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ユーギガノス  作者: やませさん
破壊神ラモディウス編
91/260

第90話 ユリアの選択……。

ーーーーユリア、その人は危険よ。アナタに宿る破壊神ラモディウスの封印宝を狙う者、私に任せて……。


 リサはユリアの頭中に声を送り、警告。

 そして、ユリアの瞳の色をギロリと変化させ、彼女の意識を借り、全身に詠唱文字を浮かばせ、スラスラと詠唱。

 創造そうぞう属性の魔力を宿し、全身に黄金の粒子を漂わせる……。意識を借りている状態とはいえ、リサのパワーは凄まじい。

 

「すばらしい力だ……。これが、かつて先の終末戦争を活躍した戦乙女ヴァルキリーの姿か……。しかし……」


 ディアブロスはスッと手を掲げ、詠唱。


ーーーーーーッ!!


 リサはピタリと全身を停止し、動けない。

 まるで、全身が岩のように硬く、そしてズッシリ重い感覚だ……。

 無理に動かそうとすれば、僅かにピクピク微動し、バキッと音を響かせる。

 

「フッハハハハハッ!!。いくらアナタでも、自我を一体していない状態では、この程度か……」


 ディアブロスは手を掲げ、高笑い。

 魔導の呪縛コントールロック、相手の全身の感覚を奪う魔導術である。

 威力は術者の力量により違ってくる……。ディアブロスは力量が高い術者であり、魔導の呪縛コントールロックの威力は高い。


(この……、動きなさい……)


 リサの支配下のユリアは、停止中にも関わらず、もがく……。

 リサの意識とユリアの意識が一致していなければ、完全なパワーではない。完全なるパワーなら、コイツの魔導の呪縛コントールロックなんぞ、簡単に打ち破れる……。


ーーーパリッ……。


 と、リサの支配状態が解け、ユリアの自我に戻る……。


「私は……」


 ユリアは正気に戻り、目を覚ます。

 しかし、全身はピクピク微動、動かないままである……。リサは、ディアブロスの呪縛能力により、ユリアの意識の中に閉じ込められ、。一定時間、出られない。


「目が覚めたかね、お嬢さん。君の身体には、先の終末戦争時代の元凶、破壊神ラモディウスの封印宝が宿っているのだよ。わかるかい、君がユーギガノスの剣を持つ小僧と出会い、そして私が持っている封印宝の1個が君の存在を映し出来たのだよ……。君の……、身体に、宿る……、そいつになっ!!」


ーーーーディアブロスは、ユリアの胸部にビシッと指を差す。


ーーーー………。


 ユリアは沈黙。


「選ばせてやろう。私の元に来るか、否か……。答えは自由だよ。リサのパワーは1つ間違えば核兵器だ、誰からにも日々、狙われ、大切な仲間達が見せしめに傷つけられ、そして心無い人々からバケモノと罵られ、石を投げられ、そして……、誰もいなくなる。先のリサのようにね……。さて、どうするユリア君?」


 ディアブロスは冷酷な声を上げ、尋ねる。

 脅しではない……。ディアブロス以外に、リサのパワーを兵器利用する組織は必ず現れる。

 ユリアのパワーを知った人々は、彼女をバケモノと罵られ、石を投げられ、居場所を失う。


「ゼブラさんは、見捨てませんッ!!」


 ユリアは不安な様子を浮かべ、反論。


「見捨てません……。フハハハハハッ!!、若い、若いなッ!!。人間、いざ現実を思い知らされると、すぐ変わるものだよ、少年は現実を知って大人になる。次々に現れる組織との戦い、偏見、孤立に、少年は嫌気と言う名の現実を知り、大人になり、やがては君の側から離れる……」


