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ユーギガノス  作者: やませさん
地下世界アストラル編
53/260

第52話 その名は明鏡止水

「それはどうかな……」


 ハッタリ、もしくは考えがあるのだろうか……。つばぜり合いの中、ムサシは不敵に笑う。

ーーーしかし。


「ーーーーーッ!!」


 鬼神化フェニックス姿のダンタリオンは、諦めない表情にイラッとしたのか……。炎剣を押し込み、剣圧でムサシを吹っ飛ばす。


(私は未熟だ……。ゼブラ(アイツ)なんかに心が気迷いし、思うような戦いが出来ないとは……)


 十数メートル後方に吹っ飛ばされたムサシは踏ん張り、己の未熟を自覚……。

 鬼神化フェニックス姿のダンタリオンを見ていたら、ゼブラが思い浮かび、気が乱れる。

 

「ーーーーーーッ!!」

 

 鬼神化フェニックス姿のダンタリオンは炎紅のスピードで突っ込み、数十発の剣突きを放つ。


「ーーーーッ!!」


 ムサシはギリギリに反応し、剣突きを弾き流すが、弾き流し切れず、2発、3発、4発、5発……。と、炎の剣傷が与えられ、全身が切り刻まれる。

 衣類は焼け切られ、全身に紅の剣傷が痛々しく残り、焼ける痛みが行き渡る……。


「一閃っ!!」


ーーームサシがグラッと、体勢を崩した瞬間……。鬼神化フェニックス姿のダンタリオンは、ムサシに狙いを定め、炎紅のスピードで斬り抜ける。


「ぐっ……、あっ………」


 剣撃を与えられた全身から紅炎が吹き出し、ムサシは意識を失い、ドサッと倒れ伏す……。


「ふん、他愛もない……。いくら手練れの人間でも、気迷いすればこの程度か……。人間は愛があるから強い。しかし、その愛までもが弱点になるとは、皮肉なものだ……」


 ダンタリオンは鬼神化フェニックス姿を解き、元の姿に戻り、倒れ伏すムサシに振り向く。

 ダンタリオンの尊敬のリスペクトアイは、対象者の思いが強い者に姿を変える。……しかし、対象者が意識を失った事により、変身姿の維持が出来なくなり、ダンタリオンは元に戻った……。


ーーームサシはピクリと指を動かす……。


「おや?……」


 ダンタリオンはムサシの微かな変化に反応。


「ハァ……、ハァ……、ハァ……」


 ムサシはフラフラになりながら、立ち上がる。

 全身に凄まじい剣傷ダメージを負い、至る所に紅の斬傷、衣類はズタズタに裂けている。

 

ーーーゼブラ(アイツ)のせいで、くたばってたまるか……。と、怒りのプライドで立っている。


「まだ立ちますか?…… 。さっさと寝ていればいいものの……」


 ダンタリオンは面倒臭さそうな声を上げ、ステッキを片手に構える。


「ハァ……、ハァ……、ハァ……」


 ムサシは苦悶に息を切らし、刀を構える……。


ーーームサシ、もう終わりか?……。


 途中、ムサシは修行の光景を思い出し、ムジカさんの声が浮かんだ……。


ーーーいいか、こういう技がある。迷いや恐怖に打ち勝ち、一点の曇りのない清らかな水ような心。名は、明鏡止水……。


 ムジカの思い出は以上だ……。彼は明鏡止水は知っているが、体質ではないから使えない。


「なら、望み通り、トドメを刺してあげましょう。アナタの思い人でね……」


 ダンタリオンは再度、ムサシの心に入り込み、鬼神化フェニックスに変身。


(イチかバチか……)


 ムサシは瞳を閉じ、氷刀を静寂に構える。

 スウッ……。全身の力を抜き、感覚を流れに身を任せ、心の中を(無)を思い浮かべ、あらゆる考えを遮断し、集中。

 余計な考えは禁物、少しでも気迷いしてしまえば明鏡止水は応えない。ちなみに修行では出した事はない。一か八かの賭けである……。

 ガープ戦で使えなかったのは、緊張感が足らず、気持ちに余裕があったからだ。

 

「ーーーーーッ!!」


 鬼神化フェニックス姿のダンタリオンは炎剣を振るい、ムサシに炎の斬撃を放つ。

 肝心のムサシは瞳を閉じ、体勢をピクリとも動かさない……。


ーーームサシの数センチ右横を、炎の斬撃がギリギリに通り過ぎ、爆発。


(……………)


 ムサシは瞳をサファイアの色を輝かせ、開く。


「何だ、その眼は?」


 鬼神化フェニックス姿のダンタリオンは尋ねる。

 ムサシから漂わせる異様な威圧感、奴にとって嫌な予感でしかない……。


(これが、明鏡止水?……)


 ムサシは全身からサファイアの粒子圧を広げ、精神を一体化させ、氷刀を構える。

 何も恐れず、何も考えず、一点の青空のように曇りもない心……。それが明鏡止水。

ーーー全身の剣傷が癒え、刀身はサファイアの光りが輝き、小刻みのキィーンとした高音が響かせ、黒のロングヘアーをなびかせ、一辺の森林地帯を地鳴りのような風音を吹き立てる。

 気持ちは極限に研ぎ澄まされ、同時にパワーがアップ。そして身体中が恐ろしい程、軽い……。


ーーーーすると。


「なっ……。バカな……」


 鬼神化フェニックスの姿から、元のダンタリオンに戻った……。心が読めなかくなった事により、変身の維持が出来なくなったのだ。


(……………)


ーーー明鏡止水状態のムサシはサファイアの瞳を輝かせ、ダンタリオンに駆け走る。


「何故だ!?、何故だ!?。何故、貴様の心が読めない!?。何だ、あの大空はぁ!!」


 ダンタリオンはムサシの心を読もうと試みるが、浮かび上がるのは壮大な青空だ……。


「ーーーーーッ!!」


 明鏡止水状態のムサシは中間距離から氷刀を構え、振るう。


「タダでは終わらんっ!!」


 ダンタリオンは凄む叫びをあげ、詠唱。

ーーー闇属性の魔力を使い、杖先から闇炎の刃を造形化させ、片手構えで振るう。

 普段、尊敬のリスペクトアイの能力で戦って来た為、普段、使用しないが、もしもの時の仕込み武器である……。


「ーーーーーーーッ!!」


ーーー明鏡止水状態のムサシは、斬り抜けた……。

 戦場の森林帯に響き渡る斬音……。誰が斬られた事すら、分からない。

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