猫に真珠
あまりの衝撃に気絶してから数十分、今俺はなぜか飼い猫に説教をされていた。
「自分結構な態度やんか。このかわいいチェルミツさんに話しかけてもろといて二度寝きめこむとわなぁ。いやぁほんま恐れ入ったわ。」
・・・おかしい。いや、なにがどう考えてもおかしいだろ。あれは二度寝じゃなくて気絶だとか。なんで俺が説教されなくちゃいけないんだとか、なぜに関西弁なんだとか。そんなのは置いといたとしても明らかにおかしい。
「あの~。」
お恐る恐る声をかけると、いかに俺の失礼な態度で傷ついたかを延々と熱弁していたチェルミツ、・・
いや元チェル、・・いや化け猫がめんどくさそうにこちらに視線を向ける。
「なんやねん。自分人の話は最後まで黙って聞くよう学校で習わんかったんかいな。」
「・・まぁわし「君は本当にチェルなの?」」
なんとも言えない複雑な表情をした化け猫は小さな声で…なんやねん…シカトですか…等とボソボソ独り言を呟いたあと
「・・まぁええわ。わしは心が広いからな。今回は見逃したるわ。せやでわしは正真正銘町内会のアイドルチェルミツちゃんやで!!」
前足を綺麗に揃えたお座りの姿勢のまま、カッと眼を見開いたどや顔の猫にただ、ただ圧倒されるしかなかった。