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作者: dieivu

 犬なのだ。

私は犬なのだー!


あーあー、好きに生きようー、わーい♪


今日もお外に行ってみよ〜。私はお散歩大好きなのだー♪




お外は楽しみがいっぱいで、どこまでも行きたいくなるのだ。


昨日は邪魔くさいやつが私の首をしめて動きづらかったけど、今日はない。


私は自由なのだー!




どこに行こうかな〜♪

こっち? それともこっち?、うーん・・・迷うのだ。


こっちは行ったことあるからー、こっちにしよ〜♪




あれ? あれはなんなのだ?


変な奴らが歩いてる。脅かしてやろうかな?


でも、いい匂いがするのだ。あの中の1つから私の好きな匂いがする。


これは・・・ついていくしかないのだ。楽しくなってきたのだー!




「アン♪」


私に気付いたのだ。


「どこからきたのー?」

「かわいいー♪」

「ちっちゃーい♪」




いい匂いの奴はどこー?


これ?、違う。なら、これ?、また違う。


やっと見つけたのだ。



いい匂いの奴は頭の毛が長くて、2つに別れてる。変なのー。




いい匂いは不思議なのだ。昨日までいた所だと動くと叩かれたり、大きな声で威嚇されるから気分が悪かった。でも、いい匂いは叩いたり、大きな声を出さない。


それに、なでてくれる。居心地がいいのだ♪




(なでなで)


「気持ちいい?」


(しっぽフリフリ♪)


「嬉しそう!」


「でもさー、もう行こう。児童館に着くの遅くなっちゃう」


「そだね」

「うん」


「バイバーイ」

「じゃあねー」

「バイバイ」




 行ってしまう。待つのだ、いい匂い。私はどこまでも、どこまでも付いて行くのだ。




「ねえ、ついて来るよ?」


「どうする?」


「うーん……。

これでくるんで連れていこうか」


「それなーに?」


「弟のウインドブレーカー」


「いいの? 勝手に使って」


「大丈夫」




 疲れてきたのだ。

休みたい……。


でも、いい匂いが行ってしまう。

まってー!

いかないでー!


「くぅん?」


 良かったのだ。

いい匂いは止まって私を待ってくれたのだ。


それに、私も一緒に連れて行ってくれるみたいなのだ。


私は何かに包まれ抱っこされた。動けないけど一緒にいれるのならこれでいいのだ。


「行こう」


「うん」







「せんせー、犬、児童館に入れていー?」

「あら? どした、はるちゃん」

「えっとね、犬ついてきた」

「あらら、ちっちゃい。 その犬、首輪つけてるけど、どこからついてきたの?」

「田んぼ」

「どこの?」

「がんたの家の近く」

「うーん、どうしようか。 飼い主が探してるかも知れないけど……児童館で待ってたほうがいいかな」




 なんだー、ここ? いい匂いについてきたら誰かの巣についた。

そこにはいい匂いと同じ仲間がたくさんいた。一人だけ大きさが違うのがいる。たぶんこの群れの親分だ。

親分といい匂いは何か話してる。さすがいい匂い。


でも、言葉はわからない。仲良くなりたいのに。




「くぅん、くぅん」

「あ、ごめん。 もうちょっとがまんしてね」


「あー! 犬だー!」

「えっ、犬? 見せてー!」

「犬どこー?」




何か集まってきた。見た目はいい匂いの仲間だ。大きさがばらばらだけど。




「はるちゃん、お外で遊んでるほうがいいんじゃない。 みんなして遊べるし」

「うん。そうする。 行こ」


「いぬー」

「かわいい」






「遊ぶから、おりてね」

「あん?」




 どしたの? 遊ぶの? 何するの! 追いかけっこ?! 行くのだー!!




