第78話 最終決戦、VS龍老樹(ドラグーン)アンドラス
ーーー〈龍老樹の塔内部〉ーーーー
塔の内部は、アンドラスの侵食により、暗闇の空間が全体に広がり、奥まで続いていた。
壁、地面はビクビクと脈を打ち、紫の肉肌の構造となり、至る所に、気持ち悪い無数の穴がブツブツと開いている。
塔の内部は、魔力が充満しており、地面、壁には魔力により、異常成長したワケの分からない植物が無数に伸び、無数の穴から胞子が噴出している。
「これが、あの塔の中か?……」
空中飛行し、辺りを眺める鬼神化・重力の魔王。
塔の造りの変化に、驚きを隠せない。さすが、高等魔族といった所か……。アンドラスが龍老樹の魔力を支配した事により、空間がグニャグニャに変貌したのだ。
「塔の中が変貌しようが、関係ない。奴は、この先にいる。奴を倒して、ユリアを助ける……」
鬼神化フェニックスは、奥まで伸びる先を睨み、空中を飛行。
両親の使命を果す為、地下世界アストラルの未来を切り開く為、大切な人を救う為……。それが、今、戦う理由である。
(コイツは……)
鬼神化・重力の魔王は、隣の鬼神化フェニックスを眺める。
「お前の目的は何だ?」
鬼神化フェニックスは、隣の鬼神化・重力の魔王を睨む。
一緒に戦っていた為、忘れていたが……、奴の目的は、ゼブラの命。
「何故、そんな事を聞く?」
鬼神化・重力の魔王は、鬼神化フェニックスの視先を合わせる。
こんな時に、奴は何を言っているのだろうか……。と、変な疑問を覚える。
「お前は、俺の命が目的なんだろ?。何故、戦いに関係ないお前が協力する?」
「……本当の事を話そう。俺の目的は、あの女だ」
鬼神化・重力の魔王は空中停止し、鬼神化フェニックスを睨む。
「リサの力か?……」
ーーー鬼神化フェニックスは空中停止し、後列の鬼神化・重力の魔王を視線を向ける。
タダの協力関係にはウラがあり、奴の目的は、ユリアであり、リサの力だ……。
「本来は、貴様の剣が目的だった……。しかし、上の奴は、リサの生まれ変わりである、あの女を連れてこい。と、命令を受け、ここに来た」
「最初から知っていたのか?。ユリアが、リサ・ドラグーンの生まれ変わりだって事を?」
鬼神化フェニックスは、炎剣を構える。
リサが言っていた、彼女を狙い、近づいてくる奴とは、ヴァンの事だったのか……。
「知っていたさ……。何せ、破壊神ラモディウスの封印宝の1個を持っているのだからな……。封印宝を手に取ったら、意識の中に彼女の姿が浮かび上がり、それで特定した。あの女の中に、封印宝が宿っている……」
ーーー鬼神化・重力の魔王は、黒剣を突きつける。
「お前は、破壊神ラモディウスがどんな奴か、分かっているのか?。大昔、終末戦争を引き起こしたモンスターなんだぞっ!!。復活すれば、お前だってタダではスマないぞっ!!」
ーーー鬼神化フェニックスは、全身に炎をズウッと燃え盛らせ、激昂。
「どうでもいい……。復活して世界が滅ぼうが、関係ない。ただ、無、だ……」
鬼神化・重力の魔王は絶望的な様子で重力属性の熱圧を漂わせる……。
彼女が死んだ日、俺は、活きる事を、捨てた……。
「お前にユリアを渡さない……。それに、どんな身分でも、人は行動によっては答えを変えられる。と、思っている……。お前も、少し考えれば今の行動が間違いと分かるハズだ……」
鬼神化フェニックスは炎剣を構える。
しかし、偶然だろうか、彼の言葉から、地下世界アストラルの祖先ステファーム・アストラルの言葉をそのまま言っている。
「渡さないか……。なら俺なりの、答え、を探してみる……。この戦いでな……」
鬼神化・重力の魔王は、鬼神化フェニックスの前例に回り、空中飛行。
彼の答えは……。どのような形で導かれるのだろうか……。人は、どんな身分でも、行動によっては答えを変えられる……。
不思議と彼は、ゼブラの言葉に気持ちが揺らいだ……。
ーーーーーッ!!
ーーーその時、2人の鬼神化使いは白銀の光球に吸い込まれ、空間転移……。
ーーーー〈龍老樹の塔大広間〉ーーーー
大広間の中は、異形の空間に変化していた。
景色全体は、粒子がキラキラと輝かせる暗闇の空間、一面に広がる硬質な地面、この世とは思えない世界である。
広がる空間は、アンドラスの魔力により、作られた世界であり、闇の海。
大広間の中央には祭壇。
巨大魔力水晶が安置され、肉の繊維脈が台座の元からパキパキと絡みついている。
恐らく、巨大魔力水晶の中に、ユリアが幽閉されている。
「やはり来たみたいね、ゼブラ……」
アンドラスは、不敵に眺める。
空間の魔力を通じて感じたのか、ゼブラとヴァンが来るのを察したらしい。正確には、連れてきた。
ーーーーーッ!!
ーーー白銀の球体が現出し、同時に消滅。
鬼神化フェニックス、鬼神化・重力の魔王が空間転移され、現れる。
「せっかく、戦争を終わらせるチャンスをあげたのに……。しつこいね……」
アンドラスは振り向く。
「返して貰うぞ、ユリアを……」
と、鬼神化・重力の魔王は黒剣を突きつける。
「それ、俺のセリフッ!!」
ーーー鬼神化フェニックスは思わず、鬼神化・重力の魔王に向き、ツッコむ。
「ふっ……」
鬼神化・重力の魔王は、不敵に鬼神か化フェニックスを睨む。
(まさか……。コイツ……)
嫌な予感をプルプルと、震わせる鬼神化フェニックス。ユリアを、連れていく……。のではなく、彼女の気持ちを、ヴァンに振り向かせる。のが、作戦であろう。
奴は、そこそこ顔立ちの良い人だ。万が一、ヴァンに振り向かせられたらヤバイ。
「ようこそ、人ならざる世界へ……。丁度いい、力を試すため、相手をしてもらうよ……。今度こそ、消してあげる、その後は、地下世界アストラルを消滅させてあげる……」
ーーーアンドラスは両手を広げ、息を吐く。
頭髪は黒闇の炎がギザギザな髪型を作り、顔は黒闇の炎を燃え盛らせ、白銀の鋭い瞳をギラギラと光らせる……。
両手は巨大化し、黒闇の鋭爪が具現化。胸部には黒曜の逆殻の甲冑、全身は、白銀の雷流がバチバチと行き渡り、凄まじいパワーである。
ーーー形態、龍老樹アンドラス。
龍老樹の魔力を宿らせ、自身の能力をアップさせた姿である……。
「ユリアを取り戻すっ!!」
ーーー鬼神化フェニックスは炎剣を構える。
「いや、俺が先だ……」
ーーー前に立ち、鬼神化・重力の魔王は黒剣を構える。




