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ユーギガノス  作者: やませさん
破壊神ラモディウス編
84/262

第83話 巨大ムカデ

ーーー後日。


 未明。巨大ムカデ討伐の為、皆はアクビを吐き、町の広地に集合していた。

 外灯がポツポツと道際に建ち並び、辺りの夜景を薄暗く照らしている……。

 外灯にはチラホラと、酔っぱらいが鼻チョウチンを膨らませ、酒瓶を抱え、寝ている。


 気楽なモノだ、これから自分達は戦いに行くのに、酒に酔って寝てやがる……。


「さてと、行くとするか……。ていうか、起きろよお前ら……」


 ゼブラは仲良し3人組に向き、呆れた様子で告げる。


「グガァーー、グガァーー……」


 仲良し3人組は背中を合わせて足をピンッと伸ばし、イビキをかき、寝ている。

 全く、コイツらには緊張感というのは無いのか……。心強いのか、心細いというか……。どちらかと言えば、面倒くさい。


「おい、今からユリアが脱ぐぞ……」


 と、ボソッとゼブラはビーンの耳元に声をあげる。


「何ッ!!」


 次の瞬間、仲良し3人組のスケベ心が反応し、パチッと目を覚まし、飛び起きる。

 そして一斉に服を脱ぎ、キョロキョロとヤバイ目を輝かせ、ドコだ、ドコだ……と、眺める。

 服を脱いだという事は、ロクでもない事をするつもりだったらしい。


(…………)


 ゼブラは仲良し3人組のヤバイさに、何も言えない。


ーーー〈北の街道〉ーーー


 北側の出入り口から宿場町を抜け、ゼブラ達は街道を歩いていた。道際には草原が広がり、山から日の出の光が登っている。

 草原から覗かせる日の出の光は、幻想的で心が洗われる気持ちになる。


「実に美しい日の出だ。英雄の門出にもってこいの景色だ。来るなら来い、巨大ムカデよ。この私の剣で、成敗してくれようぞ……。そして、成敗した暁には、キャー、町を救ってくれた英雄、ステキィーー、どうか私を許嫁に……。と、町娘達が、ムフフフフ。町の娘達よ、待ってろよぉーーーッ!!」


 と、日の出に向かい、パンツ一丁で叫ぶビーン。

 依頼をこなすより、依頼を達成した後の見返りを楽しみにするのであり、美女に囲まれている事を妄想している。

 依頼達成、英雄、美女、しか頭にない……。


「一人で何やってるんだ?……」


 ゼブラは不思議な様子で睨む。


「いつもの事です……」


 マルコは慣れた口振りで告げる。


ーーー………。


 その時、一帯から白い霧がジワジワと発生し、充満。霧はジワりとした重さが漂う暑さ、嫌な予感が、ゼブラの額から流れ落ちる汗となり、表れる。

 ケビン、マルコ、ビーンらは、気配すら感じず、呑気に手をパタパタと扇いでる。

 ゼブラは鬼神化使い、察視力は高い……。


ーーーーッ!!


 来る……。地鳴りを響かせ、ガタガタと地面を揺れ始める。地面はピキピキと一直線に裂け、血の色の光が不気味に輝き、地面の裂け口から登る。

 

「早速お出ましか」


 ゼブラは剣を抜き、辺りを眺める。


ーーーーッ!!


 地面の裂け口から、巨大ムカデがパキュパキュと身体をくねらせ、出現。

 艶々しい黒の甲殻、気色の悪い無数の足。麻痺毒性の鋭い牙、ウネウネした触覚。全長は数百メートル、腰を抜かしてしまう程のデカさてある。

 獲物を麻痺させ、身動きが取れない状態で補食するを本能性の恐ろしいモンスターである。


「フフフフ……。よく、この我々の前に怖れなく現れたモノだ、その心意気に感謝する……」


 と、ビーンは指で顎を撫で、巨大ムカデを不敵な様子で眺める。


「言ってる割には後ろに下がってるじゃねぇかっ!!。前に出て戦えッ!!」


 ゼブラは後ろに下がってるビーン、マルコ、ケビンに向かい、文句の声を上げる。

 ビーン、マルコ、ケビンの3人はゼブラの後ろに、静かに下がっていた。

 何故なら、巨大ムカデの威圧に、本能的にビビってしまったのだ。


「ふん、主役は後で活躍するものだ。決して、ビビっているわけではない……」


 格好をつけ、髪をかき揚げるビーン。

 しかし、足元はガタガタと震わせ、やっぱり本能的にビビっている……。


「もういいッ!!」


 ゼブラは巨大ムカデに向かい、剣を構える。


ーーーー………。


 ゼブラが視線を戻した……。しかし、巨大ムカデの姿は消え、地面には大穴が開いていた。

 大穴からはキィーンと、風切り音が響き渡り、恐らく大穴に潜ったのだろう。


「フフ、この我々に恐れをなして逃げたのか……」


 巨大ムカデが去った後、ビーンはナルシスト気に腕を組む。


ーーーーッ!!