「こっち、こっち」

「おいでー」

「あははは♪」




 楽しいけど疲れたのだ。もっと遊びたいのに……もう無理。眠い。




「あ、どしたの?」

「動かない」

「どしたのかな? 疲れたのかな? まだちっちゃいし」

「そうかもー」

「どうする?」

「寝させよう。あきのウインドブレーカーで包んで暖かくして」

「そうだね」

「うん」


「そろそろ、あきも来るかも」

「この子見てなんていうかな?」

「勝手にウインドブレーカー使ってるけど大丈夫でしょ」




 (私は連れてきてくれた時と同じで何かにくるまれた状態で寝むってしまった)




「寝ちゃった。 寝顔もかわいい」

「うん、かわいい」

「みんな、うるさくしないでね」




「はるちゃん、あき君来たわよ」

「はーい」




「あき、犬かわいいでしょ!」

「……んっ」

「何? 手だしても分からないよ。

もしかして、抱っこしたいの?」

「ん」

「はっきり言えばいいのに。はい、どうぞ」




(犬、いい顔。なんか、ほっとする)




「はるちゃん、あき君、お迎えが来たよ〜」

「はーい」

「んー」




「先生、この犬どうするの?」

「保健所に連れて行くわよ」

「そうなんだー。じゃあお別れだねー、バイバイ」

「ぶー」


「あきも帰るよ。先生さよなら」

「………」




「はあ、今日も無事に一日終わったわね。でもこの犬どうしようかしら? このままここに置いとく訳にもいかないし。

………。

やっぱり今から保健所に連れていかないと駄目ね」







「確かに確認致しました」

「お願いしますね」




「ワン! ワン!」「くぅ~ん、くぅ~ん」




 うるさいなあ……。あれ、ここはどこなのだ?


起きて周りを見てみたら知らない場所なのだ。それに何かに入れられていて自由に動きまわれない。


何なのだ、これは! 私をここから出すのだ!


「アン! アン! アン!」


「うるさいぞー。静かにしろ」


「アン! アン! アン! アン! アン! アン!」


「静かにしろ!」


うー、まだここから出さないのだ。早く出せ! 出すのだ!


「アン! アン! アン! アン! アン! アン! アン! アン!」


「だから、うるさいって。黙れ!」


ダン!


「キャン! くぅん」


突然何なのだ。地面を強く踏み付けて大きな音を出してびっくりしてしまったのだ。


もしかして出さないつもりなのか?


だけど私は出してもらえるまで続けるのだ。


「アン! アン! アン!」


「子犬に言っても無駄か、バカらし。それにもうそろそろ終業時間だし、ほっとくか」




「終わりだぞ、戸締まりはしっかりしろよー」


「へ~い。さ、帰ろ。じゃあな、うるさい子犬」


どこに行くのだ? それに、急に暗くなったし、何なのだ?


「お疲れ様でした」


外には誰もいなくなったのだ。これだと、出せと言っても意味が無いのだ。


あーあー、やることが無いのだ。暇なのだ。


何か無いかな~、何か、やること~……。







「くぅん?」


色々考えてたらいつの間にか寝ていたのだ。


明るいのだ。でも、誰もいないからもう少し寝るのだ。


すぅ……すぅ……すぅ……。







ところ替わって、はるちゃんは。


あきはあの犬が気にいったみたい。だって、帰ると言ったのに犬を抱っこして離そうとしなかったから。でも家で飼うのはどうなんだろうなー。


お父さんとお母さんに、犬、飼ってと言ったら飼ってくれるかな?


うーん、わかんない。聞くのも嫌だし、もう寝よ。




次の日、学校が終わった後に児童館に行った。

でも、やっぱりあの犬はいなかった。

もう先生が保健所に連れていったのかも……。

あーあ、可愛かったのに、もう会えないんだろうなー。







犬に戻って


「アン! アン! アン!」


うー、いくら言っても全然反応してくれないのだ。全部無視される。

昨日は何かやってたのに今日は何もしない。

でも私はあきらめないのだ! ここから出すまで言い続けるのだ!


「アン! アン! アン!」




「すいません、昨日、児童館から連れて来られた犬はいますか?

