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Chocolate

作者: 蒼威月
掲載日:2014/02/15



ほぼ2日遅れですが

バレンタイン短編です



楽しんでいただけると嬉しいです




「なあ」

「ぎゃあああああああああああ!!!!」




きぃぃん…と超音波みたいな悲鳴が響きわたった

「っんだよ…うるせーなー…」

その悲鳴を出させた張本人―――龍太が耳を塞ぐ。その彼の顔面に三角巾が投げつけられた

「ぶっ」

「出てけ入ってくんなデカブツ目付き悪男今すぐ出てけー!!!!」

息継ぎなしにそう言って彼に三角巾を投げつけた張本人、そして先程の悲鳴の主―――結祈が叫ぶ

顔を真っ赤にして今にも他のものを投げつけてきそうな彼女に、龍太は慌てて逃げ出した




バタン…

「んだよ、あいつ…」

部屋を出た龍太が首を傾げる

現在同居中…もとい同棲中の龍太と結祈。もともと幼馴染みだし、つきあうようになって、一緒に住むようになって、結祈の暴言にも大分慣れているとは言え、今日は顔を合わせた途端いきなり暴言を浴びせられたのだから意味が分からない

龍太は首を傾げながら今出てきた部屋――リビングから離れた




件の部屋の中では

リビングの横にあるキッチンで結祈が格闘中だった

結祈の料理の腕は壊滅的なので、基本的にここには料理上手な龍太が立っている。それが今日は結祈が立っている

一体何故なのか

それは…

「くそ…」

今日が2月14日だから

結祈は恋人の龍太のために、必死にチョコを作っていたのだった

「えーと…」

横においたレシピ本を覗き込む結祈の頬には、溶けたチョコがついている

なんだかんだ言っても結祈は龍太が大好きで。料理がどんなに苦手でも、今日くらいは自分で作ったチョコをあげたかった

けれどもとより極度の照れ屋な結祈だ。あげる時まで龍太には知られたくなかった。なので先程の暴言である

「よし…あとは冷やすだけだ…」

結祈はチョコを並べたバットをそろりと持ち上げると、冷蔵庫へ入れた

冷蔵庫を閉めると、結祈はリビングのソファに座り込んだ

「あとは待つだけか…」

慣れないことをしたせいか、眠気が結祈を襲った

「龍太…喜んでくれるかな…」

その言葉を最後に、結祈は眠りの世界へ落ちていった




ガチャ…

それからしばらくして

リビングのドアがそろりと開いた

そのドアの隙間から龍太の顔がひょいと覗く。すぐさま暴言が飛んでくるかと思えば、何の反応もない

「結祈ー…?」

そろりと部屋に入ると、ソファに座り込んだまま寝ている結祈がいた

「結祈」

もう一度呼んでみるが、結祈の返事はない

うすらと開いた唇がなんとも言えなくて、思わず龍太は周りを見回した。当たり前だが誰もいない

そっとその唇に自分のそれを押しあてると、ふに、とした柔らかさを感じて

「やーらけ…」

柄にもなく頬が火照った

火照りを冷まさなければ、とそう思って結祈から顔を背け、手でぱたぱたと扇いでいると、ごそごそと動く気配を感じた




目をやると、閉じられていた結祈の瞳が開くところで。寝ていたせいでうすらと濡れた瞳が龍太を捕らえると、へにゃりととろけた笑みをこぼした。濡れた瞳のせいでその笑みが更にとろけて見える

可愛い

寝起きのせいか、いつものツン要素がなくなっている

再び結祈に近づいて横にしゃがみ、催促するように見つめる。意図がつかめず首を傾げる彼女に

「ちゅー、して」

そう言えば彼女はぶわりと頬どころか耳まで赤くした

「な、ば、バカかお前は…!!」

さすがに目が覚めてデレモードから普段のツンモードに戻ってしまった

「えー…してくんねーの?」

そう返せば結祈の顔はますます赤くなる

しばらく目線をさ迷わせてあーとか、うーとか言っていたが、結局結祈は折れた

「目…瞑ってろ」

ぼそりとそう言われ。龍太が目を瞑ってやると頬に小さな手が触れて、柔らかな感触

うすらと目を開けるときゅうっと目を瞑って唇を合わせる彼女が見えて。それが愛しくて

唇が離れた瞬間に今度は龍太からしてやる

途中、そっと目を開けるとぎゅうっと目を瞑る彼女が見えて。そのふるふる震えている長いまつ毛だとか、赤く紅潮している頬だとかがこれまた愛しくて

離れてからぎゅうっと抱き締めると、顔を真っ赤にして。離したくないなーとか思ってると離れようとしてもぞもぞするから更に引き寄せる




ふと結祈の頬に何かついているのに気がついた。茶色い…チョコレート?

