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ユーギガノス  作者: やませさん
地下世界アストラル編
40/260

第39話 死闘パート2

グガァアアアアアアアッ!!


 充満する紫の粒子煙が晴れ、詠唱陣から姿を現したのは緑鱗の大蛇。

 体長は数十メートル、ギョロギョロした紫の眼、剥き出す牙から酸性の唾液がポタポタと滴り、青銅造りの地面を溶解し、強力な酸性を物語る。

 表面の緑鱗はテカテカと白銀に輝き、気分が悪くなる……。


(………………)


 鬼神化・重力の魔王グラビティ・ロードは冷静に黒剣を構え、睨む。


「この、ヴェノミ・ナーガは私の最初の蛇です。十年間、百年と、この闘技場に住み、幾つもの敵を喰い、ここまで成長したのですよ……。アナタで、50 00人目の犠牲者です。何も恥じる事はありません、アナタはヴェノミ・ナーガに喰われ、そして血となり、肉になり、力になる……。さて、思い残す事は、ミスター…ッ!!」


 途中、エリゴールの言葉は途切れた。

 

「ーーーーーッ!!


 ヴェノミ・ナーガは右側から、パクりとエリゴールの上体を甘咬みでかぶり付き、振り回している。

 ヴェノミ・ナーガは陽気な気性らしい……。


「やめなさいっ、やめなさいっ、ヴェノミ・ナーガッ!!」


 エリゴールは絶叫し、何とかヴェノミ・ナーガの口から脱出し、地面に着地。

 エリゴールの全身は唾液まみれ、魔族は皮膚が硬い為、濡れている程度であり、溶けていない……。


(何をやっているんだ……)


 鬼神化・重力の魔王グラビティ・ロードは黒剣を構え、様子を伺う。


「さて、アナタはこの状況をどうしますか?…」


 染み付いた酸を拭い、エリゴールは不敵な笑みで声をあげ、尋ねる。

 ヴェノミ・ナーガの辺りには無数の蛇が地面から噴出し、鬼神化・重力の魔王グラビティ・ロードに向かい、ガラガラ声を響かせている。


(…………)


 無数の蛇達の声に追いやられ、鬼神化・重力の魔王グラビティ・ロードは闘技場の端にズルズルと後退。まさに、絶対絶命の状況である。


「さぁ、ヴェノミ・ナーガの餌食になるがいいっ!!」


 エリゴールは勝ち誇った声をあげ、蛇の槍を鬼神化・重力の魔王グラビティ・ロードに突きつける。


「それは無理な話だ……」


 鬼神化・重力の魔王グラビティ・ロードは黒剣を構え、詠唱。

 鬼神化・重力の魔王(グラビティ・ロードの重力がズシリと漂い、全域に無数の詠唱陣を描き、紫の光線を闘技場一帯に狙いを向け、一斉放射。


「ーーーーーーーーッ!!」


 鬼神化・重力の魔王グラビティ・ロードの光線により、闘技場の地面は破壊され、ガレキ、蛇とヴェノミ・ナーガは大渦に吸い込まれ、落下…。

 空中に、紫の粒子煙が充満し、熱圧が漂い、雷流がバチバチと流れる。


「まさか、闘技場を破壊し、蛇達を片づけるとはね……。やりますね……」


 エリゴールは充満する爆煙に紛れ、移動。

 浮遊岩に瞬時に跳び移り、闘技場の破壊される光景を見送り、腰かける。

 辺りを眺めるが、鬼神化・重力の魔王グラビティ・ロードの姿は確認出来ない。

 恐らく、奴は死んだ……。死んだ蛇達に喰われなかったのは残念だ。


「勝手に殺してもらっては困るな……」


「おや?……」


 重力属性の殺気に察知し、エリゴールは思わず振り向いた……。

 後方、数十メートル先の空域に、ボロボロの鬼神化・重力の魔王グラビティ・ロードが空中に浮き、黒剣を構えていた。


「しぶとい方ですね、アナタみたいな人間は初めてです。いい加減、死んだらどうなんです?……」


 エリゴールは面倒臭そうに声をあげる。


「生憎、俺には何故か生き延びてしまう呪いが取り憑いている。出来れば人生終わらして欲しいモノだよ……」


 鬼神化・重力の魔王グラビティ・ロードはエリゴールに向け、黒剣を突きつける。


「ならば、お望み通りにしてあげますよっ!!」


 エリゴールは荒げた声をあげ、残像を残すスピードで空中移動し、鬼神化・重力の魔王グラビティ・ロードに突っ込む。


「ーーーーーーッ!!」


 鬼神化・重力の魔王グラビティ・ロードは察知、左側十数メートルに移動し、エリゴールの槍撃を通過させ、空中回避。


「人間ごときが空中でちょこまかと……」


 十数メートルの距離を一直線に飛行し、エリゴールは振り向き、詠唱。

 蛇槍の刃先に、蛇の死球パイソン・ヘルライズを具現化させ、鬼神化・重力の魔王グラビティ・ロードに狙いを定め、投げ放つ。


「ーーーーーーッ!!」


 鬼神化・重力の魔王グラビティ・ロードは紫の詠唱陣を描き、黒の光線を放ち、蛇の死球パイソン・ヘルライズを熱滅。


「きぃっ!!」


 空域に浮遊する岩々にピョンピョンと、跳び移り、エリゴールは奇声をあげ、鬼神化・重力の魔王グラビティ・ロードの左側数メートルの距離から跳び掛かる。

 

「ーーーーーーッ!!」


 反応が間に合わない為、鬼神化・重力の魔王グラビティ・ロードはエリゴールの槍撃を黒剣で受け止める。

 禍々しい火花が散り、ぶつかり合う……。

 そしてお互い跳び下がり、数十メートルの距離に空中移動し、体勢を立て直す。


「わなわなわなわな……」


 浮遊する一個の大岩に跳び移り、エリゴールは奇妙な声をあげ、蛇の槍をクルクル回し、詠唱。

 4体の蛇の死球パイソン・ヘルライズを具現化させ、鬼神化・重力の魔王グラビティ・ロードに投げ放つ。


「重力の爆裂波グラビティ・バーストッ!!」


 鬼神化・重力の魔王グラビティ・ロードは初期段階である重力を空域に漂わせ、紫の詠唱陣を描き、重力の爆裂波グラビティ・バーストの白銀の光線を放射。

 重力の爆裂波グラビティ・バーストは4体の蛇の死球パイソン・ヘルライズの方向に曲がり、飲み込み、熱滅。

 空域に紫の粒子煙が充満し、熱を漂わせる……。


「わなわなわなわなっ!!」


 紫の粒子煙を切り抜け、エリゴールは蛇の槍を構え、鬼神化・重力の魔王グラビティ・ロードの正面から飛び掛かり、槍突きを放つ。


「ーーーーーーッ!!」


 鬼神化・重力の魔王グラビティ・ロードはエリゴールの槍突きを中間距離から潜り抜け、黒剣を横に振り、斬り抜ける。

 エリゴールの身体は両断され、大渦に落下……。

 しかし、両断された死体は蛇の塊に戻り、偽物。


「これならどうですっ?。ショーーターーイムッ!!」


 鬼神化・重力の魔王グラビティ・ロードの前方、数十メートルの距離の先、エリゴールは一個の大岩に乗り、蛇の槍をクルクル回し、詠唱。

 空中に、1体の蛇の死球パイソン・ヘルライズを具現化させ、2体、3体、4体と具現化され、たった数秒の時間の間、無数の蛇の死球パイソン・ヘルライズを空域を漂わせていた……。


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