第77話 いざ、奴(アンドラス)の所へ……。
「入る作戦だと?……」
鬼神化フェニックスは、鬼神化・重力の魔王に視線を向ける。
「そうだ。少し難しいが、貴様と協力すれば出来ない事ではない……」
鬼神化・重力の魔王は黒剣を構え、黒い異形を眺める。
奴と協力するのは気が進まんが、目的の為だ。その後は、奴を消して、奴の所に連れて行くだけだ。
「なら、俺はどうすればいい?」
鬼神化フェニックスは炎剣を片手で構える。
「簡単だ、貴様は黒い球に向かって突っ込め……。俺は、奴が展開する爆発の場所に、自身の魔力に変換させ、打ち消す。それだけだ……」
鬼神化・重力の魔王は鬼神化フェニックスの後列に移動し、黒剣を構える。
後列の彼は援護、前列の奴は攻撃。粒子爆発を回避し、黒い異形に接近するには、コレしかない。
「簡単だな、よし、ついてこいっ!!」
ーーー鬼神化フェニックスは炎剣を横に構え、全身に炎を燃え盛らせ、黒い異形に向かい、飛行。
「貴様が仕切るなっ!!」
ーーー鬼神化・重力の魔王は全身に黒熱を漂わせ、飛行し、奴の後を追いかける。
何故か、奴と一緒なら、心強い。達成出来るかもしれない。
ーーーーッ!!
黒い異形は地鳴りを響かせ、詠唱。
空中全体に、粒子爆発の発動段階である熱圧がバチバチと、無数に漂わせる。
これが、粒子爆発のポイントである……。
「来るぞっ!!」
鬼神化フェニックスは、後列の鬼神化・重力の魔王に向き、伺う。
「分かってるっ!!」
ーーー鬼神化・重力の魔王は黒剣を掲げ、粒子爆発のポイントに狙いを定め、詠唱。
ーーーーッ!!
空中全体の粒子爆発のポイントは、鬼神化・重力の魔王の属性魔力の変換により、停止した……。
鬼神化フェニックスは、魔力ポイントに自身の魔力を変換させる技は、得意ではない。
一方の鬼神化・重力の魔王は、遠距離攻撃を得意とするので、魔力ポイントに自身の魔力を変換する技は、得意である。
「ナイスだっ!!」
鬼神化フェニックスは、後ろの鬼神化・重力の魔王に向き、親指を立てる。
「うるさいっ!!」
鬼神化・重力の魔王はムキなり、黒剣をブンブンと振る。
ーーーーそして。
黒い異形はパキパキと脈音を響かせ、全体を震動させる……。
「オイッ、入り口は?」
鬼神化フェニックスは空中停止し、辺りをキョロキョロと眺める。
「それは、貴様が作れっ!!」
と、鬼神化重力の魔王は後ろに振り向き、黒剣を掲げ、粒子爆発を自身の魔力に変換させ、停止させる。
しかし、停止させていられるのにも時間はない。早く、入り口を作らなくては……。
「作れ、だと?……。なら、これでどうだっ!!」
ーーー鬼神化フェニックスは魔力を宿らせ、全身に炎を燃え盛らせ、突っ込む。
技は、ゼブラの必殺技、孔雀鳳凰剣である。
道は、無ければ切り開いて作るのみ……。が、ゼブラの考えだ。
刃身から燃え盛る炎の長さは数十メートル、威力は強力だ……。
ーーー黒い異形の下層から、鬼神化状態により確認可能な熱圧がジワジワと浮かび上がり、魔力反応のポイントを示している。
「孔雀鳳凰剣ッ!!」
ーーー鬼神化フェニックスは魔力反応ポイントに炎剣を振るい、ダメージを与える。
ーーーーーッ!!
ーーー孔雀鳳凰剣の一撃により、魔力反応ポイントは、鬼神化フェニックスの属性魔力を注がれた事により、紅炎の門に変貌した。
炎の輪の中心に、黒い渦がグルグルと渦巻き、紅炎の門を形造る。
「行くぞっ!!、突入だっ!!」
ーーー鬼神化フェニックスは紅炎の門に入り込む。
「ふん………」
鬼神化・重力の魔王は後を追い、紅炎の門に突入。
そして、2人の鬼神化使いが突入したと同時に、紅炎の門は、パキッと渇いた音を響かせ、消滅した……。
ーーーこの先は人外の領域、人が中に入る事が許されない闇の領域であり、言葉では表せない恐怖の空間である……。
人は何故、闇を怖れるのか……。闇により、自身の心が漆黒に染まり、無が怖いからである。
無は、死……。闇は……、無を表している……。