子犬で茶色い犬なんですけど」

「少しお待ち下さい、今、確認してきます」




「アン! アン! アン!」

「こちらの犬になりますが、飼い主ですか?」

「いや、違うんだけど、子供が児童館にいた時に気にいっちゃってさ。

飼い主が現れないんなら引き取ろうかなと」

「そうでしたか。今のところまだ連絡はきていませんが、飼い主が名乗り出てきた場合は電話がいくかもしれません。それでも引き取りますか?」

「お願いします」

「分かりました。では、ペットの届け出を書いて頂きますのでこちらへ」

「はい」

(それにしても、うるさい犬だなあ。隣の檻の犬の方が利口そうなんだけど欲しいのはこの犬だろうしな)




「はい、これで終わりです。連れて帰っても大丈夫ですよ」

「ありがとうございます」




「アン! アン! アン!」

早く出せー! ん? 出してくれるのか?


「はい、飼い主が決まって良かったねー。よいしょっと」


どこに連れて行くのだ? 出れたのはいいけど抱えられてて身動き取れないのだ。


「はい、どうぞ」

「どうも」


今度は違う奴に抱えられてまたどこかに連れて行かれる。どこに行くのだ?

抱えられたまま、何かの中に入れられ、どこかに連れていかれるみたいなのだ。

でも、そのなにかは急に動き出したから私は踏ん張るので精一杯でどこに行くのかはわかなかったのだ。

やっと動かなくなったと思ったら今度は巣の中に連れていかれたのだ。

巣の中は柔らかいものが敷かれていて気持ちよかったし、ご飯も出てきたのだ。

私はおなかが空いていたから一気に食べたのだ。

その後は、また誰もいなくなった。なぜなのだ?







今日も児童館に行った。でもやっぱりあの犬はいない。

あきはつまらなそうな顔をしながら本を読んでいる。犬がそんなに気に入ったのかな?

先生に聞いたら、もう児童館には来ないと言ってた。やっぱりもう会えないんだね。




「あき君、はるちゃん、お迎えがきたわよー」

「はーい。先生バイバイ」

「ん」

私はきちんと挨拶をするんだけど、あきは恥ずかしのか手を振るだけ。

それでも先生は笑顔で返してくれる。

「バイバイ」




家に帰ったら車庫に犬がいた。児童館にいた犬が。


お父さんが保健所から貰ってきてくれたのだ。


「くぅん? アン!」


誰か来たと思ったら、あのいい匂いの奴なのだ。私は嬉しくなってしっぽを振りまくったのだ。





嬉しいなー。あきも嬉しいみたいで笑ってる。けど、家の中に入れようとしてお母さんに怒られてる。それでも居間に入れようと言うあきにお母さんが

「分かった。新聞紙敷いてならいい」と。



その後、新聞紙の上で遊んでたんだけどまだ名前を決めていなかったなー、と思って、あきと一緒に名前を考えた。

何にしようかなと色々考えたけど、今日はクリスマスイブだったから犬の名前を“イブ”にする事にした。


「イブ」


反応しないなー。まだ自分の名前だって分からないのかな?

でも、何回も言ってたらわかるよね。


「イブ。ほら、あきも呼んで」

「うん、イブ」


イブはあきに背中を撫でられて気持ち良さそう。




イブ? 何なのだ、それは? 私を見ながら言ってくるけど何なのだ?

もしかして私の名前?

試しに返事をしてみる。


「イブ」

「アン!」

「返事した! 良かった、気に入ったんだね」

「くぅん?」


何故か嬉しそうなのだ。


「今日からお前の名前はイブだよ~。イブ」

「アン!」


なるほど、私の名前はイブに決まったみたいなのだ。


「後、家に来た日を誕生日にするからー、イブの誕生日はクリスマスイブね」

「この犬、結構大きいから産まれて一ヶ月位たってるよ?」

「いいの! ちょうどいいからクリスマスイブにするの!」

「ふーん」


あきは興味なさそう。

ま、いいけど。







以上、クリスマスイブが私達にとって大切な日になった出来事の全てでした。


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― 新着の感想 ―
[一言] タイトルが『犬』という点が気になりまして、拝読いたしました。 擬人化なし。 純粋なワンちゃんの視点によって描かれている内容が、愛らしいですね。 途中で、おっとコレはひょっとしてガス室送りのバ…
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