第六話 姫ちゃんカキを取る!
姫ちゃん、今日はクラスの男の子たちと、近所の庭にあるカキの木から、カキをとうろともくろんでいます。
けんたくん「よし、俺がまず忍びこむから、後につづけ!」
姫ちゃん「オッケー隊長!」
姫ちゃんは、クラスの悪戯っ子けんたくんと共に、知らない人の庭に、こっそりと入って行きました。
かずちゃん「姫ちゃん、やっぱりやめた方がいいよぉ~ 見つかったら泥棒さんになっちゃうよ?」
かずちゃん、見つからなくても泥棒だから。
今日はマリちゃんがいないので、誰も突っ込む友達はいなかった。
まさしくん「かずちゃん大丈夫だよ。僕の調べによると、今この家にいるのは、おばあさんひとり。そしておじいさんの帰りは夕方のはずだ。」
かずちゃん「へぇ~そうなんだ。」
かずちゃん納得したけど、おばあさんが残ってるよ。
けんたくん「よし!姫!お前の方が軽そうだから、お前、俺の体をよじ登って、カキとってこい!」
姫ちゃん「オッケーボス!」
カキの木に到着した姫ちゃんたちは、けんたくんを足場にして、高い場所にあるカキを取ろうという作戦のようだ。
けんたくんは木に両手をついて、少しかがんだ。
その上にのぼる姫ちゃん。
そしてけんたくんがたちあがった。
低い塀の外からも、姫ちゃんの姿が確認できた。
かずちゃん「姫ちゃん!パンツ見えてるよ!ダメだよ、女の子がそんな事しちゃ!」
姫ちゃん「ふっ!かずちゃん、これは作戦なのだよ。パンツに視線を集めて、その間にカキを取ろうというね。」
まさしくん「カキを取る奴が、視線を集めてどうするんだよ!」
姫ちゃんは、相変わらず迂闊だった。
姫ちゃん「くっ!まさかそんなトラップがしかけられていたとは迂闊だった!しかし作戦は強行する!」
けんたくん「よくいった!姫は真の軍人だ!」
ただの小学生だが、どうやら今は軍人のようだ。
姫ちゃん「もう少しだ!もう少しで届く!けんた隊長!もう少し上に上げられないか!」
けんたくん「よし!なんとかやってみる!必殺!!背伸び作戦!!!!」
姫ちゃん「やった!届いた!!やりました隊長!!」
姫ちゃんがカキをもぎ取りそういうと、けんたくんの体勢が崩れる。
しかしそこは姫ちゃん、流石は一流の軍人だった。
姫ちゃん「とぉー!!」
華麗に地面に着地した。
と思ったら、倒れたけんたくんに、両方キックをかましていた。
姫ちゃん「・・・けんた隊長、あなたの死は無駄にしない・・・」
姫ちゃんは手を合わせた。
姫ちゃん「よし、後は速やかに退却だ!」
顔を上げた姫ちゃんの前に、この家のおばあさんが立っていた。
姫ちゃん(しまった!私の命も、もはやここまでか?)
姫ちゃんはそう思ったが、おばあちゃんの顔は、とっても笑顔だった。
そして、食べやすいように切られたカキが、おばあさんの持つお皿に並べられていた。
その横では、かずちゃんとまさしくんが、美味しそうにカキを食べていた。
おばあさん「どおぞ~」
差し出されるお皿から、姫ちゃんはカキを一つとって、口に入れた。
そのカキは、今まで食べたカキの中で、一番美味しいと思った姫ちゃんだった。
けんたくんは、しばらく捨て置かれていた。