第43話 次なる作戦。進撃?監察?
ーーー〈医務室〉ーーー
「待ってくれっ!!」
目を開き、ゼブラは手を伸ばす……。
目を覚ました場所は医務室のベッド、黒染みで薄く汚れた白い天井、壁、タイル張りの床。
4台のベッドが縦にズラリと並び、3列目のベッドに身体を横に倒していた……。
消毒液の匂いが室内をキツく充満させ、地下世界の環境の質のせいか、温暖。
消毒液がキツいのは温暖な為、菌が繁殖しやすいからだ。
「起きたか、ゼブラ……」
ベッドの横の座椅子に腰掛け、ゼブラを見つめるムサシ。
「何をしているんだ?」
ゼブラは尋ねる。
「お前がなかなか目を覚まさないから見に来ただけた。……べっ、別にお前自身が心配で見に来たわけワケじゃ無いんだからな。アクマでも、共に戦う仲間としてだな……」
ムサシは頬を紅く染め、モジモジさせる。
ピタッ……。
ゼブラはムサシの額に手を伸ばす。
ムサシの額、自身の額に手を当て、容態を計る。
「ーーーーーーーッ!!」
ムサシは顔を紅く染め、口をのパクパク。
ゼブラの顔が自身の瞳に映り、言葉に表せない気持ちをバクバクと振動させる。
馴れ馴れしい、しかし嫌な気持ちではない。
「熱はないようだな……。お前、さっきから顔を赤いし、大丈夫か?」
ゼブラはムサシの額から手を離し、尋ねる。
わなわなわなわな………。
ムサシはうつ向き、身体を震わせる。
「どうした?……」
ゼブラはムサシをジィーと見つめる。
「貴様なんぞっ!!、貴様なんぞっ!!、貴様なんぞっ、貴様なんぞっ!!」
ムサシは頬を紅く染め、患者のゼブラに刀をブンブン振り回す。
嫌いじゃない。けど、コイツには何故か腑抜けた様子を見せられない……。と言う自身の固いプライドが素直な気持ちを閉じ込めてしまう。
「チクショー。なんだってんだっ!!」
ゼブラは驚き、ブンブンと振り回すムサシの刀を危うい動きで避け、ベッドから転倒。
身体を横に倒していたベッドのシーツは切り裂かれ、ボロボロの状態になっている。
ゼブラはムサシの気持ちはわからない……。
印象では、奴は変な所でムキになるし、怒ると刀を振り回すし、扱いには難しい……。
ーーー〈会議室〉ーーー
「ダリウス平原の中央ラインの監察隊によれば、魔界軍に今の所、目立った動きを見せていません。最初、森林の出入り口を行き交っていた兵士は、一人もいなくなりました……」
監察隊の代表兵士は立ち上がり、報告。
(……………)
会議テーブルに腰掛ける上級兵達は腕を組み、重たい雰囲気を漂わせ、沈黙。
「奴ら、態勢を立て直しているかもしれない。今、このスキに全軍で一斉進撃するべきだ……」
第2部隊長は立ち上がり、発言。
「奴らが待ち伏せしている可能性がある。監察隊を派遣し、調査すべきだ……」
第3部隊長は立ち上がり、主張。
「何を言っている。今、我が軍が落ち着いたからこそ、進撃を仕掛ける好機ではないか?。監察隊を派遣した所で、奴らに態勢を立て直す時間をさらに与えるだけだ。絶好の好機をムダにするのかっ!?」
第2部隊長は苛立つ声をあげる。
「絶好の好機だと?……。冷静に考えるんだ、森林の出入り口に奴らは姿を見せない。これが怪しい以外、何がある?。今、何も考えず進撃した所で、奴らの策略にハマり、態勢を崩したらもう遅いのだよっ!!。監察隊を派遣するべきだっ!!」
第2部隊長派の上級兵は立ち上がり、発言。
「状況はコチラが有利だ。例え策略にハマっても、一時的勢いが乱れるだけ、すぐに態勢が立て直る。進撃するべきだっ!!」
第3部隊長派の上級兵は立ち上がり、発言。
ーーーーそして会議は荒れ、進撃派と監察派と分かれ、激しい論争が会議室に響き渡る。
この様子では、永久に答えは決まらない。時間だけが、一刻と過ぎていく……。
「ーーーーーーッ!!」
ムジカは憤った表情で会議室のテーブルに拳をドンッとを叩きつける。
ーーームジカの様子に論争を響かせていた上級兵士達はカチンと静まり、ムジカに目を向ける。
「貴様ら、ロクに会議をまとめる事も出来ないのか?……」
ムジカは憤った表情を浮かべ、低い声をあげる。
「すいません、遅れました……」
会議室に都合の悪いタイミングで入室したのはムサシ、隣にはゼブラ。
会議室はピリピリした緊迫感が重苦く張り詰め、言葉を出すのを躊躇ってしまう。
会議室のテーブルのイスは満席の為、ゼブラとムサシは室内の端に立っておく事にする。
「先程の戦いで勝利したのに、意見の結束力が無さすぎる。まぁ、お前達の論争は否定しない。戦いを慎重に動かしたり、進撃に動かしたい気持ちもわかる……。ワシが意見を唱えよう……」
ムジカは立ち上がる。
ーーー上級兵士達は静まり、ムジカに目を向ける。
「まずは、全部隊再編成。その後、ダリウス平原中央部にて、エボルド森林に全軍進撃を開始したい。と、言いたい所だが、むやみに敵地に踏み込むのは危険だ。そこで、作戦を考えた……」
ムジカは会議テーブルの上にダリウス平原の地図をバサッと広げる。
青のチョークを手に取り、義勇軍のマークである青の目印を、ダリウス平原の地図の中央部に描く。
ーーーゼブラとムサシ、会議室の兵士達はダリウス平原の地図に目を移す。
「敵は知っての通り、エボルド森林に潜伏している。進撃したい所だが、敵の作戦やトラップに捕まり、体勢を崩してしまっては元も子もない。そこで、最小限の行動が可能な特殊部隊を送る……」
ムジカは真剣な表情を浮かべ、(特殊部隊)と、記された札を、エボルド森林の地図に置く。
ーーー会議室に、真剣に張り積めた空気が漂う。
「特殊部隊の任務は、敵が潜伏する地に潜入し、内部の視察と破壊工作し、内部を混乱させる。その後、宣戦の合図の信号弾を打ち上げ、混乱の状況に全軍を進撃させる作戦だ」
ムジカは(特殊部隊)と記された札の上に、(宣戦合図)と記された札を乗せる。
そしてダリウス平原中央部の地図に、義勇軍と記された札をエボルド森林の地図に移動させる。
分かりやすい任務であり、最初の特殊部隊には危険が伴う……。
「その特殊部隊は、誰が?……」
第1部隊隊長の上級兵士が手を上げ、尋ねる。