「嘘っ……。ゼブラさんは、そんな事を……」


 ディアブロスの現実的な発言に、ユリアはブルブルと、戸惑う。


「再度、質問する。私と来るか、来ないか、そうすれば、誰からも狙われない。君を孤独から救ってやろう……」


 ディアブロスは差し伸べのセリフ。

 高圧的、現実的な選択に、ユリアの主張を、子供の反論だと一蹴し、否定。

 まず、言葉で精神的に追い詰め、手を差し伸べる……。それが、ディアブロスの説得のヤリ方だ。


「行きます……。ついていきます……」


 ユリアの頭中、故郷の人々、ゼブラが思い浮かび、涙をポロポロと流れ落ちる……。

 全て大切な人々だからだ……。自分を狙う組織に傷つけられ、バケモノと罵られ、石を投げられる事を想像したら、耐えられなくなった。

 だから、巻き込みたくない。自分が兵器だと、知られなくない。だから、着いて行く考えになった。


ーーーー〈倉庫の外〉ーーーーー


 幻想空間の町中は、戦いにより、一帯の建物が破壊され、火柱が登る……。

 地面全体には幾つもの爆発跡が残り、悪霊ダーク・スピリットの死体が転がり、爆発跡から砂煙がモクモクと空気中に充満……。


「しつこい奴らだ……」


 リディクラは地上に立ち、ハァ……、ハァ……。と、面倒臭い声を上げ、息を切らす。

 数十メートル前方には鬼神化フェニックス、鬼神化ラクエリオン。


「お前さん、嫌な奴だが、鬼神化使いを二人を相手にするとは、中々やるな……」


 鬼神化ラクエリオンは爪拳を構える。

 久々の強敵に、ライガは何と言うか、戦いを楽しんでいる……。


「覚悟しろ、リディクラ。お前の命運はここまでだッ!!」


 鬼神化フェニックスは全身に炎圧を漂わせ、炎剣を構える。


「黙れッ!!。死に損ないがッ!!」


 リディクラは具現化させた剣を構え、怒声。

 最大に魔力を宿らせ、全身にバチバチと雷流を行き渡らせる……。

 姿は、プライドの塊。負けてなるものか……。死に損ない(ゼブラ)に、負けるのが嫌だからだ。


「奴には何を言ってもムダだな、倒すしかない」


 鬼神化ラクエリオンは戦闘態勢。しかし。


「ここは俺が……」


 鬼神化フェニックスは、鬼神化ラクエリオンの前に立ち、炎剣を構える。

 そして……、一直線に駆け走る。


「死ねッ!!、ゼブラァッ!!。死の裁撃波(ジェノサイド・ジャッジメントッ!!」


 リディクラは詠唱。

 地面に転がる無数の悪霊ダーク・スピリットの死体を分解消滅させ、黒塵を発生。

 発生させた黒塵は、巨人に具現化し、咆哮。

 地面に詠唱陣が描かれ、無数の骸骨蛇が口を開き、一斉に出現。

 無数の骸骨蛇は紫宝の牙をギラつかせ、鬼神化フェニックスにバチャバチャと波を泳ぎ、流撃。


ーーーーーーッ!!


ーーーー鬼神化フェニックスは陽炎のスピードで駆け走り、骸骨蛇の波を潜り抜け、前進。

 そしてジャンプし、炎剣を振り下ろし、リディクラの胸に狙いを定め、剣撃。


「ぐっ……。痛いじゃないか……」


 剣撃のダメージにより、リディクラは吹っ飛び、踏ん張って体勢を立て直す……。

 同時に建物の屋根上にジャンプし、跳び移る。


 胸部には炎属性の剣撃により、ジリジリした炎痛が全身に行き渡らせるが、彼は剣撃を受ける時、闇属性の防御力アップを展開しており、ダメージを軽減していた。


ーーーーもうよい、リディクラよ……。


 空中に紫の詠唱陣が描かれ、出現したのはディアブロス。ユリアの手を握り、エスコート。

 屋根上に足を着地させ、屋根瓦の上をガチャガチャと足音を踏み鳴らし、リディクラに歩み寄る。


(ごめんなさい……。ゼブラさん……)


