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撃ちぬいた壁の向こう側

「今日を乗り越えれば多分大丈夫だろう…」

俺は正直後悔している。


あの時…

携帯を取られかけた時にとっさにしてしまった行動…

携帯をすり替えて、以前使っていた機種を犠牲にした…

それがばれなきゃ問題なかった。

なんで、あの時にシャシャッたんだ…

なんで、みんなの前で俺がとった行動を俺自身が晒したんだ…

これじゃ、絶対にあの正義感強そうな副総務がチクるだろう…


「悩んでもしゃーない。なんとかなるでしょ。」


こうして、俺-斉藤翔-は家を出た。


その数分後に自宅に置いてあるXperiaZに電話がかかってきた。

しかし、それに気付くものは居なかった。





「これがSIMだよな?入ってるじゃないか。」

担任が僕を睨みながら言う。

「ほ、本当ですね…」

僕は焦る。

まさかとは思ったがなんで…

ここまで頭良かったか翔は…

焦る。

焦る。

どんどん焦るから突破口が見えない。

どうする…。


機種変更…

SIMカード…

ショップのお姉ちゃん…


「あっ!!」

僕は叫んだ。

「なんだ?」

担任が言う。

「これ、電源入れてもいいですか?」

「あぁ…」

僕は担任の返事を待たずに電源を入れる。

案の定電源が入らない。

「先生、充電器を!!」

「俺のとは機種が違うから…」

「Android端末はどれも同じです!!」

そう言い、担任の机から充電器を引っこ抜く。

そして充電を開始。



数分で電源が付いた。

すると、電波が立った。

「なんだ、繋がってるじゃないか。」

「はい。」

「なら、問題はないな?」

「問題だらけです。」

「はい?」

「まず、先生の端末ではこのアンテナアイコンの横にアイコン出てますよね?」

「あ、あぁ。Hと書かれているな。」

「はい。それは、HSPA…つまり、FOMAハイスピード…そうですね、インターネットにつながっていることをしましています。これは、メールやブラウザやアプリの通信などのパケット通信を行います。これが表示されていない場合は電話とSMSのみ使えます。斉藤のこの端末は機種変更の時にSIMも交換されました。その時に、ショップの店員さんが抜かなかったのです。今は緊急通報のみ出来ます。なので、これがあったとしても通信はできません。」

僕は再び力説。

しかし、理解できていない。

「あぁ、もうめんどくさいな!!先生が斉藤の携帯に電話してこの端末が鳴れば本物だった。鳴らなきゃ本体は別にあるってことですよ!!」

「なるほど…」

すると担任は言われるがままに電話をかける。


しかし、担任の机に転がるGalaxySはビクともしなかった…


「で、これからどうして欲しいんだ。」

担任が僕に問う。

「それは、先生の判断に任せます。ただ僕は、真実を言いたかっただけです。ま、しいて言えば、副総務としてクラスの秩序を守る…携帯を取られた時にこういうことが許されるという雰囲気を作りたくないわけです。ま、ハッキリ言えば、ちゃんと罰を受けない斉藤に腹がたっただけですが。ま、お任せします。」

そう言って僕は職員室を後にした。



その後、斉藤がどうなったのかは分からない。

ただ、放課後に呼び出されていた。

内容は見に行かなかった。

興味ないし。


その後の噂で、畑の中で泣き叫んでいたようだ。

畑の中の男として暫く学校周辺の話のタネとなった。

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