指でぬぐってやるとやっぱりそれはチョコレートで。不思議に思って結祈を見ると、彼女は顔を真っ赤にしていた

「チョコどうしたん?」

「う…え…っと…」

「?」

「うううううう…」

「??」

「うううう……きょ、今日…バレンタイン…だから…その…だな…」

結祈の顔はこれでもか、というほど赤くなっている

「チョ、チョコ…作ってた…んだ…」

「…誰に」

「おっ、お前以外に誰がいるッ!!」

真っ赤な顔を振り上げて言う彼女を思いっきり抱き締めた

「ぐぇっ…。りゅ、龍太!!苦しいギブギブギブ!!」

結祈が悲鳴をあげて腕をタップしてくるが離せない。きっと柄にもなく照れて顔が赤いから。頬が熱いのが分かるから

「りゅっ、龍太ってば!!」

ぷはっ、と窒息の危機から逃れた結祈とばちり、と目が合う

「ッ…」

結祈の頬が一気に紅潮する

「こっ…」

結祈の口が金魚のようにぱくぱくと動く




「こっち見んなボケーーーーーー!!!!」

結祈の繰り出した手が龍太の頬にヒットして、龍太の首がぐるりと回る

…イヤな音がした

「…いっつ…」

「わあ、あ、龍太す、すまない!!大丈夫か!?」

「んー…たぶん大丈夫…」

目を上げると心配そうに覗き込む結祈と目が合った

…ヤバい

「大丈夫大丈夫」

龍太はそう言うと立ち上がって、足早にリビングを後にした




「龍太…?」

リビングにぽつん、と残された結祈は疑問と不安をごちゃ混ぜにしたような声で呟いた




「あー…」

リビングから玄関に伸びる廊下で、龍太は1人座り込んで唸っていた

「…ヤバかった…」

もしあのまま結祈といたら。愛しさが溢れて、欲が溢れて、きっと…

「いかんいかん」

浮かんだ考えを振り払うように頭を振ると、龍太は気晴らしに外へ出かけて行った




夕方になって

ガチャ…

「ただいまー…ってうお!?」

帰って来た龍太が玄関のドアを開けると、龍太のお腹あたりに何かが突進してきた

「なん…」

見ると結祈だった。結祈が勢いよく龍太に抱きついてきたのだった

「結祈?どうしたんだ?」

滅多にないことに龍太の頬が少し緩む。彼の胸に顔を埋める結祈の背中をあやすようにぽんぽんと叩くと

「い゛っ…!?」

涙目の結祈と目が合った

「ど、どうした?」

「…龍太が」

「俺が?」

「もう帰って来ないかと思った…」

「は?」

思いがけない、おまけに口調まで戻っている結祈の言葉に間抜けな声が漏れた。と同時に結祈の瞳からぽろぽろと大粒の涙がこぼれ落ちた

「わた、私、龍太に、き、嫌われたか、と、思っ、た…」

「…なんで」

「だっ、て、私、龍太に、また、怪我、させちゃっ、た、から」

結祈が言っているのは昼間の首のことだろう

「りゅ、龍太出てっ、ちゃっ、た、から、っ私、嫌われ、たのかと思っ、た…」




「なんだそんなこと」

「そんなことって…」

「結祈バカだな」

「なっ…バ、バカって」

「だってバカだろ。俺が結祈のこと嫌いになるとかあり得ねえし」

それに、と付け加える

「手が出るのは結祈の照れ隠しだって分かってるし」

結祈の身体を優しく抱き締める

「俺結祈のこと大好きだし」

「…ふぇ、」

「な?」

「龍太ぁ…」

結祈がぎゅうっと強く龍太の服を握り締める。頭を優しく撫でてやると彼にしがみつくように泣き出した




「落ち着いたか?」

「ああ、すまない…」

目尻に残った涙を指で拭ってやると結祈の頬が僅かに紅潮した

そして、あ、というように口を開くと、龍太の手を引いて小走りにリビングに向かった

リビングの入り口に龍太を置き去りにすると、結祈は冷蔵庫から何かを取り出して戻ってきた

「は、はい…」

差し出されたのはラッピングされた小さめの箱

「?」

「だ、だから…チョコ…」

「あ、ああ…サンキュ…」

受け取った箱は、不器用な結祈らしくリボンは少し曲がっているし、包装紙もお世辞にも綺麗に包めているとは言いがたいが、龍太には嬉しかった

嬉しい、と言うと、結祈ははにかんだ顔で心底嬉しそうに微笑んだ




「そう言えば」

「ん?」

夕食の最中、結祈が思い出したように口を開いた。ちなみに夕食を作ったのは龍太

「なんでいきなり出てったんだ?」

「ぶっ」

思わず噎せる龍太を結祈は不思議そうに見つめる

「なんでだ?」

「あー…その、だな…」

「?」

龍太の瞳がきょときょとと忙しなく動く。結祈は首を軽く傾げながら龍太の言葉を待った

「あー…っと…、あのまま結祈といたら、結祈のこと、襲っちまいそうだった、から…」

「っ…」

結祈の頬が一気に紅潮した。同じく龍太の頬も

「だから、です…」

「……に……った…に…」

「え?」

よく聞き取れず、龍太が聞き返すと、結祈はそっぽを向いて聞こえるか聞こえないかぐらいの声で呟いた

「…別によかったのに…」

「は?」

思わず口が開いた

「だ、だから、お、襲ってくれても、別に、よかった、のにって…」

「〜っ…」

龍太の手が箸を置いた

「な、なぁ…結祈…」




…あなたのバレンタインは幸せでしたか?

2人のバレンタインはとっても幸せだったようですね?




懐かしいキャラを使ってみました

結祈ちゃんみたいな子リアルでいたらいいなぁ…と思いながら書いてました



楽しんでいただけたでしょうか?

次も頑張りますのでよろしくお願いします!!

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