 ユリアはうつ向く。


「ユリアッ!!」


 鬼神化フェニックスは、ユリアを眺める。

 何で、ユリアがここに、倉庫の中は、リサの領域により、誰も入れないハズだ。

 だが、今はそんな事はどうでもいい……。


「貴様が例の小僧か……。悪いが、そなたの彼女はもらっていく。諦めてくれ……」


 ディアブロスは見下ろす。

 

「ふざけるなッ!!」


 鬼神化フェニックスは飛脚。

 炎剣を横に構え、ディアブロスに狙いを定め、飛びかかる……。

 自身に最大まで魔力を宿し、闘志を最大にアップさせ、鬼神化を強化。


「説明させて欲しい……」


 ディアブロスは掌を掲げる。

 闇属性の魔力を宿した黒い衝撃波を掌から放ち、鬼神化フェニックスを吹き飛ばし、1回、回と地面に叩きつける。

 

「そんなモン、いらんッ!!」


 ディアブロスの頭上、鬼神化ラクエリオンが飛脚し、前転キックを叩き下ろす。

 

「せっかちな者達だ……。少しは落ち着きたまえ……」


 ディアブロスは、鬼神化ラクエリオンの前転キックをガシッと片手で受け止め、投げ飛ばす。


ーーーーーーッ!!


 投げ飛ばされた鬼神化ラクエリオンは、100メートル先の建物の屋根上を突き破り、地面に落下。

 まるで、ライガすら子供扱いだ……。


「彼女は、自らの意思で私に着いていくと決断したのだよ。皆に迷惑をかけない為、自身を犠牲にし、自ら修羅の道を歩む彼女に、感動したよ……」


 ディアブロスはパチパチと拍手。 

 彼の言葉は皮肉、まるで、相手に自身の無力感を教えているみたいだ……。

 属性魔力は極雷アルテマ・ボルテックス。一撃力が強力な雷属性であり、自身の属性魔力を極めに極めた属性魔力である。


「さすが、ディアブロス様。素晴らしい力でございます……ーーーーッ!!」


 リディクラは腰を低く擦り寄る……。同時に、口からボトボトと、血を吐く。

 胸部に、ディアブロスの雷属性の魔力により具現化させた剣が、グサリと刺さっていた。


「お前は、必要ない。今まで、ありがとう……」


 ディアブロスは冷酷な様子を浮かべる。


「そんな……。ディア……、ブロス様……ーーーッ!!」


 リディクラは絶叫……。

 青い炎を全身に燃え盛らせ、パキパキと消滅。ディアブロスにとっては、色々と目に余るリディクラは、使い捨てのコマだ。

 破壊神ラモディウスの力を得た時、リディクラは切り捨てるつもりだった。


「待てよ……、ユリアを……。返せ……」


 鬼神化フェニックスは炎剣を構え、屋根上のディアブロスを睨む。


「ほう、まだ戦る気か?。いいだろう、相手にしてやろう……」


 ディアブロスは屋根上から、鬼神化フェニックスに迎える様子。


ーーーーーーッ!!


 鬼神化フェニックスは飛翔。

 ディアブロスに狙いを定め、最大限の鳳凰属性の魔力を宿らせ、孔雀鳳凰剣くじゃくほうおうけんを放つ。

 

(ふん…………)


ーーーーディアブロスは鼻で笑う。

 バサッと、厚布マントをなびかせ、防御。


孔雀鳳凰剣くじゃくほうおうけんッ!!」


 鬼神化フェニックスは、ディアブロスの厚布マントに狙いを定め、炎剣を振り下ろす。


ーーーーッ!!


 ディアブロスは、孔雀鳳凰剣くじゃくほうおうけんを厚布マントで受け止め、跳ね返す。

 ディアブロスのマントは、魔力吸収能力を持ち、孔雀鳳凰剣くじゃくほうおうけんの魔力を吸収し、衝撃波に変えたのだ……。


「クソッ………」


 鬼神化フェニックスは吹っ飛ぶ。

 空中でグルグル回転するが、態勢を立て直し、炎剣を構える。

 ディアブロスの姿は、いない。どこに行った……。と、キョロキョロと眺める。


「コッチだ……」


 ディアブロスは、鬼神化フェニックスの背後に移動し、空中浮遊。

 魔力を軽く宿らせた右掌をスッと掲げ、極雷アルテマ・ボルテックス属性の衝撃波を放つ。

 極雷アルテマ・ボルテックス属性の衝撃波の威力は、1体の大型モンスターを倒せる程、高い。


ーーーーーッ!!


