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ユーギガノス  作者: やませさん
地下世界アストラル編
39/260

第38話 人生最大の死闘…。

「そうでなくてはな……」


 ヴァンは剣を構える。


「チチチチチ…。この戦場は私や蛇達だけステージ、闘技場の下の渦に落ちる位、マヌケではないのだよ……」


 エリゴールは自慢気にケラケラと、笑い声をあげる…。

 空中闘技場の下の巨大渦に落ちたのは、わざとであり、吸い込まれて死んだと思わせ、こっそりヴァンの後方に回り込み、驚かせようと、演技をしたのである。


「なら、普通に始末し、思い出にしてやる…」


 ヴァンは冷静な声を響かせ、鬼神化・重力の魔王グラビティ・ロードに変身した。

 黒の熱圧、黒の雷流を全身に漂わせ、高い魔力を物語るのである。

 鬼神化はモンスターで言えば精神体、物理攻撃はダメージは受けず、魔力の攻撃しかダメージは与えられない。


「ほう、鬼神化が使えるとは、なかなかの実力の持ち主ですね…。どうりで、兵士達が相手にならないハズだ…」


 鬼神化の威圧感に、エリゴールの毛並みはビビッと逆立ち、蛇の槍を上段に構える。

 

「ーーーーーーッ!!」


 鬼神化・重力の魔王グラビティ・ロードは突っ込み、中間距離から黒剣を振るう。

 10メートル周囲に、鬼神化・重力の魔王グラビティ・ロードの重力を漂わせ、青銅造りの地面をビリビリと音を響かせ、軋ませる。


「ーーーーーーーッ!!」


 エリゴールは重力を気にせず、蛇の槍を上段に構え、黒剣を受け止める。


「ーーーーーーーッ!!」


 お互い、10メートルの距離に跳び下がりる。


「蛇の絨毯パイソンカーペットっ!!」


 エリゴールは蛇の槍を構え、詠唱。

 青銅造りの地面の割れ目から、無数の黒鱗の蛇達が一斉にガラガラとした鳴き声で牙を晒し、噴出し、鬼神化・重力の魔王グラビティ・ロードに向かい、放流。


「ーーーーーッ!!」


 鬼神化・重力の魔王グラビティ・ロードは黒い熱圧を漂わせ、一斉に跳び掛かる蛇達を黒剣の一振りで斬り払う。

 黒の斬風波に、無数の蛇達は吹っ飛び、空中闘技場の下に落下…。


「ーーーーーーッ!!」


 鬼神化・重力の魔王グラビティ・ロードの左側の中間距離から、エリゴールは槍突きを放つ。


「ーーーーーーッ!!」


 鬼神化・重力の魔王グラビティ・ロードは右側に数メートルの距離を跳び、回避。

 そして足元を安定させ、体勢を立て直す…。


「ーーーーーーーッ!!」


 エリゴールは突っ込み、中間距離から鬼神化・重力の魔王グラビティ・ロードに槍突きを放つ。


「ーーーーーーーッ!!」


 鬼神化・重力の魔王グラビティ・ロードは突っ込み、槍突きを潜り、エリゴールの横腹を黒剣で斬り抜ける。

 エリゴールは悲痛な叫び声を響かせ、両断された身体は地面に叩きつけられ、ビクンビクンと脈動させるのである。


「グレイト、グレイトォーーーッ!!」


 鬼神化・重力の魔王グラビティ・ロードの左側の10メートルに、エリゴールがバカ笑いを響かせ、身体を揺らしていた。

 両断されたエリゴールは偽物、地面には無数の蛇がエリゴールの肉体を具現化させている。

 奴は、無数の蛇を従わせているから、分身は何度でも作れるのだ…。


「ーーーーーーッ!!」


 鬼神化・重力の魔王グラビティ・ロードは黒の詠唱陣を描き、エリゴールに光線を放ち、額を貫き、撃破。しかし、偽物である…。


「キエーーーーーーーーッ!!」


 鬼神化・重力の魔王グラビティ・ロードの正面から、エリゴールは牙を開き、突っ込む。


「ーーーーーーッ!!」


 鬼神化・重力の魔王グラビティ・ロードは黒剣を降り下ろし、エリゴールを両断。

 また、偽物である…。


「死に晒せぇっ!!」


 鬼神化・重力の魔王グラビティ・ロードの後方数メートルから、3体のエリゴールの分身が突っ込み、一斉に槍突きを放ち、槍撃を与える。


「ーーーーーーッ!!」


 鬼神化・重力の魔王グラビティ・ロードは槍撃で吹っ飛び、地面に叩きつけられる。

 エリゴールのスピードは早く、鬼神化ですら振り向くヒマすら間に合わない…。


「バイバーーーイ…」


 エリゴールは指をパチンと鳴らし、命令。

 地面の割れ目から無数の蛇達を噴出させ、倒れ伏す鬼神化・重力の魔王グラビティ・ロードに向かい、一斉に放流させる。

 放流された蛇達は、鬼神化・重力の魔王グラビティ・ロードを飲み込む。

 無数の蛇達は、鬼神化・重力の魔王グラビティ・ロードを飲み込み、黒光に蠢く…。


「終わりかい、終わりだね……」


 エリゴールは蠢く蛇を眺める。


「ーーーーーーーーッ!!」


 鬼神化・重力の魔王グラビティ・ロードは重力属性の魔力を黒剣に込め、地面に突き刺し、衝撃波を広げ、蠢く蛇達から無数の光柱が差し、爆発。

 蛇が地面に飛び散り、ピクピクと脈動。


「おやおや……」


 エリゴールは不敵な様子で眺める。


「ハァ……、ハァ……、ハァ……」


 一匹の蛇をグシャと踏み潰し、鬼神化・重力の魔王グラビティ・ロードはボロボロ、全身から黒の熱圧を漂わせ、苦悶の様子で前屈みにフラつかせる…。

 槍撃、無数の蛇の咬撃により、ダメージは深く、鬼神化状態でなければ、死んでいた…。


「あの状況から脱出してくるとは、なかなか大した者です…。しかし、息があがっていますよ、先程までの威勢は感じませんよ、キヒヒヒヒ…」


 エリゴールは傷だらけの鬼神化・重力の魔王グラビティ・ロードを深々と眺める。

 

「ハァ……、ハァ……、ハァ……」


 鬼神化・重力の魔王グラビティ・ロードはフラフラになりながら、黒剣を構える。

 傭兵の奴に、ヤバイ状況は慣れている。何度、死を覚悟したが、その度に生き残っている。

 死神が拒否しているのか、あるいは何かの呪い、まだ、死ぬのには早いと言うのか……。

 しかし、今回はヤバイ、逃げ場はない。奴を倒さねば、脱出は不可能だ……。


「アナタに相応しい死を用意しましょう…。いでよ、大蛇、ヴェノミ・ナーガッ!!」


 エリゴールは蛇の槍をクルクル回し、詠唱。

 闘技場の地面に、円形30メートルの紫の詠唱陣が広がり、紫の粒子煙が一辺に充満させる。


「俺に相応しい死?……」


 鬼神化・重力の魔王グラビティ・ロードは充満する粒子煙を眺める。


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