第85話 守れ……。
ーーーカタカタと揺れる建物の看板はピタリと止み、ライガの全身の光りは消え、姿は一変した。
「嬢ちゃん、下がってな……。まとめて片づけてやるからよ……」
金色のタテガミ、ギラギラした獣眼を光らせ、好戦的な牙を生え並ばせている。
身長は230センチ、広背は獣の体毛をビッシリと身を生やし、赤色の肌の筋肉が盛り上がらせ、湯気を放っている。
太い両腕には獣の体毛、キラキラと反射する鋭い獣爪、硬質な掌は刃すら受ける。
着用している黒青い長ズボンは脚の筋肉によりピチピチ、足は鋭い爪の獣足、尻には1メートルの尻尾が生えている。
ーーーライガ・アルセは鬼神化使い。鬼神化の名前はラクエリオン。全身から金色の熱圧がジリジリと漂わせ、獣人タイプの鬼神化である。
ーーーーーーッ!!
悪霊達は飢えた叫びを上げ、襲いかかる。
ーーーーーッ!!
すると、鬼神化ラクエリオンは一瞬の早さでユリアを抱き抱え、飛脚し、悪霊達の一斉攻撃を回避。
悪霊達の群同士は衝突、そしてゴチャゴチャに入り交じる。
着地場所は一件の建物の屋上。
鬼神化ラクエリオンの機動力、飛脚力は並みの人間とは次元違いであり、非常に高い。
地上には悪霊の群れが武器をカチャカチャと掲げ、奇声を響かせ、睨みつけている。
「少しの間、屋上で待っててくれ。地上で一緒にいると、アンタを巻き込みそうだからな……」
鬼神化ラクエリオンは地上に向かい、飛脚。
ーーーーーッ!!
悪霊達は奇声を響かせ、ガチャと武器を突き掲げ、応戦体勢。
地上一帯を埋め尽くす悪霊達の光景は、まるで無数の火の玉。並みの人間が飛び降りるのは自殺行為、一瞬にして滅多刺しにされ、血がポタポタ滴るオブジェの出来上がりだ。
ーーーーーッ!!
鬼神化ラクエリオンは右の爪拳を1体の悪霊に叩き込み、爪拳の衝撃圧を地面に展開し、一辺の悪霊の群れを衝撃波により払い飛ばし、体勢を狂わせる。
鬼神化ラクエリオンの爪拳の衝撃は凄まじく、地面に叩き込めば亀裂が残る。
グルルルルルル………。
ヨタヨタと立ち上がる悪霊の群れ、すると……。
ーーーーーッ!!
鬼神化ラクエリオンはダッシュ。
右側の悪霊の群れにドロップキックを叩き飛ばす。
ドロップキックを叩き込まれた1体の悪霊の蹴撃に巻き込まれ、他の悪霊達は吹き飛び、建物の壁、地面に叩きつけられ、宙を舞う。
ーーーーーッ!!
鬼神化ラクエリオンの後方、悪霊の群れが口を開かせ、一斉に飛び掛かる。
「獅子の突進撃ッ!!」
鬼神化ラクエリオンは好戦的な様子を浮かべ、体勢を低く構え、一直線に突っ込む。
全身の体毛はバチバチと黄雷を展開し、凄まじい魔力を宿らせている。鬼神化ラクエリオンの属性魔力は黄雷、格闘によく付与される魔力である。
ーーーーーーッ!!
悪霊達は鬼神化ラクエリオンの獅子の突進撃に弾き飛ばされ、空中を舞い、地面に叩きつけられる。
地面に転がっている悪霊達は、全身から黄雷をバチバチと展開し、苦しんでいる……。
ライガはあえてトドメを刺さない。何故なら幻想空間を活動する悪霊を倒しても、術者に生命を支配されている為、死ぬ事は出来ず、何度も復活する。だから、苦しませておく事の方が良い。
「お嬢さん、降りれるか?」
鬼神化ラクエリオンは両腕を広げ、受け止めてやるから来い。と、構える。
「はい」と、ユリアは屋上から飛び降り、鬼神化ラクエリオンは両腕を広げ、ドシッと受け止める。
「ありがとうございます」と、ユリアは鬼神化ラクエリオンの両腕から離れ、感謝の頭を下げる。
………ーーーーッ!!
地面を転がっている悪霊達はブクブクと全身を沸騰させ、一斉に空中を舞い、10メートルの体長を誇る集合体に変異した。
集合体の表面には魔力を宿らせ、白濁色の球体結界を展開し、バチバチと雷流を広げる。
ーーーーーッ!!
集合体から無差別に広がる雷流により、十数メートル範囲の建物が破壊され、ガレキが空中を舞い、地面に散乱。
バキバキ……、ゴキュ……。
集合体は肉質な音を響かせ、形成。
集合体は10メートルの体長の巨人に変異し、不気味な大口を開き、笑みを浮かべる。全身の表面には無数の目玉がギョロギョロと覗き、グロテスク。
ーーーー面倒くさい奴だ……。と、鬼神化ラクエリオンは体勢を低く構え、鋭い獣眼で睨む。




