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ユーギガノス  作者: やませさん
破壊神ラモディウス編
88/262

第87話 共闘、幻想空間脱出作戦

ーーーそして、砂煙は晴れる……。


「ハハハハ……」


 鬼神化ラクエリオンは両手を広げ、不敵に睨む。


「お前にユリアは渡さない、絶対にだ……」


 鬼神化フェニックスは、鬼神化ラクエリオンの胸部に炎剣の一撃を叩き込み、グイグイと押し当てる……。

 鬼神化ラクエリオンの胸部に、ザックリした炎の剣傷が残り、剣傷から炎を燃え盛らせる。

 しかし、手応えが無いのは気のせいだろうか……。剣撃を与えたが、鬼神化ラクエリオンの身体はピタリとも動かない。


「そのセリフ、嘘では無いんだな?……」


 鬼神化ラクエリオンは睨む。


「ああ」と、鬼神化フェニックスは自身の意思を刃に宿し、グイグイと押し立て、頷く。

 ゼブラの意思は……本当である。約束、したからな……。ユリアとリサ、そして皆と……。


「そうか……」


 ライガは満足な様子で鬼神化を解除。


「えっ?……」


 鬼神化フェニックスは、驚いた様子でバックステップ。そして距離を伸ばし、不穏に伺う。

 

「痛たたた……。お前の意思、確かに響いたぞ……。この俺に一撃を与えるとは、大した者だ」


 ライガは剣撃ダメージを与えられた胸を押さえ、不屈な笑みを浮かべている。

 ダメージを与えられた胸は、紅の火傷跡。全身にズキッとした痛撃が行き渡り、額から冷汗がポタポタと滴る……。

 並みの人間なら、苦痛で起き上がれないだろう。


「何だよ?」


ーーーーゼブラは、鬼神化を解除。


「試していたんだ。お前が、ガールフレンドを大切に思う気持ちをな……。お前が、こんな危険な所にガールフレンドを放っておいて、生半可な気持ちで旅をしているんだと思ったからだ。旅人の中には、仲間や恋人を自身の命の為なら簡単に見捨てる奴もいる。そんな半端な奴が、俺は大嫌いだからだ。けど、お前は違うようだ、安心した。悪かったな……」


 ライガは気さくな笑みを浮かべ、握手を求める。


「そうだったのか……」


 ゼブラはライガに近づき、ガシッと握手。

 しかし、鬼神化の攻撃により、凄まじい一撃を与えられた為、ライガの胸にのこっている火傷を眺め、心配の様子。

 全てはゼブラを試す為の演技、ユリアに変な事をするつもりは無かった。


「ああ、傷の事か……。こんなモン、俺は毎回、遺跡から財宝、モンスターから特選素材を採掘し、生業とする冒険者にとっては、日常茶飯事だ。今、ズキズキ痛むが、慣れている。そんな日常を送っていたら、ホラこの通りだ……」


 ライガは上半身裸になり、鍛え抜かれた肉体を見せる。太い腕、厚い胸筋、全身には古傷が至る場所に刻まれ、ライガの経験を物語る。

 噛み傷、矢の跡、剣傷が痛々しく残り、知ったら後悔するだろう……。

 そして再び、上着をバサッと着用……。 


「そう言えば、名前は?」と、ゼブラは尋ねる。


「ライガ・アルセだ」と、ライガは返す。


ーーーーそして……。


ーーー建物に身を潜めているユリアに2人のバトルの理由を説明し、和解。その後、ゼブラ、ライガ、ユリアの3人は地上に集合。

 幻想空間から脱出するには、幻想空間を展開している魔導師の討伐、又は装置を破壊するしかない。 が、鬼神化使いにとっては、それ程、難しくはない。何故なら鬼神化状態なら魔力を察知し、幻想空間を展開しているポイントを発見する事が出来る。


ーーー3人は町中をブラブラと歩いていた。


「ユーギガノス?……」


 ライガは声を上げる。

 ゼブラ、ユリアの旅の目的を話していた所だ。


「俺達は、過去の終末戦争で封印された破壊神ラモディウスの封印宝を破壊する為、旅をしている」


 ゼブラは言った。


「それで、お嬢ちゃんはリサ・ドラグーンの生まれ変わりで、自身の身体に封印したソノ、破壊神ラモなんとかの封印宝の1つがお嬢ちゃんに宿っている。何か、信じられないな……」


 ライガは不信な様子で首を横に軽く振る。


「後で見せるよ。まずは静かに落ち着ける場所を探そう……」


 ゼブラは言う。


ーーーズズゥッ……。


 すると、地面一帯、建物の屋上、物陰から悪霊(ダーク・スピリット)が1体、2体、3体、次々と増殖し、出現。

 数が多い……。ユリアを庇いながら戦うのは厳しい。かと言って、ユリアがリサの力を発動するのを期待しても、保証はできない。


「とりあえず、逃げるぞッ!!。お前はお嬢ちゃんを背負って行けッ!!」


 ライガは右側に曲がり、通り道を走る。

 

