第93話 ゼブラVSヴァン
ゴゴゴゴゴッ………。
ゼブラは巨大な扉を力強く開かせ、入る。
バクバクした緊迫感が鼓動し、武者震い……。
ーーーー〈死霊の塔大広間〉ーーーー
青銅造りの床が広がり、上層階には屋内広間が建造され、下層階の大広間を見下ろしている。
上層階の屋内広間に張り巡らす窓ガラスからは太陽の光が差し、青銅床に反射した青光が大広間を照らしている……。
「ディアブロスッ!!」
ゼブラは怒号をビリビリと、挑発的に響かせる……。
コツ……、コツ……、コツ……。
上層階の屋内広間から足音が接近。
「ーーーーッ!!」
ゼブラは凄む表情で剣を抜き、構える。
「ほう……。あの時の小僧、生きていたとはな……」
マントをバサッとなびかせ、屋内広間の上からジィーと眺めるディアブロス。
「彼女を、ユリアを取り返しに来た……」
ゼブラは睨む。
「彼女を……。ああ、返してやろう。目的を果たしたから、もう用済みだ……」
ディアブロスは冷酷な笑みを浮かべ、屋内広間に安置されている石の寝台に視線を移す。
石の寝台にはユリア、まるで死んでいるように、意識を失っている……。いや、死んでいる。と、同然かもしれない。
「なんだと?……。どういう事だっ!!」
ゼブラは尋ねる。
「こう言う事だよ……」
ディアブロスは左掌をスッと掲げる。
掌の上には、破壊属性の魔力が凝縮された白銀の魔導水晶。魔導水晶の名称は破壊核、破壊神ラモディウスの核。
ユリアに、そしてリサに封印された破壊神ラモディウスの力を魔導水晶の形に凝縮させ、引き抜いたのだ。
「まさか……」
ゼブラは嫌な予感を察し、ブルブルと身を震わせる……。
「破壊神ラモディウスの封印宝はありがたく頂いた……。肝心の彼女は残念な事になったが……」
ディアブロスは残念だよ……。と、思わせる様子を浮かばせ、首を振る……。
「テメェ……。ディアブロスッ!!」
ーーーーゼブラは鬼神化フェニックスに変身。
同時に飛脚し、炎剣を上段に構え、ディアブロスに斬りかかる……。
ーーーーディアブロスは魔力を宿らせた剣を片手に構え、鬼神化フェニックスの炎剣の一撃を受け止める。魔力と魔力がぶつかり合い、バチバチと雷流が展開。
「ユリア……」
鬼神化フェニックスの視線の先には、石の寝台に横たわるユリアの姿が映っていた。
「お前と相手しているヒマじゃない。私には行く所があるのでな……」
ディアブロスは剣をグイッと押し込み、鬼神化フェニックスを剣圧で吹っ飛ばす。
「待て、ディアブロスッ!!」
ゼブラは着地。
鬼神化を解き、声を上げる。
「ではな……。ヴァン、お前も後で来い、その小僧を片付けたらな、そう遠くないから、わかるな?」
(………)
上層階の広間の壁に背をもたれるヴァン。
ディアブロスの言葉に無口で返す……。
「まぁいい……」
ディアブロスは詠唱。
地面に詠唱陣を描き、詠唱陣から扉を出現させ、ドアノブに手を伸ばし、入る。
ディアブロスは姿を消し、アジトを後にした……。
ーーーヴァンはコツコツと足音を響かせ、上層階からジィーとゼブラを眺める。
「何故、この場所を教えてくれた?」
ゼブラは尋ねる。
「……お前、そして俺自身の選択を決める為だ」
「何を言っているんだ?」
理解不能のゼブラ。
「こう言う事だ……」
ヴァンは石の寝台に横たわるユリアに歩み寄り、剣を胸元に突き立てる……。
「何をするつもりだッ!!」
ゼブラは焦り声を上げ、尋ねる。
「この女を殺す……」
ヴァンは冷たい声を響かせ、答える。
「やめろッ!!、彼女に傷をつけてみろ、さもないと……」
ーーーーゼブラは剣を構える。
「さもないと、どうする?。この娘は死んだも同然、破壊神ラモディウスの封印宝を引き抜かれ、心が失った……。心臓は動いているものの、この娘は一生目覚める事はない、安楽死が妥当だ……」
ヴァンは冷酷な声を響かせる。
「ふざけるなっ!!。俺は諦めない、ユリアが生きているなら目を覚まさせる可能性を見つけてやるっ!!。もし、彼女を殺すと言うのなら、俺は彼女の剣となり、お前を倒すっ!!」
ゼブラは片手に剣を構える。
ーーーヴァンは上層階の広間から飛び降り、着地。
「お前は話がわかると思っていたが……」
ゼブラはカチャッと剣を両手に構える……。
「ディアブロスは破壊神ラモディウスの力を得たら全ての約束を果たしてやると公約したっ!!。ユーギガノスの末裔であるキサマ、リサ・ドラグーンの生まれ変わりの女を殺し、全ての希望を破壊した暁に、オレは新世界の民になるっ!!」
ーーーーヴァンは剣を片手に構え、取り乱れた声を響かせる……。
「ヴァンッ!!」
ーーーーゼブラは剣を上段に構え、駆け走る。
「その為にキサマをこの場所に呼んだっ!!。止めたければ、来いゼブラッ!!」
ーーーーヴァンは剣を片手に構え、斬りかかる。
あの日、大切な人が死に、そして自身はディアブロスの使命により、何人もの命を奪い、汚い血で染まった……。先に進むか、この場所が自身の死に場所になるか、この戦いで決める……。