 次の瞬間、巨大ムカデは牙を晒し、マルコの足元の地面から飛び出した。


「グアッ!!」


 巨大ムカデの下段牙撃により、マルコは空中を舞い、地面に叩きつけられる。


ーーーそして巨大ムカデは地面に潜り込む。


 マルコは衣類をビリビリに破られ、巨大ムカデの牙による咬傷が晒され、麻痺毒により、全身はビリビリに麻痺、高熱が行き渡る。


「マルコーーーーーーッ!!」


 ビーンは駆け寄り、マルコを抱き抱える。


「すいません……、アニキ……」


 マルコは震える声を上げる。


「よし、待ってろよ……」


 ビーンはマルコを置き、行動。

 ガサガサと何かを取り出す音が響き、何をするのだろうか……。


(アニキ、この僕を助けようと……)


 マルコは涙をポロリと流し、今までの経験の思い出を浮かべる。

 色々あった……。勢いで故郷を飛び出し、3人でバカやって、失敗して、下らない痴話でモメた事もあり、変な事にも巻き込まれた。

 辛くもあり、楽しかった……。


 パキパキパキ……。


 何だ、熱い……。燃えるような感覚に、マルコは瞳を開いた……。


「待ってろよ、今すぐ香ばしいエサにしてやるからな……」


 ビーンは焚き火を起こしていた。

 瀕死のマルコを香ばしく燃やし、エサにする……。人間性を疑う行動である……。

 彼 (ビーン)曰く、ほんのギャグ。


「アニキーーーーッ!!」


 マルコは思わず飛び起き、声を上げる。


ーーーーッ!!


 その時、麻痺牙を禍々しく晒した巨大ムカデが地面から飛び出し、ビーンに食らいかかり、空中に高く伸び、全身をウネウネさせる。

 ビーンは自業自得のように断末魔の叫びを上げ、連れていかれる……。


「アニキーーッ!!」


 マルコは再び声を上げる。


「あ……、ほ……」


 ケビンは小さく呟く。


(言わんこっちゃない……)と、ゼブラは剣を構え、巨大ムカデの状況を伺う。

 下手に鬼神化に変身し、巨大ムカデを両断は出来ない。何故ならビーンは喰われておらず、巨大ムカデの上の牙、下の牙部分に掴まり、助かっている事を確認した。彼(ビーン)の事はそんなに好きでは無いが、巻き添えはいい気分ではない。それに、鬼神化で人を殺せば、快楽殺人性に目覚める恐れがあるからだ。


「ハハハハッ、そう簡単に喰われてたまるかッ!!。このビーン、悪運だけは強いぜッ!!」


 巨大ムカデの牙に捕まり、ビーンは自慢気に笑い上げる。唾液で滴らせた上牙を両手で掴み、下牙は足元をフラつかつかせながら体勢を保つ。

 口奥から吹き付ける言葉では表現出来ない悪臭が鼻を突き、吐きそうだ。

 しかし、牙に捕まる事すら困難であり、彼(ビーン)はそこそこ実力はあるらしい。


「おおぉーーーーッ!!。さすがアニキッ!!」


 パチパチと拍手するマルコ。


「悪運だけは強いな……」


 残念な様子で関心するケビン。すると……。


「ガハハハハッ……。あっ……ーーーーッ!!」


 ビーンは足を滑らせ、巨大ムカデの喉奥に吸い込まれるように、落ちていく……。

 長い、長い食道器官を断末魔の叫びを上げながら落下し、悪運は虚しく外れた。巨大ムカデの消化液は強酸性、胃袋にたどり着けば、瞬時に溶解してしまうだろう。

 

ーーー………。


 静寂に沈黙し、皆は言葉にならない。ケビン、マルコは掌をパンッと合わせ、拝む。


「今ならまだ……」


 ゼブラは鬼神化フェニックスに変身。

 

ーーーーーッ!!


 巨大ムカデはグラグラと体躯を震わせ、ジタバタと苦しく暴れ始める。

 一体、何が起こっているんだ……。巨大ムカデは空気を切るような高い咆哮を響かせ、キーンとした耳鳴りが広がる。誰も攻撃は与えてはいない、どういう事だ……。


「あわわわわわ……」


 マルコ、ケビンは振り回る巨大ムカデを避け、逃げ惑う。


ーーーーーッ!!


 巨大ムカデは口から緑血を吐き、ドスッと地面に叩きつけられ、絶命……。

 叩きつけられた衝撃により、地面から砂塵が舞い上がり、空気に漂わせ、静寂。巨大ムカデの口からゲボゲボと緑血が流れ、油臭い匂いが広がる。


ーーー……ザクザクッ!!


 巨大ムカデの腹部からパックリ斬口が広がり、油臭い血がドクドクと流れる……。

 

「ふぅ……、死ぬかと思ったぜ……」


 パックリ斬口からムクッと姿を現したのは、血まみれのビーン。

 巨大ムカデの食道器官に剣を刺し、剣突きを何度も繰り返し、攻撃したのだ。巨大ムカデの体内は柔らかく、少し力を加えて剣を刺せば、簡単にダメージを与えられるのだ。


「やれやれ……」


 ゼブラは鬼神化を解き、安心。すると……。


 ゼブラ、今すぐ町に戻ってッ!!。奴らが姿を現しましたッ!!。


 ゼブラの頭の中、リサの声が響き、警告。


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