒い。それと、きもい」


服を脱いでみると、完全に女の身体になっていた。


「これは女だな」

「わかるのか」


和樹って経験あったのか。


「ネットで見た」

「童貞め」


確認が取れたので、男になる実験を行った結果、身体は完全に男に戻っていた。



「なんか便利な身体だな、お前」

「何に使えばいいんだ」

「そりゃお前、やることと言ったら、まずは女湯に行くことだろ」

「まあ、そのうちな。今日は疲れたから早く寝たい」

「お疲れさん」


そんなこんなでその日は終わった。

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