「待ってくれッ!!」


 ゼブラは、ちょっとゴメン……。と、ユリアを反射的に抱き抱え、ライガの後を追走。

 ユリアは、ちょっと……。と、声を上げるが、直ぐにゼブラの首に手を回し、捕まる。


ーーーーライガ、ゼブラ、ユリアは走る。

 後方数十メートルからは悪霊(ダーク・スピリット)達が不規則な動きを披露し、追いかけてくる。

 足を止めれば、想像したくない事になる結末を迎えてしまう。


「クソッ、しつこいッ!!」


 後方から飛んでくる鎌、大ハサミ、クワ、シャベル。ユリアを抱き抱えるゼブラは、ジグザグに移動し、回避。


「こっちだッ!!」


 ライガは左側の細道に方向を変え、走る。

 ユリア、ゼブラはライガの後を追い、細道を駆け抜ける。一方、追手の悪霊(ダーク・スピリット)達は細道の入り口前でギュウギュウに行き詰まり、入れずにいる。

 これは、チャンス……。


ーーー細道を抜け、着いた所はボロボロの廃倉庫。

 引き扉の構造、倉庫全体はガサガサに錆び付いており、今でも崩れそうだ。

 地面一帯には草がボサボサに茂り、木箱が散らばっている。

 

「その場しのぎだか、ここに隠れよう……。静かにしていれば、奴らの目を背けられるだろう」


 ライガは倉庫の扉を開き、入る。

 ユリアを抱き抱えるゼブラも、ライガの後に追い、静かに倉庫の中に入り、扉を閉める。


ーーー倉庫の中は薄暗、空気中はチリが充満し、壁の至るスキマから微かな光が差し、小さく照らす。

 室内は広く、何が入っているか分からない布袋、木箱が何段にも積まれ、かつて倉庫として活用された跡がわかる。


「走った事だ、少し休憩としよう……」


 と、ライガは布袋の上に座る。


「いつまで抱き抱えているのですか?」


 ユリアは恥らいの声を上げ、文句。


「あっ……。そうだった、そうだった……」


 ゼブラはユリアを降ろす。

 逃走していたから、いつになったら降ろそうかタイミングを忘れていた……。

 

「ゼブラさん、何で逃げる時は私を抱き抱えるのですか?……」


 ユリアはムスッと尋ねる。


「それは、本能的に、ね……」と、ゼブラは頭をポリポリとかき、ユリアから表情を反らす。

 自分でも何故か分からない。ただ、文字通り本能的に行動してしまう。


「理由になってませんッ!!」


 ユリアは顔を赤らめ、ムスッと声を上げる。

 

「おい、静かにしろ、奴らに見つかるぞ……。それと、教えてもらおうか?。お嬢ちゃんの秘密……」


 ライガは渋い声で尋ねる。

 気になっていた……。ユリアが、ユーギガノスの伝説の戦乙女リサ・ドラグーンの生まれ変わりと言う真相を……。考古学に詳しい冒険者のライガにとって、興味深い。

 

「わかった。ユリア……」と、ゼブラはユリアに目を向け、促す。


「はい……」


 ユリアは両手を合わせ、詠唱。

 彼女の心に宿るリサに、自分の声をライガに送ってくれ。と、依頼する。

 ライガは敵ではない為、お安いご用意……。リサは声の送信を実行。


ーーーーはじめまして、私はリサ・ドラグーン。こちらの声が聞こえますか?


 リサは声を送信。


「聞こえたっ!!、本当だったんだな……」


 ライガの心の中、リサの声が響き渡る。


ーーーーこれで、信じてもらえるか?


 ライガの心の中に声を送信し、リサは尋ねる。

 

「ああ、わかった……」


 ライガは頷く。

 ユリアに宿っているリサの声を聞けただけで、充分だ……。他にも聞きたい事はあるが、それはまた、別の機会にしよう……。


「それより、どうする?。地上には奴らがいる、ここに隠れていても、いずれ見つかるぞ……」


 ゼブラは言う。


「地上にいる術者を倒す事は可能だ。しかし、その間に、お嬢ちゃんが危険だ……」


 ライガはユリアに視線を向ける。

 ライガ、ゼブラが倉庫から抜けると、誰も守ってはくれない。

 悪霊(ダーク・スピリット)が達が侵入して来たら、ユリアは……。しかし。


「大丈夫です。私、モンスターが嫌がる魔力結界を展開出来ます。リサ様に少し教えてもらいました……」


 ユリアは言った。

 リサは、ユリアの心の中にカンタンな魔導術を指導している。まだ、リサとユリアの心が結託していない為、取得出来る技は限られている。

 そして両手を握り、瞳を閉じて詠唱。


ーーー………。


 その時、倉庫全体にキラッと音を響かせ、聖なる魔力結界を展開させる。

 人間には感じないが、全てのモンスターにとって畏怖な感覚であり、近づけない。


「何も変わらないけど……」


 何も感じない為、ゼブラは辺りを眺める。


ーーー人間には感じない。ただ、モンスターにはこのオーラは畏怖の雰囲気、近づけないわ……


 リサはゼブラ、ライガの心の中に声を送信し、伝える。


「心配ないな……、じゃ行くか」


 ライガは腕をグルグルと回し、準備万端。

 手加減無しの戦いに、ライガの闘争本能が燃え上がり、最高な気分だ。

 こう言った幻想空間を展開しているモンスターは、結構な素材が期待出来るのだ……。

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