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窮鼠猫を噛む  作者: さく
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プロローグ

…Pi

…PiPi

…PiPiPiPi

 数分ごとに繰り返し鳴る目覚まし時計の音に、徐々に夢の世界から連れ戻される。耳障りな目覚まし時計をたたくように止め、重たい体を起こす。しかし、前夜に酒をたらふく飲んだせいか頭ががんがんと痛む。そのためすぐにベッドから降りる気にはなれず、十分に覚醒していない頭がはっきりするまで、数分ほど眼を閉じたままうとうとと朝の余韻を味わっている。

 窓の外からはいつもとか変わらない車の音や、近所の犬の鳴き声が聞こえる。眼を開くといつもと変わらない自分の部屋。そして部屋の真ん中で優雅に毛づくろいをしている愛猫の姿を見つける。

「チチチチッ。チェル~。おいで~。」

 痛む頭を押さえつつ、指をちょいちょいと動かし愛猫を呼ぼうと声をかける。

「ちっ。朝もはよから、うっさいちゅうねん。」

・・・。

突然聞こえてきた柄の悪い声に思わず固まる。(えっ?なに?空耳?それともまだ夢の中???)

困惑し身動きの取れないままあれこれと考えてると

「言っとくけど夢ちゃうで。」

と先ほどと同じ声が聞こえてくる。

!?!?!?

思わず壁際まで後ずさり部屋の中を見渡す。あまりの衝撃に頭痛の事など一瞬で頭から吹っ飛んでいた。しかし部屋の中には自分以外の人は見当たらない。もしかしたらベッドからは見えないキッチンやクローゼットの中に隠れているのかもしれないがとりあえずは動かず様子を探ってみることにする。そこでハッと大事なことに気付いた。

「チェル!チェル~。チチチっ。いい子だからこっちおいで~。」

小さない部屋だから意味はないであろうが、声の主に聞かれないように小さな声でチェルを呼んだ。しかしこっちを向いたもののなかなか動こうとしない愛猫を必死で呼ぶこと数分。

「・・・自分何してますのん。」

「えっ?・・・」

先ほどと同じ声で問いかけられた。しかしその声はこちらを見つめているチェルの方から聞こえた。いや、むしろチェルから聞こえた気がした。今日二度目のフリーズから復活し(そんなわけないよな。)と自分に言い聞かせ再度愛猫を呼ぼうとした時、

「いやいやいやいや。自分往生際悪いで。どう考えてもわしやがな。ちゅ~かわし以外他に人おれへんがな。」

と、かわいいルックスからは想像出来ない、全くもってかわいくない声と話し方でこちらに話しかけてきているのはどう考えても飼い猫のチェルミツであった。

あまりの衝撃に三度目のフリーズをしている飼い主をよそに飼い猫の方は

 あっ、わし人ちゃうやん!うっかりうっかり。にゃははは…

などと一匹で楽しげに笑っている。

そんな笑い声を聞きながら忘れていたはずの頭痛がよみがえり、意識が遠のくのを感じた。

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