第92話 突入、死霊の塔
ーーーーゼブラ、ライガは塔の入口の門前に立ち、頂上をジィーっと眺める……。
塔の高さは数百メートル、頂上付近にはモンスター、人間と言った死霊体が塔の周りを警護するように、グルグルと浮遊している。
死霊は魔力が高い場所に集まる……。頂上付近に溜まっている場所にはディアブロス達がいる。
そして、ユリアが捕らえられている……。
ーーーーーッ!!
ゼブラ、ライガは門扉をドンッと、蹴りを叩き込み、ごじ開ける。
ーーーー〈死霊の塔〉ーーーー
屋内全体は広間が広がり、右端の壁には頂上に続く階段、左端の壁には地下へと続く階段が伸びている……。
広間の中央部には祭壇が設置され、壇上には無数の骸骨達がゾロゾロと女神に集まり、救いの骨手を差しのべている壁絵が飾られている。
ーーーー2人は右端の階段に向かい、走る。
ーーーーーズウッ!!
2人が広間の大床に足を踏み入れた瞬間、巨大な詠唱文字が急速に描かれ、詠唱陣が展開した……。
「コイツは探知式の魔導術ッ!!」
ライガは思わず声を上げる。
ーーーーーッ!!
詠唱陣から無数に伸びる骨手。
骨手はゼブラ、ライガの全身をガシッと掴み、身動きを捕らえる……。
骨手の握力は強く、振りほどいて離れるのは不可能に近い。探知式の罠魔導術、敵が足を踏み入れたら発動する魔導術だ。
「クソッ!!、何て力だ……」
ジタバタ暴れるゼブラ。
ーーーー骨手はゼブラ、ライガをグイグイと引きずり込む行動。二人の足元は詠唱陣に少しずつ、ズルズルと沈み込まれていく……。
ヤバイ……。このままでは、二人は引きずり込まれる。骨手の握力からは、力を吸収する能力をも備えられ、ゼブラ、ライガは力が抜ける。
(こうなったら……)
ライガはニヤリと微笑む。
碗力を振り絞り、骨手を振りほどき、ゼブラを担ぎ上げる。
「ライガ、何をするつもりだッ!!」
ゼブラは声を上げる。
「こうするんだッ!!」
ーーーーライガはゼブラを上階段に向け、放り投げる。
「ライガ、アンタはどうするんだっ!!」
ゼブラは階段前に着地。
ライガは無数の骨手に再度、掴まれ、ズルズルと沈み込まれていく……。足元から腰元まで、上がるにはヤバイ状況である。
助けなければ……。と、ゼブラは考える。
「お前が行け、お前がお嬢ちゃんを救うんだ!!。それがお前自身、いや、お前やお嬢ちゃんに与えられた責務だッ!!」
ライガはギロリと睨み、声を上げる。
「でも……」と、ゼブラは戸惑う。
「バカ野郎、お前が行かなくちゃ誰が行くんだッ!!。お前にとって、お嬢ちゃんはその程度だったのかっ!!、あの時、俺に叩き込んだ一撃の意思は嘘だったって言うのかッ!!」
と、ライガは激昂。
(すまん……)
ゼブラは階段を駆け登り、走る。
(フン……。それで、それで良いんだ……)
ライガはニヤリ……。同時にズルズルと詠唱陣の中に吸い込まれ、消えた……。
彼の表情からは、自身の行動にスッキリした様子が伺える。詠唱陣が消えた後、大広間は何事も無かったように元に戻る。
ーーーー〈通路階段〉ーーーー
ゼブラはカツカツと足音を鳴らし、階段を駆け登っていた。レンガ壁には松明が灯され、走る風圧により、火がユラユラ揺れる。
ライガ、彼は幾つもの修羅場を潜り抜けた熟練の冒険者だ。生きている事を信じるしかない。
ーーーー数分後、階段を駆け登った先には扉。
「ていっ!!」
ゼブラは扉を蹴破り、侵入。
ーーー〈通路廊下〉ーーー
廊下を伸びるレッドカーペット、壁には上品な装飾ランタンが灯され、天井にはシャンデリア。
外部の光景とは裏腹に、気品に満ちた景色が広がっている……。
ーーーー………。
レッドカーペット、天井、壁に詠唱陣が展開。
詠唱陣からズルズルと召喚されたのは骸骨騎士。
数は、1体、2体……、10体以上の骸骨騎士が出現し、ガチャと剣を構える。
主人が召喚主の為か、骸骨騎士の装備が少し華がある。
「外見とは裏腹に、随分と用心深い奴だ、感心するぜッ!!」
と、ゼブラは皮肉を吐き、剣を抜く。
同時に突っ込み、駆け走る……。
ーーーーッ!!
骸骨騎士達はカタカタと骨を鳴らし、剣を振り回す。
数体の骸骨騎士は斬りかかる。
「お前らに鬼神化は必要ねぇッ!!」
ゼブラは剣を横に振るい、1体の骸骨騎士に狙い、剣撃を叩き込む。
ーーーー数体の骸骨騎士達はゼブラの剣撃に巻き込まれ、地面に転倒。
「ーーーーーッ!!」
ゼブラは転倒した1体の骸骨騎士の頭をガシャと踏み潰し、駆け走る。
右側から斬りかかる1体目の骸骨騎士は剣を振り上げ、左側から斬りかかる2体目は剣を降り下ろし、両断。
ーーーーッ!!
1体の骸骨騎士は片手剣を振るい、正面からゼブラに斬りかかる。
ーーーーーゼブラは上半身を屈ませ、回避。
中間距離から突っ込み、骸骨騎士にタックル。
ーーーータックルがヒットし、骸骨騎士を床に転倒し、骨がバラバラに飛散。
「どけどけぇッ!!」
ゼブラは通路廊下のレッドカーペットを駆け走り、次々と骸骨騎士を斬り倒す。
レッドカーペットは、骸骨騎士達の粉砕骨が散らばっている。
ーーーーそして……。ゼブラはレッドカーペットの通路廊下を抜け、階段をさらに駆け登る……。
「ここが……」
ゼブラの正面には巨大扉。
扉は青銅に造られ、月と太陽の紋章が刻まれ、扉の奥からはドス黒い雰囲気が漂っている。
奴は、この先にいる……。と、ゼブラは剣をギュッと右の片手で握り、左の片手で巨大扉のドアノブに手を伸ばした……。