 鬼神化フェニックスは、極雷アルテマ・ボルテックスの衝撃波に吹き飛ばされ、建物の壁を突き破り、叩きつけられる。

 屋内の壁にもたれ、叩きつけられたショックで鬼神化が解ける……。空気中、チリチリした塵が充満し、視界が不良。


「まだ、生きているかもしれん……」


 ディアブロスは地上に降り立ち、ゼブラの着地した建物をジィーと、眺める。


ーーーーすると、ディアブロスの背後に歩み寄る1人の青年。


「ヴァンか、丁度よかった。この先にいる小僧にトドメを刺してこい。奴は生かしておけば、厄介になる……」


 ディアブロスは高圧に命を与える。


(…………)


 ヴァンは、コクリと頷く。

 そしてスラリと剣を抜き、スタスタと足音を響かせ、ゼブラが倒れている屋内に歩み進む。

 ゼブラは、壁に背中をもたれかけ、頭を下げている。今なら、楽にトドメを刺せる。

 ヴァンの決断は……。短い間だが、互いに共闘した仲だ。どうする……。


(ヴァン…………)


 ゼブラはモヤモヤした薄い意識の中、顔を上げる。絶体絶命、今の体力では、どうしようもない。


「この先の墓場樹海にそびえる塔、そこが俺達のアジトだ。これ、塔を出現させる為のブレスレット、これを掲げろ……」


 ヴァンは、ボソッと伝える。

 ポケットから予備のブレスレットを取り出し、地面にポトリと落とした……。

 ディアブロスのアジトの塔は、普段は幻想魔導術により、姿ゆ隠している。認めた部下達には、塔を出現させる専用のブレスレットを渡している。


(……ヴァン………)


 ゼブラは薄い意識の中、ブレスレットを眺める。


「じゃあな……」


 ヴァンは背を向け、立ち去り、ディアブロスの所に歩み戻る。

 何で、コイツ(ゼブラ)を助けたのだろう……。 言葉にはできない、何かこう……、殺したくない気持ち、何かを変えてくれそうな本能的な期待が、僅に自身を熱くさせたからだ。


「早かったな……」


 ディアブロスは尋ねる。


「死んでいたからな……。頭を強く打っていた。わざわざ、トドメを刺す必要なかった……」


 と、ヴァンは何食わぬ様子を浮かべ、剣を鞘に納める……。


「では、行くとしよう……」


 ディアブロスは手を掲げ、全体に展開する幻想魔導術を霧のように、過ぎ去り、解徐。

 幻想魔導術を解き、元の領域の正体はボロボロの廃墟町。ここの町は昔、原因不明の伝染病により、多くの人々が死に、滅亡した。

 呪い殺されるように、干からびて死に逝く人々の姿に、死霊の呪いとして語り継がれる……。


(ごめんなさい、ゼブラさん……)


 ユリアは前髪で表情を隠し、ガシッと拳を握る。

 隠した表情から、ポタポタと涙が零れ、約束を裏切ってしまったゼブラに悔しい気持ちが憤る。


空間門ゲートよ。開け……」


 ディアブロスは、紫宝の魔導球を地面にポトッと落とし、空間転移の詠唱陣を展開させる。


ーーーーそして、ディアブロス、ユリアは空間転移の詠唱陣に入り、アジトに空間転移。


(待っているぜ、死に損ない……)


 ヴァンは、ゼブラが倒れている屋内を睨み、来るか来ないかを期待する……。その後、空間転移の詠唱陣に入り、空間転移。

 皆が空間転移した同時に、詠唱陣は消滅した。


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