第94話 ヴァンの過去
ーーーーーッ!!
ゼブラ、ヴァンは中間距離から剣を振るい、火花を散らし、つばぜり合いを繰り広げる。
邪魔する者はいない、二人の頭の中は、もう戦いが始まっているだろう……。
上層階の広間には、石の土台に死に体同然に横たわるユリア。そして、死闘を展開しているゼブラ、ヴァン。
「お前は、本当にあの女を目覚めさせる方法を見つけるつもりか?」
ヴァンは尋ねる。
「ああ、本気だっ!!」
ーーーーゼブラは答えた。
それが、ゼブラがユリアに対する気持ちの答えであり、リサの使命とか、そんなの関係なく、自身に課せられた生きる意味である。
もし、故郷の村で、あの剣を買わなければ、ユリアに出会わなかっただろう。同時にあの剣を買った為、故郷の村人達が虐殺された。と言う皮肉を兼ね備える……。
ーーーー同時に二人は離れ、中間距離から間合いを作り、剣を構える……。
「その本気、どこに根拠があるっ!!」
ヴァンは剣を横に構え、剣を振るう。
「根拠はないっ!!。けど、俺は諦めない、何年になろうが、見つけてやるっ!!」
ゼブラは剣を上段に構え、剣を振るう。
ーーーー互いの剣撃が火花を散し、激しく刃をぶつけ合う。
そして、つばぜり合い、互いに中間距離まで跳び下がり、ゼブラは両手に剣を構え、ヴァンは剣を片手に構え、体勢を立て直す……。
「世迷いごとぉっ!!」
ヴァンは駆け走り、中間距離から剣突きを放つ。
「ーーーーッ!!」
ゼブラは左側に跳び、剣突きを回避。
同時に体勢を立て直し、ヴァンに狙いを定め、剣を降り下ろす……。
ーーーーッ!!
ヴァンはバックステップし、避ける。
即座に体勢を立て直し、横に構え、剣を振るう。
ーーーーッ!!
ゼブラは剣を上段に構え、ヴァンの剣撃を火花を散らし、受け止める。
ーーーーッ!!
ヴァンは中間距離まで跳び下がり、剣を構え直す……。
ーーーーッ!!
ゼブラは突っ込む。
剣を両手に構え、ヴァンに狙いを定め、刃を降り下ろす。
ーーーーッ!!
ヴァンは右側に跳び、ゼブラの剣撃を空に切らせる。
「ハァッ!!」
ゼブラは声を上げ、体勢を立て直し、ヴァンが移動した場所に狙いを定め、剣を振り上げる。
ーーーーーッ!!
ヴァンは剣を上段に構え、ゼブラの振り上げる剣撃を受け止める。
ギギギギッ……。と、小刻みな金属音を響かせ、息を詰まらせるつばぜり合いを展開。
コイツ、何て力だ……。少しでも握力を緩めたら剣が吹っ飛ばされ、斬り倒されるだろう。
ーーーーーッ!!
ゼブラは剣をグイッと押し込み、剣圧でヴァンを後退させる。
そして、上段に剣を構え、横に剣を振るう。
ーーーーーッ!!
