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掌編集

作者: 和田喬助

 下校時刻、祐樹は美穂の靴箱の前に立っていた。ごくっと生つばを飲み込む。

 周りには誰もいないから、絶好のチャンスだ。祐樹は彼女の上靴を手に取り、食い入るように見つめた。

 さすが女の子の持ち物だ。自分の物と違ってきれいに使われていて、どこも破れていない。眩しいほどの白さだ。

 祐樹は勇気を振り絞って、酸素マスクのように靴を鼻にあてた。「おおっ」と声が漏れた。美穂の天然のフローラルな香りがビンビン突き刺さってくる。全身から力が抜けてタコみたいになりそうだ。

「キャッ」という悲鳴と鞄を落とした音がした。忘れ物を取りに来た美穂が玄関に立っていた。

「な、何してるの?」彼女は体を震わせている。

「オレの靴と交換しようと思ってたんだ、ゴメン!」祐樹は美穂に靴を押し付けて、逃げ帰った。

 頭の先から首筋まで赤くなった美穂は、靴を元に戻した。そして隣にある祐樹の靴にそっと手をかける。

 彼女は、彼の靴の中の匂いを吸いこんだ。思わず笑顔がこぼれる。半年以上続けているこの習慣を今さら辞めることなんて、できるわけがない。

普通にこんなことしているのが見つかったら、社会的に抹殺されますね。

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― 新着の感想 ―
[一言] なんだか恋愛色より変態コメディー色が強く思えたのは気のせいでしょうか? 個人的にはもっと強い方が大好きです(笑)
[良い点] 和田喬助 様、こんにちは。 作品、読ませていただきました。 まさか、彼女までもが……意外なオチでしたw 彼の言い訳があまりに苦しくて切なくなりましたw [気になる点] 悪い点ではなく…
2012/02/29 13:08 退会済み
管理
[一言] これ綺麗にまとまるのかと思いきや最後の最後にオチが!!ww って感じが上手いですね。 実は「靴」を提示させてもらったのは自分なんですよ。どんな風な話になるのかなぁって楽しみにしてました。 面…
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