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ディスペル  作者: SIN


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48/122

 サクリアに事情を話し、ディルクとカフラの3人でエルナさんのいる町に向けて出発したのが昨日。

 用心棒の仕事も兼ねているので俺達の他にも数人の旅人がいるんだけど、やっぱり人数が増えるとその分移動速度は落ちてしまう。

 そんな訳で1日かけて進んだ距離は全体の3分の1あれば良い方。

 こんなノンビリとした移動にシビレを切らせたディルクは、先に行くと言い残して走って行ってしまった。でも、念の為に傷薬を1袋分渡しておいたから何があってもきっと大丈夫だと思う。

 本当は俺も一緒に行った方が良かったと言うのは、分かってるんだ。だけど、気になった事があって…どうしてもそれを聞かなきゃならない気がしたんだ。

 ちゃんとした質問文が頭に浮かんだのは出発してからだったんだけど、あれ?可笑しいな?って疑問は常に抱いていた事。友の話をしていると心に引っかかっていた何か。

 それが何だったのか分かったんだ。

 ミイラの王様は当然カフラが生きていた当時の王様だし、あの三角の建物や祈祷した場所に建てられていた記念碑だってカフラが生きた時代のもの。それらが完全にミイラだったり、崩れたりしているんだから相当昔。

 こういう言い方をしちゃ駄目なんだろうけど…どうしてカフラの友が生きているのかなって、それが分からない。

 思い切って直接本人に確かめてみようと、テントの外で見張りをしているカフラの隣にしゃがみ込み、挨拶とかそういうのをスッ飛ばして本題を切り出した。

 「カフラの友は“奪う者”なの?」

 と。

 もしそうなら俺の疑問は綺麗サッパリと解決できる。それでも何時“魔石”から出てきて食事をしてるんだろう?とは思うんだけど。

 「ぬ?主の友は“奪う者”なのか?」

 どうやら“奪う者”ではないみたいだ。

 「うん。ポチ達は自分で自分と契約してるから俺の気とか関係ないんだ」

 青く光る“魔石”を2個取り出し、少し眺めてから友を呼び出したカフラ、呼び出された2人は俺達の会話を聞いていただけでなく、既に答えも用意してくれていたらしい。

 「カフラと契約はしてるけど、私達のエネルギー元はカフラじゃないんだよ」

 ラミアはニコリと微笑みながら俺の顔を覗き込み、分かった?なんて説明してくれたんだけど、それで分かったのは飢えずに済んでいたと言う事だけで、明確な謎の答えは全くもって不明のままだ。

 「俺は…水があれば生きていられる」

 そう言われても分かんないよ!

 水からエネルギーを賄えるってのは分かったよ?だけど、俺が知りたいのはどうして契約者以外からエネルギーが奪えているのか?って所なんだよ!

 「契約すれば嫌でも契約者の気を吸うようになるのではないのか?」

 少なくとも俺もそう思ってたし、それがあるからいくら強い“奪う者”であっても友を2人までしか持てないんだと思ってた。いや、実際皆の友がそうなんだ。俺とカフラだけ特殊。だけどポチ達は“奪う者”だから実質俺に友は1人もいない。

 「俺はアクア…水の魔。契約をしていようとも水がなければ生きる事は出来ない。エネルギーなど元々必要とはしていない」

 アクアはそう説明しながら俺達の前に腕を出し、袖を捲って見せてきた。ほとんど透明な体は言われてみれば水だ。いや、でもどうして生きていられたのかって説明にはなってないよね?カフラからエネルギーを奪ってなかったのは水があれば充分だったからだとしてだよ?どうして水で良かったのかって、そこなんだよ…。

 「まだ分からないよ…」

 「えっとね、キリクの友は放し飼いの犬とするでしょ?そしたら他の人達の友はペットとして飼われている熱帯魚かな。そして私達は山奥に人知れず咲いている食虫植物って所ね。カフラはその山の持ち主」

 ラミア例え話で頭が余計に混乱しちゃった…これはもしかしたら俺の理解力に問題があるのだろうか?

 えっと、えっと。

 ポチ達が放し飼いの犬ってのは、なんとなく分かる気がする。ポチが半獣だからとかじゃなくて、自分達で食事をしてくれるって意味で。そうすると皆の友がペット用の熱帯魚ってのも分かった。飼い主が決まった時間に餌をくれるから、自分達では何もしなくて良いって事だよね?で、ラミア達は…山奥に咲く食虫植物…カフラが地主さん?食虫って事だから自分で虫を呼び寄せなきゃならない?自分で餌を捕るんならポチ達と同じなのにどうして放し飼いの犬と食虫植物なんだろう?契約してるかしてないかの違い?

 「ふむ、さっぱり分からん」

 あ、カフラも分からないのか。じゃあ俺が特別に理解力がないとかじゃなかったんだね、良かったよ。

 「皆の友は魔物、俺達は悪魔、そう言う事だ」

 おぉ、分かりやす…え?

 「なっ!なんで悪魔!?どうして悪魔が友っ!?え?え?悪魔って実在してたの!?」

 「えぇい落ち着かぬか!主の友はかの有名な“黒き悪魔”であろう!」

 それは、そうなんだけど…あ、そうか。ルシファーも悪魔だったんだっけ?あれ?じゃあどうしてエンゼルンの知り合い?ポチ達とも知り合いっぽいし…。

 エンゼルンに聞く事が増えてしまった。

 「悪魔は契約に関係なく本来の食事スタイルを変える事は出来ないんだよ」

 締め括りにされたんだろうこの説明にも、どうして食事スタイルを変えられないのか?って疑問が出てしまったけど、最初に知りたかった事の答えは理解出来たよ。

 「俺に必要なのは水、エネルギーでも何でもなく、水。契約したからと言って肉体を形成している物質が変わらないのだから、水しか受け付けないんだ」

 おぉ、物凄く分かりやすい!

 「なるほど、アクアだけを呼び出しておれば良かったな」

 カフラ、それはちょっと…言い過ぎだから。


挿絵(By みてみん)

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