ヴァンは跳躍。
ゼブラの頭上を跳び越え、後方の距離まで着地し、回り込む……。
「お前は何故、ディアブロスの奴に協力するんだ?。アイツのする事が世界を滅ぼすかもしれないんだぞっ!?」
ゼブラは振り向き、ヴァンに尋ねる。
「そうだな……。俺にもかつて、愛する人がいた。決して許さない愛、だ……」
ヴァンは静かに言葉を響かせる。
「何っ?……」と、剣を構えるゼブラ。
ーーーー3カ月前。
ーーーー〈テスカの町、広場〉ーーーー
ヴァンは広場のベンチに座り、溜め息を吐き、休んでいた。町の情報屋による依頼が多くある為、彼は滞在していた。
護衛、モンスターの討伐、盗賊グループの壊滅、1日に3件程、仕事をしていた。
「ヴァン……」
ベンチに近づいてくるのは女性。
栗色のロングヘアー、清楚な瞳。褐色のワンピースを着用し、上着には革のベスト。年齢は15歳。
関係は恋人、彼女は機密組織の一人娘、ヴァンは一介の傭兵、位の差は歴然だ。それでも互いに愛し合っていた。
「家は大丈夫なのか?」
ヴァンは尋ねる。
(…………)
クレアは黙り、ヴァンの隣に座る。
「どうしたんだ?」
ヴァンは心配な声を上げる。
ーーークレアが涙を流しながら響かせる声により、事態は起こった。
彼女は組織の役人との婚約が決まっていた。互いに話し合い、駆け落ちを決意した。
ーーー2日後、決行日の夜……。
二人は広場に集合していた。
「良いのか?、引き返すのは今だぞ……」
ヴァンは言う。
「いいえ、アナタとなら、どこまでも着いていくわ……」
クレアは答えた。
覚悟は出来ている。この先、どんな修羅が待ち受けようとも、乗り越えて見せる。と、彼女は決意している……。
ーーーーその時……。
「ヒヒヒヒ、探したぜ色剣士さまよ……」
町の広場に現れたのは、盗賊。
運悪く、盗賊グループの残党が待ち構えていた。 恐らく、組織を壊滅させられたことによる報復だろう……。
「クレア、下がってろ……」
ヴァンは剣を抜き、構える。
クレアは、安全な場所まで下がり、隠れる。
ーーーーそして、ヴァンは盗賊の残党達を次々と倒し伏せ、相手にならない。
地面に死体、血溜まりが染み渡り、紅く染まっている。
「相手にならないな……」
ヴァンは冷静な様子で辺りを眺める。
終わったのか、クレアは姿を現し、ヴァンに近づいてくる……。
「ぐっ……。死ねやぁああああああっ!!」
ヴァンの背後、生き残った盗賊が剣を上段に構え、突っ込んできた。
ーーーーーッ!!
ヴァンの背後だった……。
クレアはヴァンの背後に立ち、盗賊の剣がグサリと胸に突き刺さっていた。
「クレアァアアアアアッ!!」
ヴァンは盗賊を斬り伏せた後、背筋が凍った様子でクレアを抱き抱える……。
彼女の胸からは血がドクドクと流れ、両手が血で染まっていた。もう、助からない。彼女は、庇って死んだ……。
ーーーーヴァンの過去は以上だ。
「それで自棄になって奴の元に入ったのか?」
ゼブラは剣を構える。
「ディアブロスは破壊神の力を手に入れた暁にはクレアを蘇らせてやると約束をした……。新世界で彼女と生きる、俺は彼女を蘇らせる為ならどこまでも堕ちる、それがこの力だっ!!」
ーーーーヴァンは鬼神化・重力の魔王に変身。全身から重力属性の雷圧を全体に広げる……。
「グハッ……」
ーーーー雷圧にゼブラは後方に吹っ飛ばされ、壁に叩きつけられる。
「お前の気持ち、痛い程わかる……。けど、彼女が生きていたら、そんな狂った世界でお前と生きる事を望んでいるのか?……」
ーーーーゼブラは鬼神化フェニックスに変身し、炎剣を構える。全身から鳳凰属性の炎圧を広げ、魔力同士がバチバチと激突。
「黙れぇっ!!。貴様に、何が分かるッ!!」
ーーーー鬼神化・重力の魔王は黒剣を片手に構え、雷圧を広げる。
彼女の為なら、自分は悪魔になり、堕ちる……。と言う意思を表しており、鬼神化の力をアップ。
「世界は滅亡させないっ!!、そしてお前を止めるッ!!」
ーーーー鬼神化フェニックスは炎剣を両手に構え、鳳凰属性の炎圧を広げる。
世界滅亡を止め、ユリアを救う……。と言う意思を表し、鬼神化の力をアップ。
屋内はビリビリとした地鳴りが響き渡り、天井からパラパラと粉が充満し、壁にはパキッと至る所に亀裂が発生している……。




